2007年 フランスの労働事情

2007年2月21日 講演録

フランス民主労連(CFDT)
ソフィー・カザール

ミディ・ピレネー地方労働組合 雇用・職業訓練(社会法制)担当

ヤン・ターディバル
フランス労働総同盟「労働者の力」(CGT-FO) 会長代行補佐兼青年委員会書記長

 

フランスの労働市場

 フランスは人口約6251.9万人、労働人口約2761.9万で現在の求職者は約271.7万人。就労者は2492.1万人(男1349.6万人、女1142.5万人)。就業者の76.5%が民間で公務部門が23.5%を占めています。失業率は2006年末で8.7%(211.2万人)。この数字は前月に働いた労働時間が78時間未満であった人で現在正規の仕事を探している人です。ここ5年内で最も低い失業率ですが求職者の約42.5%が長期失業者です。若年者(24歳未満)の失業はニートを含め22%と高い。

雇用の多様化

 過去50年の間に雇用構造に大きな変貌が見られました。一つは賃金労働者の増加です。1955年に66%だった賃金労働者が2005年には89%に増大しています。そして第三次産業における雇用機会の増加と女性の進出があります。女性の雇用率は45.8%と倍増し男性の雇用率(54.2%)に近づきつつあります。雇用の不安定化と多様化もすすんでいます。2005年には11.5%が不安定雇用でした。この20年間に不安定な契約が労働者では1982年の6%から2002年には14%に、マネイジャーでは1.5%から2.5%に増加しています。
 2003年では従業員10人以上の企業は臨時・配転を除いて70%が有期契約でした。経済環境にもよりますが有期契約の30~40%が1年後には長期雇用になり40%が未だに有期契約で15%が失業しています。臨時労働者の25~30%の人たちは1年後には長期雇用に45~50%はまだ臨時雇用にあって14~23%が失業しているという統計が出ています。

非典型労働者

 非典型労働者は2005年では約400万人を記録しています。有期契約、臨時雇用、補助的な業務契約、契約上ないし徒弟制度による見習い、パートタイム労働者がこの数字に含まれます。パートタイムの仕事が雇用の不安定要因にもなっています。パートタイム労働者の割合は17.9%で他の国々(デンマーク22.4%、オランダ46.8%、英国24.8%)と比較しても低い。

高齢化社会

 高齢化社会の課題として高齢者の雇用問題があります。フランス民主労連(CFDT)では90年代に年間約41万人であった退職者が2015年には63万人になるだろうと予測しています。フランスでは仕事を続けている高齢者(55歳~64歳)は38%(2006年)にすぎません。スウェーデンでは69.6%、英国は56.2%と多くの高齢者が仕事を続けています。しかし57歳以上の失業者は増える傾向にあります。

労働移動・転職

 転職は本人理由と会社都合がありますが若年者の割合が一番高い。資格が少ないか低い資格しかもっていない若年者にその傾向が強い。年齢が高くなればなるほど転職率は低くなります。30歳未満の転職率は65.1%、30~49歳は31.7%、50歳以上は12.2%。ある調査によると学卒者の4分の一が労働市場に入って7年しても無期限の契約を結ぶまでに至っていません。フランスでは同一企業での勤続年数平均は他の国々より高く11.7年ですがイギリスでは8.4年、デンマーク8.7年、スウェーデン12.2年、アメリカ6.6年です。
 転職は一般的には社会的地位や専門性の低下を伴います。この傾向は1980年代の3%から2000年以降の7%近くまで過去20年の間に2倍になっています。そのような経験者は失業するか求職をあきらめる可能性があります。一方、上級職への転職は多くの場合30~34歳に行われています。1998年~2003年に男性の3人に1人が30代で転職していますが女性の場合は同じ期間で10.5%でした。

労働時間

 労働時間は週35時間労働に対して実際は2004年で35.6時間(従業員10人以上の企業)で10人以下の企業では36.9時間でした。年間労働時間は1660時間で他の国々(デンマーク1,720、オランダ1,790、イギリス1,910)と比較しても短いといえます。労働時間の最大値と最小値の間に大きな差はないことが特徴といえます。

最低賃金

 最低賃金(SMIC)は現在1時間当たり8.27ユーロ(約1,281円@155),月当たり1,254ユーロ(約194,370円)。最低賃金で働いている労働者2人のうち1人は従業員10人以下の企業で働いています。資格をもたないあるいは途中退学したような人の多くが最低賃金の仕事についています。最低賃金の仕事についている若年者の比率も高い。また最低賃金で仕事をしている女性の割合は男性の2倍になっています。労働組合としては従業員5,000人以上が従事する職業158のうち133については団体交渉をして賃金の枠組みを決めますので最低賃金以上の金額を設定することができます。

貧困層

 貧困層の問題があります。約690万人といわれる貧困層は月当たり所得が657~788ユーロ(101,835~122,140円)です。この中には片親しかいない家族や多くの独身者が含まれている現実があります。

労働事情を聴く会