2012年 ハンガリーの労働事情

2012年1月27日 講演録

ハンガリー労働組合全国総同盟(MSZOSZ)
Mr. チャバ・アンタル

 

1. 労働事情(全般)

 ハンガリーの労働事情は悪化している。失業率は公式には10.6%とされているが、さらに上昇することが懸念されている。この数値も地域間格差があり、国の西側の地区の方法が若干良い状況にある。教育分野や中央政府、地方政府などの公共セクターでリストラが行なわれている。その理由として、世界的な経済危機、欧州の危機もあるが、政府による適切な経済政策が行なわれていないということも、大きな一因となっている。 
 また貧困も増えてきており、社会的な危機が深刻になっている。労働者の実質賃金と所得は低下傾向を示している。

2.労働組合が現在直面している課題

 労働法制について大きな改正があった。新しい労働法では、労働市場の柔軟性を増大させようとしている。政府は、2014年までにEUの中で、最も柔軟性の高い労働市場を導入する目標を持っている。こうした環境の中で、労働者の権利、組合の権利がますます縮小することになる。そして雇用の面では、使用者が雇い入れるのも、解雇も簡単になってきている。また、団体交渉権なども弱体化され、組合の活動がやりにくいことになっている。

3.課題解決に向けての取り組み

 この新たな労働法は2012年7月までに導入される事になっているため、新しい労働法の解釈を明確なものにするため、組合幹部に対する研修を行なっている。また、組合員の減少対策を行なっている。組合員減少の主な理由として、雇用の機会が失われてきていることと高齢化とが挙げられる。組合の対応は、組織立った形で、しかも調整の取れた組織化活動を行なうということと、若い労働者に積極的に働きかけを行なうことである。

4.ナショナルセンターと政府の関係

 右派保守政権は、20年間にわたる伝統と経験を持つ有意義な三者社会対話の機構を解体した。全国利害調停協議会は消滅し、新しい機関である全国経済社会協議会は二者構成(政府抜き)でしかなく、実質的に仕事に関する問題を、有意義な形で話し合える可能性は全くない。政府は一方的に社会との対話を導入したが、これは内容のない「対話」となっている。これらの状況は、国際労働組合総連合(ITUC)と欧州労連(ETUC)の支持を受けて、ハンガリーの労働組合の要請に基づき、国際労働機関(ILO)の調査を受けている。

5.多国籍企業の進出状況

 ハンガリー経済の生産高は外国投資・外国企業に依存しているところが大きい。これらの企業の大半はハンガリーの法律と規制に従っているが、特にアジア系の企業は複数回にわたって規則を無視する姿勢を示している。特に韓国企業にこのような傾向がみられるが、日本のスズキもまた、反労働組合および反労働者のような行動をとって評判を落としてしまった例がある。

労働事情を聴く会