2001年 コスタリカの労働事情

2001年7月12日 講演録

フェリペ・エスピノサ・フェルナンデス
コスタリカ全国登録事務所労働組合書記長

 

労働組合の現状

 コスタリカは労働組合が大きな打撃を受けている国だと言えます。国際自由労連(ICFTU ) 、 の人権委員会の発表によるとコスタリカでは人権が尊重されていないとされています。特に中央アメリカ・カリブの国の中では、我が国はICFTUに対する2番目に労働問題の告発が多い国で、労働組合関係の告発件数というのは全体の14%を占めています。そのほかにも自由な労働組合が結成できないという問題の告発件数が17%、団体交渉ができないという告発件数が15%になっています。ILOも我が国の労働運動には自由な労働運動が行えないと指摘しています。例えば我が国ではソリダリスム(連帯)と呼ばれる組織が存在します。この組織は普通 の労働組合に並行してできているもので、経営側の資金で活動している団体です。ソリダリスムの幹部は経営側からの指名を受けた人間がなっています。もし1人の勤労者が仕事を探す場合に、労働組合はソリダリスムに入りなさいと言われます。ソリダリスムに入ればいい医療サービスが受けれるからというような甘い言葉があり、ソリダリスムに入るように勧誘するわけです。
 コスタリカでは公共部門の組織率が高くなっています。公共部門の労働者の組織率は大体64%です。これに反して民間部門の組織率は1.2%から1.3%だけです。つまり民間部門と公共部門の間では組織率に大きな差があります。そして私たち公共部門の労働組合は政府から圧力を受けています。政府は労働運動の活発化を妨げようとしています。政府は団体交渉をなるべく行わせないようにしています。これは全セクターで言えることで、民間セクターでも公共セクターでも言えます。特に公共セクターでは団体交渉をするのが大変難しくなっています。

CTRNの活動

 CTRNも8年前に団体交渉をして協約に調印をしましたが、これが実施されていません。それで労働裁判所に訴えて裁判が行われました。1つの裁判が6年、7年、8年と続きます。2年前に新たな団体交渉を行って締結をしましたが、まだ実施されていません。 コスタリカの場合はまず団体交渉をしたということで、調印した書類を労働省に提出しますが、労働省が承認しなければこの団体交渉は有効にはなりません。CTRNの団体交渉は有効にはなっていません。
 ILOからも、コスタリカでの裁判は遅過ぎるという指摘があります。CTRNでは、ILO条約や勧告を我が国の裁判官が守るよう運動しているところです。残念ながら私どもの国の裁判官は弁護士でもありますが、ILOの条約を知らないか、わざと知らない振りをしています。CTRNでは、我が国の司法界がILOの条約をよく知ってくれるように運動しています。
 コスタリカにはたくさんの労働関係の法律は存在します。しかしこれが実際には守られていません。例えば労働組合のリーダーですが、労働組合のリーダーというのは経営側のブラックリストに載っています。もし労働組合のリーダーが解雇されたりすると、ブラックリストに載っているのでなかなか新たな仕事が見つかりません。裁判所に訴えたとしても7年ぐらい裁判がかかってしまうので、その間は仕事もなく給料もなく暮らしていかなければなりません。例えば公共セクターから民間のセクターに移って仕事を探そうとしても、もう経営側のブラックリストに載ってしまっているので仕事は見つかりません。そういうことで我が国の労働組合のリーダーというのは大変つらい思いをしています。
 この8年間ぐらいですが、我が国では団体交渉ができないでいます。つまり団体協約が結ばれないわけです。既に団体協約があるところでも実施ができないでいます。我が国の最高裁に憲法裁判室というところがあります。ここで団体協約関係の問題の裁判の決定をしていますが、例えば今まで存在していた団体協約の中の一部の条項が非合法だといって、最高裁が無効にしてしまうこともあります。石油化学関連労働組合は、25年前に団体協約を結んでいますが、憲法担当の最高裁の部屋は、非合法だとしてこの団体協約を無効にしてしまいました。これは大変おかしなことだと思います。
 89年に3つの団体が集まり、CTRNを結成しました。なるべく多くのセクターを私たちの組織に集めていきたいと思っています。そして既成事実だけではなくて、もっともっと労働者の権利を強化していきたいと思っています。私たちの国では労働者の権利が守られていませんので、ILOに訴えたり、AFL-CIO(アメリカ労働総同盟産別 会議)にも訴えたりしています。しかし、政府は私たちを抑圧します。そういうことでナショナルセンターだけではなく、産業単位 の労働組合も一緒になって、いろいろな国際組織に対して訴えています。国際自由労連(ICFTU)も国際的なキャンペーンを行っており、コスタリカの政府に対しての反対行動を行っています。私たちは自由に労働運動をできる権利、自由に団体交渉をできる権利というものを獲得していきたいと思います。
 残念なことにコスタリカでは幼児の売春の問題もあります。
 もちろん、こういった我が国にある労働問題を国際機関やほかの国が助けてくれ、解決してくれるとは思っていません。私たち自身、内部で努力をすることが大切です。しかしながら私はこの機会を利用して、ここにいます中米・カリブの仲間たちや日本の皆さんにぜひとも協力をお願いしたいと思います。私たちは国際機関のいろいろな場を借りて、我が国政府が行っていることを非難していきたいと思っています。