2009年 ボスニア・ヘルツェゴビナの労働事情

2009年9月11日 講演録

ボスニア・ヘルツエゴビナ労働組合総連合(KSBiH)
ボザーナ・ラドセヴィック

スルプスカ共和国労働組合連盟 経済担当

 

一般的事情

 ボスニア・ヘルツエゴビナ共和国は、ムスリム系及びクロアチア系住民が中心の「BH連邦」及びセルビア系住民が中心の「スルプスカ共和国」という2つの主体から構成される1つの国家とされている。それぞれの主体が独自の大統領、政府を有するなど、高度に分権化されている。国には閣僚評議会があり、その議長が首相とされる。労働法制は地方行政府に任され、団体協約も地方レベルで締結されている。中央団体加盟組織はそれぞれ存在する地方で別々に活動を行っている。ボスニア・ヘルツエゴビナはヨーロッパ連合(EU)への加盟を最優先課題としている。1998年から民営化が進められている。労働市場の改革と企業の再編成が優先課題となっている。

労働組合が直面する諸課題

  1. 民営化の弊害:[1]民営化は長期的な観点から見て成功していない、[2]産業への投資も増えず、再編成も進んでいない、[3]製造業の発達は遅々として進まず、所得も伸びず、新規雇用は質が悪く、一方で大幅な雇用削減が行われている、[4]両地方において雇用が悪化し(30%-40%)、特に女性の雇用悪化が続いている。
  2. 労働者の権利侵害:[1]使用者による違法行為、労働協約違反が増加している、[2]賃金未払い、使用者による税金の未払い、各種給付の未払い、労働法や労働協約に違反する超過勤務、休暇権の侵害など、[3]労働法や労働協約に違反する解雇、[4]団結権の侵害。
  3. 失業問題:[1]大量の失業が発生した、[2]再雇用、特に中高年齢者を再雇用する適切なプログラムが存在しない、[3]賃金は消費生活の30-50%を賄えるだけである。
  4. その他:[1]多くの労働者は依然としてインフォーマルセクターで働く、[2]国内外からの投資も少ない、[3]特定の産業を発展させていくような適切なプログラムも存在しない。

諸課題に対する労働組合の対応

<社会的対話の促進、その他の活動>

  1. 2地方では労働三権が認められ実施されており、両地方で社会的な対話、団体交渉が行われている。
  2. 両地方で三者間のトップで一般協定が締結する活動
  3. 両地方では産業別でも労使二者間の協約を締結する活動
  4. 両地方で議会に対する労働法改正の活動
  5. 両地方で社会経済評議会に対する政策改善要求
  6. 政策改善要求のための各種の会議、キャンペーン活動、マスコミ対策
  7. 各地方において最低賃金決定への対応
  8. 産業別組織の賃金改定(毎年)への指導と協力

労働事情を聴く会