2003年 ロシアの労働事情

2003年2月5日 講演録

ロシア独立労働組合連盟(FNPR)
ナターリヤ ワシーリエヴナ コロフコーワ

ロシア独立労働組合連盟 組織部主任専門官

 

 ロシア独立労働組合連盟(FNPR)は、1990年に設立されました。FNPRには43の産業別織が加盟をしており、78の地方組織を有しています。
 加盟組織人員数は3,690万人です。直接加盟はしていませんが協力関係を持っている5つの組織を入れると、総組合員数は3,770万人になります。
 この組合員数には、年金生活者も含まれており、その人数は、240万人です。FNPRに加盟している単組の数は298,500です。それらの単組で役員を務めている女性の割合は57.5%で、35歳未満の青年指導者の割合は12.6%です。

国内の状況

 国内の経済情勢は非常に複雑な状況の中にあります。国民の生活水準が切り下げられ、実質所得が低下しました。国の予算で社会保障に割かれる額が切り下げられてきました。国家が行っている社会政策は、国際的な基準やロシアの憲法で定められている水準を下回っています。
 そういう状況の中で、FNPRは加盟組織と力を合わせて、政府や使用者に対して、さまざまな要求活動を行っています。その1つは、現在も続いている賃金の遅配問題です。賃金と年金の最低レベルを最低生活費のレベルに合わせて設定するよう要求しています。各生産現場での労働安全衛生面の確保と向上を要求しています。
 この4年間、マクロ経済的に見ると、ロシア国内の経済は成長しています。賃金も全体的に見ると上がっていると言えると思いますが、世界市場における石油価格の上昇のおかげでマクロ経済の成長が維持できています。しかし、今後とも石油価格の上昇だけに頼っていくのは不可能なことだと考えています。ロシアの個別の産業部門は、十分な競争力を持っていません。国民の購買力は、まだ十分な所得がないために成長していません。
 平均所得を見ますと、危機的な状況からは一応は脱しています。当初の170ドルと同じ水準が維持されていると言われていますが、現在の平均所得をドル換算しますと130ドルで決して上がったとは言えません。
 賃金の遅配問題は現在も続いています。その85%は民間部門におけるものです。FNPRは、民間部門での遅配問題に対しても、国としての施策がとれるのではないかと考えています。国には、労働基準監督省や裁判所などの機関がありますので、そういった国の制度を活用して賃金の遅配などがないように、施策をたてることができると考えています。
 昨年末に、政府は国家公務員の賃金を1.89倍引上げると言いましたが、一時金が廃止される方向なので、実質の賃上げ率は1.6%でした。現在政府は、賃金の支払い制度を改定していくことを検討中です。国家公務員に対しての、統一賃金支払い制度を廃止する方向で検討しています。廃止するということは、最終的には国家公務員に対する賃金支払いの義務を放棄するということに近いのではないかと思います。そういう政府の政策の影響を受ける国家公務員の組合数が26あります。このように多くの労働者の利益を損なう政府の政策をFNPRは受け入れるわけにはいけません。
 賃金の遅配問題、社会保障問題、労使間のの問題を話し合う政労使三者委員会が設立されました。

FNPRの活動

 現在大きな問題となっているのがいくつかあります。一つは公益事業の改革です。また、社会保障制度の改革の問題もあります。例えば社会保険制度にこの2年間税金制度が使用されてきましたが、あまり効果的ではないことが判明しています。十分な資金が、この社会保険に蓄積されていかないという現実もあり、FNPRとしては、こういった制度に反対しています。社会保険制度が税金制度になりましたが、十分機能していません。また、政府がかつて行っていた雇用基金制度、失業保険に対しても、政府からの予算が削減をされています。この失業保険は、十分な形で支払われておらず、また、支払いの時期もおくれているという問題があって、労働市場にかなり悪影響を及ぼしているのが現状です。
 こういった状況で、労働組合が悩んでいるのは、ロシア国民雇用促進プログラムというものが策定をされ、一般協定(ゼネラル・アグリーメント)が政府との間に結ばれましたが、雇用促進のプログラムに関する一般協定の内容を政府はきちんと実行していません。
 こういった形で国内には社会問題が山積しています。このような状況下で、FNPRとしては労働組合として何ができるかということで、組合員の生活を保障し、また社会的な権利を保障し、そして賃金の支払いをきちんと行っていくという課題を達成するために、労働協約を締結するためのキャンペーンを行っています。2者間もしくは3者間で労働協約を結びながら、きちんとした形で労働条件を確保していこうという行動です。政労使の代表の間で2002年から2004年までの期間の一般協定が締結されたところです。
 ロシアにも労働法があり、この労働法に基づいて、社会的パートナーシップをもとに労使関係を構築していくことになっています。団体交渉を行って労働協約を結んでいく方向になっていますが、その労働協約を結ぶために、労働組合としては一致団結して、力を合わせて闘っています。また、FNPRとしても、交渉に当たっては、それぞれの交渉がうまくいくように、側面からの支援や直接的な参加を通じて様々なレベルでの協約が結ばれていくよう積極的な活動を展開しています。
 活動の一環として、2002年10月17日に、全国規模での集会やデモを組織しました。約900万人の組合員が参加して、各地方都市、州の首都のような大都市で、大規模な集会、デモも行い、労働組合員の不満を表明しました。労働条件の向上と賃金引上げを要求して行動を行なったわけです。その一環として、アピールを採択して政府、大統領に対して、書簡を送りました。
 こういった活動の成果は、すぐ目に見える形であらわれませんが、国会議員からは回答もありました。しかるべき関係省庁で、状況、現状の分析を行うようにという指示が出されました。なかなか解決には進みませんが、少しずつ改善の兆しが見えてきた状況です。労働組合の活動が効果的に行われるかどうかというのは、社会への影響力を労働組合がどのぐらい持っているのかということだと思います。社会的影響力は、どれだけ大きな組織なのかということだと思っています。その意味で、2002年にFNPRとして、モチベーションづくりの構想を策定して、組織率の向上、新たな組織化の拡大を進めていこうと計画しています。

ドミトリー ユーリェヴィッチ オストロウーモフ
スベルドロフスク州労働組合連合会 主任専門官

 

 スベルドロフスク州は周辺の他の国の国境線からかなり離れた所に位置しています。なぜ地理的な状況を説明したかというと、国境から距離的に遠いという条件が理由となって、旧ソ連時代に軍事産業が発達したということを言いたかったからです。

スベルドロフスク州の状況

 人口は450万人、労働力人口は170万人です。労働組合員数は120万人。最低限生活に必要な金額は一ヶ月68米ドルです。平均賃金は148米ドル。基礎的な食品の価格は米1キログラムが60セント、牛乳1リットルが70セント、牛肉1キログラムが3ドル、ビールジョッキ1杯が1ドルです。
 主要産業は、冶金、機械工業、軍需産業の3です。この3つの産業の平均賃金は、約。300ドルです。州都はエカテリンブルグです過去4年の間に州都エカテリンブルグでは商業が盛んになり、中小企業がたくさん生まれるという変化を経験しました。基礎的な工業分野・生産分野から、サービス分野への労働力の移動が起こっています。これまで大企業に勤めていた労働者が、新たに生まれた中小企業へ移ることによって、大企業で働いていたときに労働組合に加盟していた労働者が労働組合から離れていき、労働組合員数の減少を招いています。
 州都エカテリンブルグには、スベルドロフスク州全体の人口の3分の1に当たる150万人が住んでいます。スベルドロフスク州の都市の多くは、企業城下町としてつくられています。1つの企業が、そこに存在することによって、働く人たちでその都市が生きるということです。伝統的に、城下町を形成している企業が社会分野のサービスも行ってきました。例えば、幼稚園、病院、学校、暖房なども、その企業が提供してきたわけです。昨年、スベルドロフスク州では、これまでそういった社会的なサービスを負担していた企業に対する法人税の優遇制度が撤廃されました。今まで企業が担ってきた社会的なサービスが地元の自治体の負担になることになったわけです。結局、予算がなくて、幼稚園、病院などが閉鎖されているという状況です。そのため社会的な不安や緊張が増しています。
 主要産業の1つである冶金分野では、アルミニウムや非鉄金属などが生産されています。スベルドロフスク州の経済は金属の国際価格に大きく依存しています。過去3年の間に、スベルドロフスク州内の大企業のほとんどが、いくつかの持ち株会社に集約されてしまいました。生産工程をすべて残したまま、持ち株会社に集約されたわけです。金属の採掘から精錬、そして市場に出るまで、生産のサイクルのすべてが、過去同様残っています。
 例えば、鉱山労働者による抗議行動によって企業に余分な支出やマイナスが出た場合でも、他の企業活動の分野で補填することができることになりました。機械工業、軍需工業、それから冶金工業は、労働条件が厳しい分野で、生産現場での不慮の災害が増えています。

労働組合の活動内容

 先ほど申し上げました持ち株会社は、現在、州内に5つあります。そうした持ち株会社に対抗するために、労働組合側は規模を拡大しようとしています。労働組合の規模拡大の方法としては類似の産業でまとまっていこうという方法をとっています。現在、州の労働組合連合体には、25の産業別組織が参加しています。25の産業別組織は、統合に向けて活発な協議を行っており、最終的には、それらを6つにグループに分け6つの産業別組織に改編したいと思っています。
 そのように、まとまって規模を拡大して団結することによって、労組側としては、賃金の遅配をなくし、未払いをなくし、賃金の引き上げなどを要求していくことになります。現在、3,200万米ドルに上るの賃金が州全体で遅配になっています。最も遅配がひどいのが、発電所のタービンを製造する企業で、4カ月分の賃金が未払いになっています。このタービン企業では、2000年の1年間に4人の所長が代わりました。最後の4人目の所長と労働組合との間で、遅配をなくすための問題解決の文書に調印しました。昨年10月17日以降、FNPRの傘下組織であるスベルドロフスク州の労組でも、賃金の未払いの問題解決や、賃金引き上げを求めて、各地でデモや集会が行うようになりました。
 今問題になっているのが、労働組合幹部の高齢化の問題で、幹部の平均年齢が57歳に達しています。職場段階の労働組合活動家にも、同じような高齢化の傾向が見られます。労働組合の幹部や活動家の高齢化が進むと、労働組合全体の闘争心が薄れることになってしまいます。8カ月前に、私共は若い世代を労働組合活動に引き込むためのプロジェクトを立ち上げました。25歳から35歳の組合員の活動を支援していこうと思っています。
 3カ月前に、労働組合評議会の中に広報担当部署を新しく設置しました。この部署を通じて労働組合の情報を組合員や外部の労働者に伝えていくということが第一の課題です。同時に、労働組合員に宣伝活動も行っていく予定です。
 私共の調査では、全組合員の5%しか、労組が何のために存在し、何をすべきなのか、現在どういう状況におかれているのかをきっちりと説明できる労働者がいません。残りの95%の労働組合員は、頭の中では、まだ旧ソ連時代の労働組合に対する考え方が残っています。

全ロシア労働総連盟(VKT)
ボリス クラフチェンコ

全ロシア労働総連盟 国際局長

 

国内の状況

 ロシア連邦の総人口は、1億4,600万人です。労働力人口が7,300万人です。産業分野別に見ると、農業林業分野に従事をしている人口が、14.1%になります。鉱業部門に従事しているのが、22.5%。建築部門8%。残りの55%が、国家公務員、そして中小企業になります。正式に登録をされている失業者数、150万人。ILOの方式では、12%の失業率です。

VKTの活動

 登録をされているナショナルセンターは13あります。一番大きなナショナルセンターは、ロシア独立労働組合連盟(FNPR)です。ただ、組合員の数の計算の仕方は、いろいろと議論の余地がありますが、現在の段階では、FNPRが最大規模のナショナルセンターとして認められています。
 KTRとVKTは協力関係にあります。両方とも95年に設立されました。現在この2つの組織を統合しようという動きになっています。統合のプロセスが現在どのように進んでいるかについての情報を、組合員がインターネットのホームページでも入手することができるようになっています。
 2月の末にKTRは、大会を行う予定です。VKTは、3月に大会開催を予定しており、おそらく両方の団体とも統合に向けての最終的な決定をくだすのではないかと思っています。VKTの組合員数は、130万人です。今回参加している3組織ともICFTUに加盟をしています。VKTを構成している労働組合は、1985年以降始った改革の波に基づいて設立された新しい労働組合が、ほとんどです。
 1989年7月11日にソビエト初の鉱山労働者のストライキが全国規模で行われました。この1989年7月11日に行われた鉱山労働者の全国規模ストライキが、労働組合の活動が復活をした日と見ています。このストライキが行われて、その直後に初めての労働組合が生まれましたが、その最初の労働組合、独立鉱山労働者労働組合が、VKTに入っています。
 このストライキによって、真っ先に設立された鉱山労働者の労働組合を中心に、新たな労働組合をつくる動きが始まったわけです。現在、VKTに加盟をしている産別組織は5つです。その中でも、一番大きな産別組織というのは、鉱山・採掘産業労働組合です。公的サービス部門の全国規模の労働組合が産別としてできました。民間および地方自治体レベルの交通運輸部門の産別組織を加盟しています。VKTの中でも、モスクワの地下鉄の労働組合は非常に大きな単組があります。このモスクワ地下鉄労働組合は、職種としては機関士をしている女性が、非専従でリーダーを務めています。それぞれの産別組織は、国際産別組織(GUF)にも加盟をしており、1つはICEM、UNI、それから、金属労働者連盟(IMF)に加盟をしています。
 VKTの副議長は、現在、国会議員でありますが、我々としては、それが非常に大きな意味を持っているとは考えていません。全体的には、国会の中に30人の労働組合推薦の議員がいます。この30人の労働組合出身の議員の会派はさまざまですので、政治的な指針は、さまざまに異なっていますが、労働者を守るという方向性では団結しようということで、会派を超えた超会派グループをつくって、労働組合運動を守る方向でも進めています。
 ところが、先ほど労働法の話がありましたが、なかなか労働組合出身議員の活動というのが、まだ十分な効果を発揮していないのが現状です。FNPRとは違って、私どもは決して使用者を労働組合の活動の中には入れないという方針を採っています。また、VKTとKTRは、労働者の権利を確実に守ることを指導しています。この点に関しては、決して譲ることはできません。
 残念なことですが、新しい労働法が採択をされて、労働者の基本的権利が侵害されるか、もしくは、その労働基本権を守るその条件が悪化したと言えると思います。労働基本権の中でも団結権は、旧ソ連でも、また現在のロシアでも、いつの時代にあっても、どこか制限をされていて、侵害されてきました。団結権を獲得するため、つまり労働組合を設立するためには、必ず登録をし、許可を得なければいけない許可制度になっています。特に、少人数の小規模の労働組合は、著しく権利を侵害されていて、団体交渉が難しく、または労働協約を結べない形になってしまっています。また、新しい労働法では、労働組合員の権利がきちんと守ってもらえない状況、つまり労働組合員を簡単にやめさせてしまうような条件がつくられてしまいました。また、新労働法では、労働組合というのは、企業の社会的または経済的問題に関しての話し合いに参加ができず、また協定が結べないという状況です。この労働法では、労使関係の自由化という形で叫ばれていますが、この労働法の中に現政権の方針、労働組合に対する姿勢というのが、よくあらわれていると思います。
 先ほど、FNPRの説明の中で社会保険の制度の改定について話がありましたけれども、まさにこの税金制度を施行している間というのは、この社会保障の部分において、著しく権利が侵害されていると言えると思います。基本的に、この社会保険基金は、どんどん解体されてしまい壊滅状態と言える状況にあります。病院で治療を受けたときのカルテをもとにしての支払いのみが保障されるというのが現状だと思います。また、労災による失業もしくは労働不可能な状況に陥ったときの手当というのも悪化しています。最低限しか保障されないのが現状です。また、国が運営をしていた年金制度も、民営化の方向に向かい、結局は国家が年金の支払いに対しての義務を放棄する現状にあります。現在の年金生活者が今後年金をどこからもらえるようになるのかは、非常に大きな問題です。また、労働組合がなく、労働者と使用者が1対1で向かい合わなければいけないような状況に置かれてしまいますと、使用者側のほうが権力があるわけですので、搾取されてしまうのが現状です。VKTの立場は、ロシア国内の最大規模のナショナルセンターであるFNPRとは違って、社会パートナーシップ制度に対しては、あまり楽観的な見方はしていません。
 先ほど、一般協定(ゼネラル・アグリーメント)が、国レベル、連邦レベル、また産別のレベルで結ばれているという話がありました。しかし中身は空っぽというのが現状ではないかと思っています。このゼネラル・アグリーメントも、十分な資金の供与が構想されていませんので、最低限の社会的な保障も保障されていないのが実情です。結局、この社会保障を守っていくためには、それぞれの企業レベルでの交渉に任されてしまっています。しかし、企業レベルの組織といっても、大小あり、大企業で民主的な運営をしている組織は、ある程度の社会保障は達成できているのではないかと思います。
 VKTとKTRは、社会的に影響力の強い団体ですので組織化もどんどん進んでおり、組合員の数も増えてきています。今後統合をした暁には、さらに力をつけることができるのではないかと考えています。

ロシア労働総連盟(KTR)
レオニドイワノヴィッチチーホノフ

ロシア港湾労働組合評議会極東支部評議会議長

 

KTRの活動

 5つの産別組織で構成されています。主に運輸部門の労働組合をまとめています。海員労働組合、港湾労働者労働組合、航空管制官労働組合、鉄道関係働組合が主たる労働組合です。5つ目の産別組織は、旅行サービス部門の労働組合です。この港湾労働者と海員は海で働く労働者ですので1つの産別組織としてKTRに加盟しています。KTRの総組合。員数は160万人です。地域組織は50あります。
 KTRの第1の方針は、組合員、労働者の社会的、また労働条件を確保し、守っていくことです。具体的にいうと、労働の安全衛生面の確保、賃金の確保、労働協約の締結、産別の賃金に関する協約の締結です。この方針を実施するための活動として、ストライキや抗議行動を行ったり、また法案作成への参加をしたり、積極的に活動を行っています。私たちの活動も、それなりの成果をもたらしていると思います。
 1カ月前に航空管制官のストライキが行われました。その結果として、賃金引上げに成功しました。賃金は、組合員の中でも、特に海員や、港湾労働者、航空管制官等の賃金は、ほかの産業部門で働く労働者の賃金と比較して差があります。例えば、海員の最低賃金は、1,200ドルです。この額はほぼ国際運輸労連(ITF)が掲げている最低レベルに合致しているかと思います。
 次に、港湾労働者の賃金はいろいろと差があって、変わってきています。300ドルから350、400ドルといった形になっています。この件に関して、1月に行われました大会の席上でも、この賃金の格差を是正していこうということで、特にこの港湾労働者は各港ごとの賃金に関しての協定というものを結ぶ方向で進められています。その協定に基づいて平均賃金を引上げていこうとしています。KTRは、ほかの団体との協力も進めています。例えばVKTとの協力関係を進めています。
 次に、法案づくりにKTRがどう参画しているかについて説明します。先ほどの発言の中にもありましたが、昨年の初めに、ロシア連邦は労働法を改定しました。KTRとしては、新しく採択されたロシア連邦労働法は、労働組合、労働組合員の権利を著しく侵害するものであると考えていますし、また、ILOの条約にも合致していないと考えています。KTRとしては、この法案の段階から採択反対運動を積極的に行っていました。法案の段階で意見、要求を掲げてきたので、その結果として、幾つかの条項には変更が加えられました。しかし、この労働法改正は、当初、私たちが目指していたことが100%達成されたとは言えないと思います。
 この労働法というのは、労使関係をさらに複雑化させてしまうものだと見ています。この労働法の424の条項のうち、106の条項が団体交渉に委ねるということになっています。労働法は、法に基づいて最低生活費の額のレベルが引き下げられると規定しています。ロシアには最低賃金を定める法律が制定されておりません。
 私たちが新しい労働法でどうしても受け入れない点、特に断固反対をしたい点は、労働組合のリーダーに使用者からの賃金支給を認めていることであります。労働組合の幹部が、使用者から賃金を得ることは、労働組合の活動の透明性や、活動の内容にも大きく影響を与えてくると思います。

労働事情を聴く会