2013年 チェコの労働事情

2013年11月29日 講演録

チェコ・モラヴィア労働組合連盟(CMKOS) チェコ金属労働組合連盟
バクラヴ・プロチャツカ、 アリーナ・ポクルトバ

 

 チェコ共和国は、日本と比較すると、国土が約5分の1で、人口は約10分の1の1051万人である。労働市場は、雇用労働者が370万人、失業率は6.9%で、今年9月には失業者が55万7058人となっている。特に問題なのは、失業者の40%が1年以上の失業状態を続けていることである。さらに25歳未満の若年層の失業率が19%、50歳以上の失業率が25%を超えており、30歳未満の失業者は全体の30.2%を占めている。この原因は、技術的教育機会の不足など教育訓練の欠如にある。失業者は失業給付を受ける権利があり、平均的給付額は平均賃金の40%で、給付期間は失業者の年齢によって、5ヵ月、8ヵ月、11ヵ月となっている。
 ナショナルセンターであるチェコ・モラヴィア労働組合連盟(CMKOS)は、1990年に設立されたチェコ最大のナショナルセンターである。現在29の産別が加盟しており、組合員数は36万人を超えている。しかし、残念ながらこの数字は徐々に減ってきているのが現状である。
 CMKOSは、国際労働組合総連合(ITUC)、欧州労連(ETUF)ならびに経済開発協力機構 労働組合諮問委員会(OECD-TUAC)のメンバーである。執行部は会長と2人の副会長で構成しており、各県には14の地方協議会と監査委員会がある。機関会議は「大会」「執行委員会」「協議会」が主要なもので、執行部を選出するための大会は4年に一度、執行委員会は年2回、協議会は毎月開催される。CMKOSのマクロ経済局が出すさまざまな数字は、財務省や銀行の数字よりも正確で、チェコの中では最も正確な数字として有名である。
 チェコ金属労働連盟は、チェコにおける最大の労働組合連盟で、12万7000人の組合員を擁し、ナショナルセンターであるCMKOS会長の出身組合でもある。加盟産別は、冶金業や自動車産業、機械、電機産業、鋳物、航空宇宙産業などである。今年の大会で採択された主要目標は、従業員あるいは被雇用者の保護、団体交渉、サービスおよび教育・宣伝の実施などである。
 チェコ共和国における対話の構造は、[1]全国レベル[2]産業別レベル[3]企業レベルの三つのレベルから成り立っている。全国的なレベルは、「経済社会協定議会」と呼ばれており、政労使の三者構成になっている。このレベルでは、法律についての提案や制度の変更などについて協議される。しかし、ここでの確認事項には拘束力が無く、協議の段階による合意という事である。次に二つ目の段階として産業別レベルがある。これは部門別とも呼んでいるが、チェコの場合この部門での力が弱く、労働協約についてもいくつか結ばれている程度である。そして最も重要なのは企業レベルである。企業ごと、工場ごと、事業所ごとに行なわれるもので、ここで使用者との交渉に入る。そしてこのレベルでの交渉結果が、労働協約として法的拘束力を持つものである。
 2006年以来、右寄りの保守派政権下で労働関係の諸問題を解決する事ができず、労働組合を取り巻く環境は、より深刻なものになっている。今年10月には選挙が行なわれ、いま新しい政府が誕生するのを待っているところである。これにより社会的対話がより一層機能し、労働者の生活改善の努力が実を結ぶことを願っている。
 CMKOSは、常に対話を試み、また政府に対する圧力の必要性を探っている。この夏には、新政府に対する勧告案を作成した。また、25歳までの若者(過去4ヶ月内で失業者となった人あるいは教育機関を卒業した人)を対象に、公的機関が積極的に対策を講じるもので、EU加盟国の職業安定所が中心となり、カウンセリング、マッチング、再教育や再訓練、インターン先を提供すると共に、地域の学校や企業、大学、若者団体と協力して個別的に対応する「欧州若者保障プログラム(European Youth Guarantee)」制度の早期採用を求めており、また失業手当の支払いを行なう機関である公共就職局の機能回復を望んでいる。 
 さらに公共就職局が、積極的雇用政策と労働者の社会的状況の改善策を数多く提供する機関としても、機能回復することも期待している。
 今日の状況は、賃金カットのような緊縮対策が取られており、また不安定労働という大きな問題もある。さらに構造的な人口の高齢化のなかで、労働組合の組合員はもとより専従の組合役員の高齢化もある。
 いま多くの労働組合では、近代的なコミュニケーションチャンネルやソーシャルネットワークを利用することが増えてきている。また新しい組合員を獲得するために組合規約を近代的かつ柔軟性に富んだものに変化させ、新規の若者を必要としていることをアピールしている。さらに組合員と労働組合専従役員とのジェネレーションギャップを埋める必要があることも真摯に受け止めている。

労働事情を聴く会