2004年 ICFTU-ORITの労働事情
国際自由労連汎米州地域組織
モラルベル カリナ トーレス トレホ
青年担当
国内の状況
この2、3年の労働組合運動や組織を巡る政治、経済、社会的状況につきまして、最初にORITがカバーするアメリカ大陸全体のことを申し上げ、その後でORITが置かれておりますベネズエラのことについて話したいと思います。
南北アメリカ大陸では、あらゆる種類の富と資源が、限られた人々の手に集中しております。その結果排除される人々の数が増大し、そしてその経済効率一辺倒というネオリベラル的なグローバル化モデルが幅をきかせ、人権や労働者の権利、環境や社会正義が、ないがしろにされています。人々の経済的社会的な権利、環境問題への配慮が、完全に疎外されています。経済は投機的な金融投資家や特権階級によって牛耳られており、このプロセスを打破するためには社会の枠組みに穴をあけるシステムを確立することが必要であります。
現在のグローバル化は、特徴として南北アメリカの社会一般に分裂をもたらし、特に労働組合の中にも二元化と言いましょうか分裂をもたらしており、社会からの排除を助長しております。市場の論理が、政治や経済の論理を駆逐し、それに取って代わり、何事も経済という一面だけで見るようになり、環境や文化や政治に対する配慮を世界的な自由市場経済の下に置いております。その経済を代行している人々は、国家のあり方を変え、経済開発、貧困対策、環境保護、生産設備への投資や雇用増大といった国家政策の実現を妨げようとする意図がはっきりと見てとれます。
自由貿易協定や投資協定により、国家や人権が社会保障や教育のように、形を変えて商業的なサービスとして扱われようとしています。労働、社会の諸権利、生活の質といったものが、自由市場の原理にますます左右されるようになっています。結果として、多くの人々の生活条件の悪化につながっています。経済的統合や自由貿易のプロセスは、多くの人々に恩恵をもたらす方向で模索されているのではなく、市場原理や多国籍企業、また多国間機関やそれを支える政府のルールに従属しています。その中で、労働組合運動や他の市民運動が排除されようとしています。
このような状況の中で、若者の世代は人並みの雇用から排除されています。若者の世代は、労働人口のほかの世代に比べて失業率が2.3倍も高くなっています。若者の大半は、不安定な雇用契約や下請雇用契約の形態をとることを強いられており、このような雇用形態では報酬や安定性が大きく制限されております。中南米の幾つかの国々では、これらの若者は労働者とは認められておらず、労働組合に加盟する権利も認めていない国もあります。これはILO第87号条約と第98号条約の規定に明らかに違反しています。
若者は社会的保護から排除されています。なぜならば、18歳を超えると一般的に社会保障制度でカバーされなくなるからです。ほかの例として、よく知られていることですが、経済のインフォーマル・セクターで働いている人々は、いかなる社会的保護も受けてはおりません。大多数を占める低所得世帯出身の若者は、教育や職業教育を受ける機会がなく、そのため排除の悪循環が生まれております。
中南米では、新たな現象が生まれつつあります。教育を受けた若者が、自国で人並みの仕事を見つけられないため、他国へ移住する現象が起きています。この現象は中南米・カリブ海諸国の発展の可能性を低めることになります。これらの国々では教育の分野に予算を投入しても、若者が外国に移住してしまっては、若者からなんの利益も受けることができません。中南米の若者世代の中には、個人主義的で新自由主義的な価値観、それらの代弁者たちが喧伝している反労働組合的な価値観に、大きな影響を受けている者もいます。その一方で、労働組合には若者を引きつけ、組織に組み込む効果的な戦術に欠けている組合もあり、これが大きな問題となっているところもあります。
国によっては、労働組合に加盟している青年労働者が労働組合構造の中に参加し、その中で昇進するするチャンスを常に見出せるわけではなく、このことが現在の労働組合運動の強化や発展の障害となっており、克服すべき課題となっております。
中南米の状況を簡単に申し上げましたが、この状況はベネズエラの状況を理解するための鏡としても役立ちます。
ご存じの方も多いと思いますが、ベネズエラはかなり複雑な政治、経済、社会状況にあります。ベネズエラのウーゴ・チャベス・フリアス大統領は、現在重大な社会革命に直面しております。国民の多数が大統領の退陣を要求しているからです。しかし大統領を支持し、退陣を望まないベネズエラ国民のグループもあります。
ベネズエラでは現在、労働組合運動の自由が猛烈な攻撃にさらされています。チャベス大統領が、ベネズエラ最大で、ORITにも加盟しているCTV(ベネズエラ労働者連合)に対抗して、CTVと並行した形で、別の労働組合組織をつくったためです。政府により設立されたこのボリバル労働者勢力という組織は、政府の利益のために活動する組織となっており、政府から経済的支援も受け、三者協議の場にも招かれています。一方で、CTVは大統領の辞任を要求する国民グループのリーダーになっており、いわゆる野党の一部となって、ベネズエラの歴史で初めてのことですが、労使が連携して政府に反対しております。現在、野党は憲法に沿った辞任を求めて、現大統領が統治を続けるべきか否かを決定する国民投票の実施を要求しています。
ベネズエラの現状について、まだまだ話さなければならないことがたくさんありますが、現在ベネズエラは最大の経済、社会、政治的危機にあるということだけ申し上げておきます。失業率が急上昇しており、またインフォーマル・セクターも増大しております。暴力や敵意がさまざまな団体や政府機関、社会に増大しています。すべてのベネズエラ国民がこの国家的危機からの脱却を望んでいますが、現実は破壊的で時はどんどん流れていき、国民は紛争に疲れ果てています。ベネズエラが回復して新たに世界の中に居場所を取り戻すには、まだ何年もかかるでしょう。





