2010年 ルーマニアの労働事情

2010年10月22日 講演録

ルーマニア自由労働組合同盟(CNSLR-FRATIA)
アナマリア・ペトク (Ms. Ana-Maria Petcu)

国際部英語圏主任  

オアナ・ストラティシゥク (Ms. Oana Straticiuc)
事務局長アドバイザー

 

1.ルーマニアの労働状況

 2007年に、ルーマニアも将来的に他のEU諸国のように生活水準を引き上げていきたいという希望を持って、新たにEUに加盟した。2010年の段階で、生活水準は向上したが、経済危機のために国際通貨基金(IMF)の支援に頼らざるを得なくなった。そのためIMFからの条件が課せられ、厳しい状況にある。
 2010年のルーマニアの総人口は2,146万2,000人で、その内約970万人が労働力人口である。つまり非労働力人口が半数以上の1,100万人以上で、その中には約400万人の年金受給者を含む。労働力人口の内、就業人口は約900万人、失業者が78万7000人となっている。
 約600万人の被雇用者の内、98%が期限の定めのない契約で仕事をしており、55%が男性である。自営業者約300万人の中には、弁護士、アーティスト、ベビーシッター、タクシー運転手などが含まれる。
 2008年12月から2009年12月までの1年間に失業率が3%以上上昇し、70万人以上が失業した。主な原因は公務部門における解雇、民間部門のレイオフで、世界金融危機により多くの中小企業が深刻な打撃を受け、閉鎖に追い込まれたからである。
 もうひとつの特徴は移民労働の問題である。約250~260万人がイタリア、スペイン、ドイツ、ハンガリー、カナダなどに出稼ぎに行っている。EU加盟により移住労働者に関する政策が緩和されてきたこと、ルーマニアでは生活水準・労働条件が上がらないことから、1990年代半ばに約7%だった移住労働者比率は2000年半ばには30%にまで上昇した。移民労働者の権利確保のために、現地の組合やNGOとの情報交換、協力を行っている。
 ルーマニアの最低賃金は1ヶ月600レイ(約16,000円)、平均賃金が1,400レイ(約37,000円)となっている。 

2.ルーマニアの労働組合運動 

 ルーマニアにはCNSLR-FRATIAをはじめ、BNS、CARTEL “ALFA”、CSDR、MERIDIANなど5つのナショナルセンターがある。    
 CNSLR-FRATIAが最大の組織で、組合員80万人、国際労働組合総連合(ITUC)、欧州連合(ETUC)に加盟している。傘下には、医療分野、石油産業、教育、公共サービス、商業など35の産別と41の地方組織がある。組合費は最低賃金の0.05%である。
 CNSLR-FRATIAの目標は、組織強化、社会対話のパートナーとして労働者の権利と利益を擁護すること、国民の生活水準の向上、EUの生活水準と同等なディーセントな生活のための闘いである。組合員の半数が公務部門労働者であり、政府の緊縮財政政策が大きな影響を及ぼしている。

3.労働組合の直面する課題と対応

 ルーマニア政府は、国際通貨基金(IMF)に129億5,000万ユーロの追加融資を要請している。国の財政負担を減らす努力の中で、公務員基本給の25%削減、失業給付金の15%削減、公務部門の10万人解雇、付加価値税の19%から24%への引き上げなど、さまざまな措置が導入されている。基本給だけではなくボーナスなども削減されるので、実質賃金は75%削減になる。
 労働組合として政府との対話、交渉を開始したが、交渉は不調に終わっている。5月19日には5つのナショナルセンターが共同でデモを行い、約4万人が集会に参加した。9月22日にはCNSLR-FRATIA単独で15,000人のデモを行った。また、10月27日には5つのナショナルセンター共同による7万人抗議集会が計画されており、変化がなければゼネストも視野に入れている。
 デモの要求の1つは賃金の25%削減の撤回、最低賃金の750レイへの引き上げ、大量解雇の中止、個別雇用契約を期限の定めのないまま維持すること、年金法の現状維持である。
 われわれのモットーは「共に力を合わせればさらに強くなる」。このように力を合わせる行動をとることで、ルーマニア最大のナショナルセンターとして、一般の人たちのニーズに応えられるよう、政府に圧力をかけるべく最大限の努力をしていきたいと思っている。

労働事情を聴く会