1999年 バルバドスの労働事情

1999年6月30日 講演録

バルバドス労働組合(BWU)
デール・リチャードソン・ハント

オルガナイザー

 

バルバドスの概要

 バルバドスは東カリブ海に位置しています。大きさは166平方マイルです。縦21マイル、横14マイルの大きさで、総面積は10万6,000エーカーです。人口は約26万3,000人です。そのうち成人人口は20万1,400人です。労働力人口は13万6,300人、そのうち11万9,000人が就業者です。失業率は12.3%、労働力率は67.7%です。
 バルバドスにおける最初の組合は労働者協会として1926年に、Dr.チャールズ・ダンカン・オニールによって発足しました。1937年に騒乱があり、その後、1938年にバルバドス進歩連盟が結成されました・この連盟から現在のバルバドス労働組合ができ、1941年10月4日に登録されました。
 バルバドス労働組合は一般組合であり、幾つかの部門から総数1万5,000人の組織人員を抱えています。その部門としては、砂糖産業、ホテル産業、政府部門、製造部門、銀行部門、小売部門、その他です。この組合は我が島で一番大きな単一の組合です。さらに公務員、教員、看護婦、警察官、刑務官、その他の職種の人たちを代表する公共部門の組合が幾つかあります。労働組合職員協会会議(CTUSAB)が1991年前後、経済不況の期間の後に結成されました(BWUにより結成)。
 バルバドス政府は、1977年、1981年及び1991年にIMF(国際通貨基金)の援助を受けざるを得ない状況になりました。その最後のときにバルバドス・ドルが大変な脅威にさらされました。政府、組合及び民間部門はプロトコル(議定書)と呼ばれる契約を結びました。それが社会パートナーシップの基礎になっています。1993年に最初のプロトコルが調印されて以来、2つのそれを引き継ぐ議定書が調印されました。社会パートナーたちは、よい政府、安定したプラスのマクロ経済的特徴をもつ経済、雇用と職業安定、すべての形態の差別の撤廃、及び法の支配の維持などを確保することを助けるために共同責任をとるというアプローチを一緒になって採択しました。

バルバドス労働組合(BWU)の活動

 経済は、観光、砂糖産業、製造業、海外銀行金融取引など、輸出部門がべースになっていて、それによって推進されている経済です。砂糖産業は伝統的に保護を受けてきました。しかし、世界貿易機構(WTO)の条件に合うよう調整を必要とされています。国内経済は不動産業、建設業、小売業によって推進されています。政府は非常に大きな雇用土、使用者でもあります。産業別の雇用の構成が次のように示されています。農業及び漁業6.2%、製造業10.4%、電気・ガス・水道1.8%、建設・石切り産業7.7%、流通業及び飲食業14.8%、観光業10.0%、運輸及び通信4.4%、金融機関4.3%、政府部門21.7%、その他のサービス部門18.7%です。最近、政府は労働運動にインパクトを与えるような幾つかの対策を採用しました。それらの中で最も重要なものは次の3つです。(1)公共部門改革、つまり行政改革。(2)正規雇用から非正規雇用への転換。(3)政府企業及び進国営企業の民営化及び商業化。組織率は民間部門よりも公共部門の方が高くなっています。全体として労働力の約25~30%が組織化されています。
 バルバドスにおける労使関係は自主主義によって特徴づけられています。組合は法律によって法的基礎を与えられ、ストライキやピケが保護されています。そのような法律的枠組みが設けられています。労働省が、斡旋や調停を援助しています。また法律は仲裁も設けていますが、これはほとんど使われていません。ほとんどの団体交渉は個々の職場において行われます。組合の書記局と職場委員がチームを組んで交渉に当たります。ほとんどの苦情の処理は職場委員が扱っています。例えば砂糖とかホテル産業のような幾つかの産業の交渉は産業レベルで行っています。政府関係の交渉は、先ほどのCTUSAB(労働組合職員協会会議)と政府の間で行われています。
 バルバドスではストによる労働損失日数率が比較的低くなっています。ほとんどの紛争が事業所内部、あるいはせいぜい労働省レベルで解決されているからです。
 バルバドス労働組合は多様な構造をもっています。書記局には幾つかの部門があります。財政総務部、調査研究部、教育部、労使関係部があります。
 組合には寮制の労働大学があり、それによって一般組合員の訓練が行われています。組合はまた幾つかの委員会を設けていて、一般の組合員が参加できるようになっています。それらの委員会の中には女性委員会、青年委員会、組織委員会、退職組合員委員会、そして政治行動委員会があります。組合は幾つかの経済サービスを開発いたしました。その中で信用組合をつくりました。それによって組合員が医療サービスヘのアクセスを受けることになりました。また、組合は組合員のための住宅を建てました。また営利企業の設立を助け、それによって組合員が雇用されるようにしました。
 バルバドス労働組合は全国生産性評議会に代表を送っています。労働組合運動は国づくりにおける生産性の重要性を強く支持しています。経済の落ち込みの結果、組合は何人かの組合員を失いました。その後、組合は1994年から98年にかけて組織化キャンペーンを始めました。そして組合員数は1万588人から1万5,890人に増えました。
 組織人員の所属する産業は次のとおりです。小売業、政府部門、プランテーション及び工場、ホテル産業、銀行及び金融業、その他です。総人員は、1995年に1万1,123人であったものが1998年には1万5,890人になりました。組合は一方で組合員のためのさまざまなサービスを充実し、同時に着実で持続可能な組織化の政策を堅持しています。バルバドス労働組合はカリブ労働会議、ICFTU及び幾つかのITSに加盟しています。
 組合の長い歴史の中で最も重要な指導者のうち3人が国の英雄として認められました。サー・グラント・リー・アダムズ、サー・ヒュー・スプリンガー及びサー・フランク・ウォルコットです。現在の事務局長であるリロイ・トロットマン氏はICFTUの会長であり、またILO理事会の理事でもあります。何年かにわたって組合は政治活動においても顕著な役割を果たしてきまし心組合は労働者のための安全ネットをつくり出すような労働及び社会法制を獲得してきました。これらの法律の中には次のようなものがあります。短期、長期の給付を伴う国民保険制度、有給休暇、出産休暇、賃金保護法、店員及び家事従業員のための最低賃金法、退職金法及び失業保険です。