2004年 コスタリカの労働事情

2004年6月30日 講演録

Rerum Novarum労働組合同盟(CTRN)/コスタリカ
ファニー セケイラ マタ

コスタリカ教職員労働組合 全国執行部女性部長

 

 私の出身組織はコスタリカ教職員労組で、その全国執行部の一人です。コスタリカ教職員労組はコスタリカのナショナルセンターであるRerum Novarum労働組合同盟(CTRN)に加盟し、その中でも一番大きな組織です。私は専従で労働組合活動に従事しており、教職員労組での役職は女性問題もしくはジェンダー問題担当部長です。Rerum Novarum労働組合同盟(CTRN)では女性委員会の委員にもなっています。女性担当部長として、すべての労働組合活動に関するビジョンや考え方、感じ方を価値あるものにするために女性の個々人、集団の関心事を盛り込んだいろいろな政策要求活動を調整する仕事をしています。また全国執行部は組織の重要事項を決定する場でありますが、その一員として教職員統一調整機関のコーディネーターもしています。
 現在コスタリカでは、労働組合運動が長年の努力で達成してきた成果が破壊されるような強いネオリベラルの波に洗われています。国会における規制緩和の討議の中で、1日8時間の労働時間や給与体系の見直し、公営企業や公的サービスの民営化、年金制度の見直しなどが検討されています。労働組合運動つぶしの動きも出てきています。コスタリカでは労働協約を持っている労働組合はまだあまりないのですが、労働協約を持っている労働組合は違憲であるという言い方がなされ、告発されています。また、労働組合活動を理由とする解雇も行われています。労働組合活動のための会合の許可を申請しても許可されない状況があります。労働組合活動家が就業時間外に無給で行う会合も許されない状況になっています。
 こうした中で、コスタリカRerum Novarum労働組合同盟(CTRN)は、大きく分けて3つあるナショナルセンターの統一に向けての努力を開始しました。教職員の場合にも、さまざまな会議、交渉などが行われた結果、労働運動教員統一調整機関という調整機関を設立し、これはまだ緩やかな統一の段階ですが、これからさらに統一組織を確立すべく努力をしているところです。
 中米地域が抱えている問題として自由貿易協定(FTA、アメリカとの自由貿易協定)の問題があります。この問題は国レベルの問題ですが、FTAの問題も公共サービスの民営化や、今まで労働者を守ってきた法律の規制緩和などと同じく、労働者の権利を失わせる方向に向かっています。このような問題に関し、コスタリカの労働組合はILOに提訴を行っています。ILO総会時にも同じような訴えをするつもりでいます。その関係で日本のさまざまな組織の方々、連合の代表にも労働者の権利と自由のためにコスタリカの労働組合の訴えを支援していただきたいと思います。

個人の活動

 労働組合の役員としての私の仕事の1つに教育があります。労働組合運動についての知識を広める講義、女性リーダーを育てるための講義、そして政治経済的な知識を広めるための講義などを行っています。それらの教育を通じて、特に強いリーダーシップを持ち、ジェンダー問題にきちんとした考え方を持った女性リーダー、労働者の権利を守るリーダーを育てようと努力しています。また、全国レベルでもさまざまなワークショップを企画し実施しています。労働組合運動に関するワークショップ、政治経済状況に関するワークショップ、それからILOやORIT、ICFTUなどが行うワークショップへの参加のための準備もしています。
 コスタリカでは社会保障制度が様々な形で脅かされていますが、もう一つ大きな任務は女性に対する不公平をなくすための活動です。女性は賃金面でも仕事の内容でも、そして社会的にもまだまだ不当な扱いを受けています。そういった状況を広く一般の人々に知ってもらうための活動をしており、また、女性の役割について詳しい知識を持ってもらうための活動をしています。コスタリカでは女性に対する暴力、特に家庭内暴力が大きな問題となっています。家庭内暴力で命を失う女性も多く出ています。その問題に対する教材もつくっています。女性の不当な扱いを告発する教材、それから小学校などで男女平等な扱い、考え方を持たせるための教材などもつくっています。
 最後にもう一度繰り返しますが、コスタリカの労働組合がILOに行っている提訴に対して日本の労働組合のご支援を再度お願いします。労働組合権や労働者の自由に対する侵害では、コスタリカは世界でも17番目、中南米でも7番目にひどい国と言われているからです。