2007年 トリニダード・トバゴの労働事情

2007年10月10日 講演録

トリニダード・トバゴ全国労働組合センター(NATUC)
イアン アインスレイ デペイザ

トリニダード・トバコ鉄鋼労働組合 職場委員

 

国の概要

 トリニダード・トバゴはベネズエラから約11キロの位置にある島国である。カリブ諸国唯一豊かな石油、天然ガスの資源を持っている。人口は約130万人。1800年代にトリニダード島とトバゴ島が合併してトリニダード・トバゴ共和国となった。両島間は30キロの距離にある。トバゴ島には内政自治権が与えられている。トリニダード・トバゴのサッカーチームは2006年のサッカーワールドカップ大会に初出場、強豪スウェーデンを破り世界の注目をあびた。

産業・経済

 石油産業は石油化学、天然ガスとともに国の経済を支える最も重要な部門である。エネルギー産業の拡大によって物流、運輸、建設が伸びGDPの3分の1を占めている。石油精製、石油化学を除く製造業の成長も堅調である。砂糖、コーヒーなどの農業も好調である。観光業も重要な成長産業で文化的な多様性、多文化の適度なブレンドが観光の魅力ともなっている。毎年トバゴで開催されるカーニバルとジャズフエスティバルは海外でも有名になって観光部門の成長を押し上げる潜在的な要因となっている。

労働関係法

 労働関係の法律改正の動きとして1960年の労働災害法をあげることができる。現場の立場からするともう時代遅れになっており労使関係法も含め改正を視野に政府との対話をすすめてきた。最近の成果としては2003年に成立した労働健康安全法がある。主要な企業も同法に従い安全で清潔な労働環境の整備、労働者の健康(疾病、薬物依存症、アル中、HIV/AIDSなど)に関する記録管理、企業内の安全に関する諸手続きを定めた。労使紛争においては政府が労働省を通じ調停をする。これは労使間の苦情処理手続き3段階に至っても解決できなったケースで第4段階となる。

労働運動とコングロマリット

 労働運動は上部から問題が起き下部へと波及している。トリニダード・トバゴ全国労働組合センター(NATUC)が分裂して第二のナショナルセンター「独立労働組合連合(FITUN)が生まれた。その影響はナショナルセンターを支えている下部組織である加盟組合に及び分裂が起きている。労働運動の弱体化につながるものである。産別は強力な団体交渉をすすめ政府、多国籍企業、国内のコングロマリットからよりよい条件を獲得し、かろうじて労働運動の砦を守っている状況である。

多国籍企業

 トリニダード・トバゴの一人当たりGNPは中米・カリブで抜きん出ている。1万ドルを越えているこの数字は必ずしも実態を反映するものではない。わずかな上位層が富を独占しているからである。
 外資における組合員の減少という問題がある。外資は専門職労働力となる若年者へは高賃金、毎年のボーナス支給などインセンティブを高めているため若者は組合に入ろうとしない。これは全国的な傾向でもある。
 国内外の労働者に解放されてきたカジノが何ヶ所かあり6000人が組織化されている。ここにきてカジノの閉鎖問題がでてきた。カジノ労働組合は政府と交渉を重ねてきたがマニング首相との会談ですべての関係労働者に雇用を確保するために5年の猶予をカジノ産業に与えることを確約した。