1999年 ジャマイカの労働事情

1999年6月30日 講演録

ジャマイカ労働組合連盟(JCTU) 
リリィス・ベロニカ・ハリス

執行委員

 

労働者教育の遅れ

 カリブ海の島国の一つである。パラダイスアイランド(天国の島)と呼ばれているジャマイカは、人口は250万人、失業率が15.5%、求職率は7.3%です。そして労働人口は112万6,000人です。
 経済の不均衡とグローバル化というチャレンジに私たちは当面していますが、その中で、私の組合であるジャマイカ労働組合連盟(JCTU)はいろいろな問題に当面しています。既に私たちの仕事はその状況によって導かれてきました。そして、それが私たちの組合のマニフェスト、宣言、それから憲章などにあらわれています。それからまた、使命宣言という中にも我々のやってきた仕事のこと、目標などが書かれています。この3年間、労使関係の制度についての検討を今までやってきました。その結果は特にジャマイカとか、あるいは世界の労働運動に特殊なものではありません。地域全体、あるいは国際的に労使関係というものが再概念化される必要が出てきています。
 ジャマイカの労働組合運動だけではなくて、我々の地域全体の労働運動、そしてカリブ労働組合会議で一般的な合意が形成されていると思われます。
 その焦点となったのは、教育、訓練に焦点をあわせなければいけないということです。それは一般的な意味でもそうですし、また具体的な意味でも教育へ焦点をあわせるということが必要になってきているという合意があります。これは決して新しいことではありません。私たちはずっと労働組合運動において労働者教育、あるいは労働組合教育のプログラムを持っています。新しく始めたということではありません。しかし、グローバル化、そして新しいチャレンジという環境の中で重点が変わってきたということです。その中で新しい教育、訓練に対する合意ができて、それを労働運動が今、実施し始めているところです。
 キャリコムという経済組織がありますが、そのキャリコムが労使関係について1995年に宣言を出しました。その中で原則をうたっています。その宣言の一つの特徴は、カリブ海全域の中で6つの労働大学を設立するという合意です。その6つの労働大学のうち、1つがジャマイカに設立されることになっています。この大学設立については既にかなり進んでいます。キャリコムと労働組合の組織であるCCR(カリブ労働組合会議)の両方が共同で、このプログラムを実施することになっています。

生産性運動の興隆

 他にも我が国の労働組合指導者たちの頭をいっぱいにしているさまざまな問題があります。その中の一つが生産性運動です。我々の国におきましてはそういわずに、新しい生産性文化の推進運動といっています。私たちジャマイカ労働組合連盟(JCTU)では、そのような運動が真の経済成長をもたらす基礎になるということを確信しています。そのため、私たちはソーシャルパートナーとして既にイニシアティブをとりました。実際にそれが始まっています。
 ジャマイカ政府は国民的なコンセンサスをこの運動についてまとめるためにいろいろな方法を考えてきました。生産性というのは必要不可欠であるということで、私たちは社会パートナーの間で共通の地盤を打ち立てようとしました。そして私たちはカウンターパートである政府及び経営者の団体との間に既にそういう共通の地盤というものを築きつつあります。
 そのような目的をもって、この2年間、JCTUは計画を実施しました。その中に部門別の協定、あるいは枠組み協定と呼ばれるものがあります。例えばジャマイカの重要な基幹部門であるボーキサイト産業において、経営者、そして政府との間でそのような協定が結ばれました。これは覚書の形をとっています。その中では社会的パートナー間でさまざまな規則を提示しました。これが労使関係の円滑化にも、またその他一般的な相互の理解のためにも大変効果があるということがわかりました。そのほかのさまざまな問題についてもいろいろ効果をもたらしています。

労使関係

 次に労働市場のパターンについてですが、私たちは政府との間でさまざまな議論を重ね、労働法制の改正に関する議論も重ねてきました。また経営や雇用パターンについても話し合いをしてきましたし、また労働組合に関する一般的な規則についても話し合ってきました。我が国がさまざまな変化を今経つつあるという状況の中でこのような議論を重ねてきたわけです。
 その結果、私たちの機構と我々のカウンターパートであるさまざまな機構との間の関係が強化されました。また民間部門との関係も強化されました。その結果、労使関係をめぐる風土、あるいは環境というものが安定化に向かっています。これは我が国の歴史の中で労使関係というのが対立が多く、非安定的であった、不安定であったといことから大きく変わってきているわけです。
 次に、先ほど申しました労働法の改正に関する点ですが、使用者団体が既に労働者、あるいは労働組合に与えられている権利に何らかの影響を与えようとする試みをしてきています。それらは余りはっきりした試みではなくて、微妙なやり方でそういう試みをしています。例えば既に認められた組合の認定を外すための提案などが出てきています。
 しかし、我が国にはかなり質の高い三者協議制というものが確立されていますので、そのような問題について私たちはかなり効果的に対処することができます。それによって不安定な騒動などを防止できています。JCTUの中でさまざまな論議がなされてきました。また政策立案がなされてきました。いろいろな慣行などもあるわけですが、それらを通してでき上がってきたJCTUの方針というのは、いろいろな決定をするに当たって指針となるものです。もちろん、それらの指針となるものは基本的にはILOの原則に導かれて出てきたものです。ILOのそのような原則というのは政治的なコンセンサス、効率性、平等、成長、社会的正義などです。
 最初の原則の政治的なコンセンサスの点ですが、我が国は二大政党制度をしいています。ということは、政府との間のどのような協定、合意も、どの政党が政権についているかにかかわらず効果をもつべきであるという原則であります。それから社会的な正義というものは非常に重要だと考えていますが、例えば労働市場を変えていく何らかの変更を労働市場に対して行う場合には、究極的には労働者の福祉というものを頭に置いておかなければならないということ、それが社会正義ということです。そしてまた政治的な決定によって労働者に弊害をもたらしてはならないという原則もそこに含まれています。

求められる雇用創出、安全衛生、男女平等

 次に経済成長も我々にとって非常に大切です。労働市場の運営に当たりまして、その運営の結果として生産性向上に資する必要があります。また雇用の創出にも役に立つ必要があり、また労働者の業績に適切な形で報酬を払うような、そういう形で労働市場の運営がなされなければなりません。
次に男女平等という点に対して、JCTUはもちろんこれを支持しています。どのような政策提案も全国的な計画も、ジャマイカにおいては必ず男女雇用機会均等を保障するものでなければなりませんし、また男女に対して仕事へのアクセスを保障するものでなければいけない。また教育、訓練の機会も同じです。また職場における平等な扱いも保障するものでなければなりません。そして適切な生活及び労働環境、労働条件を保障するものでなければなりません。その点で職業安全衛生というものは私たちにとって不可欠の重要性をもっています。
 JCTUは国際的な競争力、それからグローバル化という中でさまざまな問題を克服していかなければなりません。そのようなチャレンジを受けて立つつもりです。私たちが実施するさまざまな行動は実証的な証拠に導かれ、そして調査分析の結果に導かれたものでなければなりません。私たちはそのためのさまざまな道具を開発しようとしています。そして機構、機関としての組織強化をしていきたいと思っています。そしてコンセンサスを形成し、パートナーシップを大事にしていきたいと思います。私たちはさまざまな困難を克服していかなければなりませんが、それは私たちの指針となるものです。