2012年 ホンジュラスの労働事情

2012年10月19日 講演録

ホンジュラス労働組合連盟(CTH)
マルヴィン・アルベルト・ゴメス・レジェス

ホンジュラス港湾労働組合委員長

 

1. ホンジュラスの労働情勢(全般)

 ホンジュラスの現政権には現実的な対抗勢力がいない。天然資源と戦略的国営企業の売却はとどまることを知らず、その売却の波は医療や教育、エネルギーなどにも進み、国民の最貧層のもっとも基本的権利を侵害している。民営化への道ならしのために、政府が公共企業への介入を続け、労働者の権利を侵害している。

2. 労働組合が直面する課題

 ホンジュラスの労働者の権利と表現の自由の現状は、人権に関するあらゆる国際協定や条約の許容限界を超えている。
 2005年には就業人口の41.3%にあたる108万5677人が潜在失業状態にある。
 労働組合は分裂し、弱体化している。政府は労働運動弾圧の方策として、労働組合リーダーの迫害、暗殺、投獄といった手段をとっている。
 ホンジュラス労働組合の直面する問題は、低い組織率、政治的影響力の小さい組織構造、明確な戦略の欠如、組合政策の欠如、結束不足、反組合的法制、企業別組合が中心で産別組織に無関心、臨時雇用と派遣労働の増加にある。
 ホンジュラスは、今や労働組合活動家にとって危険な国と考えられている。2009年のクーデター未遂により、労働組合活動家だけではなくジャーナリストや社会運動家たちも暗殺されている。

3. 解決に向けた取り組み

 これらの課題に対処するため、労働組合に対して枠組みまたは基準となるような労働組合政策を作ること、ナショナルセンターの統一、産業別組合の設立、雇用創出、労働法改正に取り組む必要がある。
 労働組合運動が強化されず、また1つのナショナルセンターに統一されず、労働者を代表して闘争的で労働者の本当の利益のために闘えるリーダーがいなければ労働者にとって内容のある変化というのは起こすことができない。
 労働者が意識に目覚め、工場、商店や銀行を占拠した時、ホンジュラスの本当の革命が始まり、独裁政治が崩壊する。そして真に独立した運動の姿が見えてくる。

4. ナショナルセンターと政府との関係

 CTHはホンジュラスで最も歴史が古く、最大のナショナルセンターであるが、政府に一番敵対的な組織という訳ではない。多くの国営企業労組が加盟しているため、現政権とも関係のある組織である。

5. 多国籍企業の進出状況

 バナナ会社ドール、AGRECASA、鉱山開発など。

ホンジュラス労働者統一連合(CUTH)
ホセ・ジョバンニィ・ロペス・メンドーサ

全国青年部コーディネイター

 

1. ホンジュラスの労働情勢(全般)

 ホンジュラスの給与は必要な食料・教育・余暇・住宅・その他必要な物を満たす水準にはない。政府は経営側と結託して労働者の酷使の度合いを深める政策をとり、労働者の権利が日ごとに奪われている。労使間には大きな距離がある。
 労働組合幹部は労働者の利益を獲得する能力に欠け、政府は労働マネジメントの保証・規制をしない。特に被害を受けているのが若年労働者で、雇用機会が無いだけではなく、同一価値労働同一賃金の原則が順守されていない。
 現在のさまざまな権利侵害は2009年のクーデターに起因する。憲法が尊重されていない状態は、今まで労働者が勝ち取ってきたものを守る上で大きな障害になっている。しかし、ホンジュラスの労働組合は、このような困難な状況の下でも、状況を変えていくために交渉を展開している。現在のような状況は結局、わが国の経済に悪影響を与えることになる。

2. 労働組合が直面する課題

 この2年間に、労働の権利を損ない、人権を侵害し、労働を柔軟化し、派遣労働を許す以下のような法律ができている。

  • 有期雇用法
     経営者は正規従業員を解雇し、以前は無期雇用であった職場に有期雇用契約の従業員を雇い入れる。政府はこの法律ができれば雇用が創出されると言っていたが、私たちはこの法律にだまされたと思っている。
  • 教育基本法
     この法律は教育を民営化し、国が経費を負担する義務教育年数を減らすものである。12歳以上の子供は小学校で教育を受けることができないので、子供の権利を侵害するものである。
  • INPREMAH法(教員年金法)
     教員の年金の権利を奪い、掛金を上げ、子供の権利を侵害し、年金を受け取るためにはより長い期間働かなければならず、基金の数十億レンピーラの行方が不明である。
  • モデル市設立法(チャーターシティ設立法)
     この法律は国の主権を外国の搾取者に引き渡すものである。農民には融資が提供されないので、農民が農業を行なう機会を否定するものである。
  • 抗議行動を罰する政令
     政府は、尊厳ある給与を遅延なく受け取る権利を侵害しているにもかかわらず、侵害された権利を要求するための圧力手段としての抗議行動やストを禁止する政令を作った。
  • 治安対策税法
     住民に課される税金の一つ。国民には企業に課税すると説明していたが、経営者は国民に負担させている。こうした税収は、組合の抑圧・クーデター・組合員や社会で闘う者を狙った殺人に使われるだけである。

 私たちが心配するのは、ホンジュラスの経済がインフォーマル労働、外国からの送金に頼る経済になることであり、そして、限られた財源が武器の購入に使われ、国民や労働組合活動家に圧力をかけることに使われていることである。

(注)チャーターシティとは、各種規制を大幅に緩和した経済特区で、国の中に新たに国家都市を建設するとも言われている。

3. 課題解決のための取り組み

 まず政権交代を実現させる。労働組合は現在野党であるホンジュラス自由党を支持しており、次の選挙で政権交代を実現できると考えている。
 ホンジュラスでは、労働組合の活動自体を自分たちから変えていく必要がある。労働組合の幹部の教育も重要である。交渉で良い成果が出るよう、労働組合のさまざまな分野の専門家を育成すると同時に、幹部の意思決定の分権化を行なう。また、労使の距離を縮める必要もある。

4. ナショナルセンターと政府との関係

 2009年6月にクーデターが発生したことにより、政府との良好な関係が断たれ、労使関係で行なってきた作業が中断されたため、現在は労働者のための交渉ができるよう、作業を再開するプロセスにある。

5. 多国籍企業の進出状況

 多くの多国籍企業が進出している。例えば、ファーストフードでは、ピザハット、バーガーキング、ポパイズチキン、ウェンデーズなどが国内で事業をしているが、税金を払っていない。政府がこのような多国籍企業が社会的な責任を負わないことを許していることは残念である。
 シェル、テキサコ、ディプサなどの石油会社は、政府を操作し、高い価格で石油を販売している。ドスピノス社は20年間税金を払っていない。フリーゾーンでは課税されない。労働組合が義務の順守を要求すると、政府は動員を抑圧する。