2003年 ドミニカ共和国の労働事情

2003年7月10日 講演録

ドミニカ労働組合全国センター(CNTD)
ラモン エミリオ ペゲロヒメネス

ドミニカ金属コンプレックス企業労働組合 書記長兼CNTD労働争議担

 

国内の状況

 最近の政治、経済、社会情勢を理解するためには、1996年までさかのぼらなければなりません。その年の大統領選挙でPLD(ドミニカ解放党)が勝利し、レオネル・フェルナンデスが大統領に就任しました。フェルナンデス大統領は自由主義派の大統領で、全ての国営企業、特にエネルギー産業、航空産業、砂糖産業などを民営化しました。
 その後2000年の大統領選挙ではPRD (ドミニカ革命党)が勝利し、その党首イポリト・メヒアが大統領に就任し、2004年まで政権を担当することになりました。しかしながら、前政権の政策によって、労働者や一般国民の生活環境は悪化しました。特に賃金が引き下げられ、国内製品と競合する輸入品の税が引き下げられて、失業者がふえ、労働組合を結成できないような状況にも陥っています。民営化に参加した外国企業は、利益を米ドルで本国に持ち帰っているために、ドル高が発生し、生活必需品の価格が上昇し、病院が医薬品不足に陥っています。以前は1ドル17ペソでしたが、現在では35ペソになり、ドルは2倍以上に高くなっています。
 野党は、前政権の政策のせいにしておりますが、本当に悪いのは現政権です。前政権による民営化について、現政権が当時きちんと対処しなかったために現在の状況が起こっているにもかかわらず、前政権に責任を転嫁しています。ドル高が起こったために石油価格が上がりました。ガスの価格も上がりました。一般国民の必需品の価格も上がっていますし、輸入品の価格も上がっています。農産物価格も上がっていて、すべての価格が上がる状態になっています。
 政府は国際通貨基金(IMF)と合意に達し、それにより今後経済調整作業が行われると思いますが、これによって私たちの生活はより厳しくなると思われます。

CNTDの活動方針

 CNTDは、他のナショナルセンターや民間団体と協同して、政府や経営側に対して団結して、話し合いによりコンセンサスのある解決策を見出して、必要な改革を実現して、ドミニカ共和国の国民・労働者のために、社会、経済、政治状況を改善していくことを目指します。

具体的な運動方針

 CNTDの活動ですが、労働組合としてメーデーの日には抗議行動を行い、またフォーラムを開いたり、一般の労働組合が行うような活動を行っています。
 今年のメーデーでは、CNUS(全国労組協議会)という組織が主催して「合意された社会政策のための第一回サミット」が開催されました。このCNUSには4つのナショナルセンターが参加している組織で、将来、ナショナルセンターを一本化するためにこのような組織ができ、サミットを開くことができました。このサミットには大統領も出席しました。社会的な組織の代表、経済、政界の代表も参加しました。
 これ以外にも、カトリック教会が仲介した政労使の三者で構成される社会対話という行事がありますが、これにも参加しています。
 また、社会保険制度に関連して、法律第87-01号を実施するために活発に活動しています。
 今回の訪日直前の6月27日に、大統領を招待して朝食会を開きました。この朝食会は2時間ぐらい続き、その中で私どもは大統領に、CNTDの視点から見た様々な国内問題に対する懸念を表明しました。
 私の日本滞在期間中の7月20日には労働法に関するセミナーが開かれました。このセミナーには労働大臣も招かれて講演を行い、企業、労働組合、政界の様々な関係者が参加し大成功をおさめたということです。
 CNTDは特定の政党を支持していますが、組合員の中にはいろいろな政党を支持する者もおり、各人の政党支持を尊重し、それぞれ自発的な政党支持に任せております。