2008年 エルサルバドルの労働事情

2008年11月12日 講演録

エルサルバドル民主労働者センター(CTD)
イリアナ エリザベス ゴンザレス フローレス

 

 エルサルバドルの労働事情は大変厳しいといわざるを得ない。政府の発表では、失業率6.57%となっている。しかしながら、現実の失業や貧困問題は非常に深刻であり、保健医療分野では、必要な薬品や資材が不足し、労働条件が悪い、国内の利便の悪い場所に住んでいる住民は医療サービスを受けることができない。また、生活費が高騰しているにもかかわらず、給与は非常に低い状況に置かれている。インフーマルセクターでの状況は更に深刻であり、人権や労働者の権利が侵害されているが、政府はこのような問題は存在しないと発表している。
 そのような状況に置かれている理由の一つとして、国の対外債務が非常に多いことがあげられる。対外債務だけで国内総生産の40.5%を占めるという大きさである。また、多国籍企業が入っていることも国の貧困に大きく影響している。
 最低賃金は、さまざまな産業に分かれて作られている。例えば、商業部門の最低賃金は200ドル、マキラドーラ部門は154ドル80セント、農業部門は74ドル10セントとなっている。(2008年)
 エルサルバドルでは貧困問題が深刻化しており、14の大企業が経済を牛耳っており、労働者の所得格差が拡大している。また多くの多国籍企業が進出しており、そこで働く労働者の労働環境は悪く、給与だけでは満足な生活が送れない金額となっている。多国籍企業では派遣、非正規の仕事が多く、彼らは雇用不安に悩んでおり、さらに社会保険、年金などの制度にも入ることもできない。また、大学を卒業しても、まともな職業に就くことができないのも実情である。
 労働者が組合員であるというだけの理由で解雇されている。特にマキラドーラ分野(メキシコの国境地域にある保税加工区。中南米の一部の国にも存在する)、多国籍企業でこのような解雇がよく見られる。
 2007年10月31日に、エルサルバドル統一労働組合協議会(CNUSS)という、組合の戦略的な連携が実現した。これは、CTDがSUTG(建設労働者組合)、STISSS(社会保健庁労働組合)、CATS (自営労働者連合)、CUTS(労働統一連盟)とともに2年前から努力してきた成果である。このような活動は反対勢力からの批判を受けているが、困難を乗り越えてこの活動を続けている。国際支援を受け、民主的な国の組合勢力となるために活動を続けていきたい。
 社会対話の政策や三者協議制度は機能していないため、現実的な民主的枠組みがないため、政府との協議も行われてなく、親密な関係ではない。
 また、労働者に対する職業訓練プログラムも実行しており、さらに一般の労働者に労働組合の意義、組合員になるメリットなどを訴えるための普及活動も行っている。
 他の中米諸国と同じように、インフォーマルセクターに働く労働者の人たちに対する保護を強化し、彼らが社会保障、年金などが受けられるような努力もしている。
 多くの多国籍企業の労働協約は人間開発と環境を考慮し、労使関係が社会保障、職場の安全と衛生、労働者の基本的な権利を尊重する内容となっており、特に、完全雇用とディーセント・ワークを促進するものであるという条件が付けられるが、外国からの投資は必要であり、特に多国籍企業が必要であると考えている。

2008年2月6日 講演録

エルサルバドル民主労働者センター(CTD)
ホセ アドリアン カスタネーダ ファハルド

建設関係労働組合事務局長

 

 エルサルバドルの人口は676万人、一人当たりGDPは2,654ドル、経済成長率は4.2%、失業率は7.2%(いずれも2006年)である。
 まずエルサルバドルの労働事情で特筆・注目される出来事を紹介する。2008年1月16日、政府と解放戦線(FMLN)が和平協定を締結(1992年)してから16年を迎えた。この間、残念ながらILO基本条約の受け入れなどの合意事項は何ら実現されなかった。しかるに2005年8月、以前と異なる経済的、政治的なメカニズムや環境の中で、政府はILO条約第87号、98号、135号、および第151号の各条約を批准する決定を行った。
 しかし、最高裁判所が第87号条約第2条を違憲と判断したことが、エルサルバドルの労働運動を震撼させた。われわれは、世界共通の基本的な人権がいまだに禁じられている事実を世界に訴え、エルサルバドルにおける組合活動の自由の危機と労働権の擁護の困難さに目を向けてもらいたい。
 次に、建設関係労働組合(ASTICSC)について述べる。われわれはCTDの基本労働運動スクールのおかげで、1年半前から組織化プロセスを開始し、建設類似関連産業労働組合という合法的な組織を結成し、組合員証は2007年11月13日に発給された。そして各地の建設工事の場所で組織の拡大に成功している。われわれは、この組織に属するが故に迫害され解雇されていた労働者の職場復帰、適切な賃金の支払いなどの成果を上げた。しかし、社会保障と年金の割当金を経営者側の管理にせず、労働者側の口座に送らせることについてはまだ成功していない。多くの労働者がわれわれの組合に加盟を希望していること、そして一つの権利としての社会対話を促す組合スクールに参加を希望していることなども、われわれにとっては偉大な成果である。