2016年 ベトナムの労働事情

2016年9月9日 講演録

ベトナム労働総同盟(VGCL)
グエン バン ドン

VGCL教育・情報局長
ロ ティ ミー
ハザン省労働同盟会長
グエン ホン チャー
ビンフオック省労働同盟会長
ファン ティ ホン ダオ
タイニン省労働同盟副会長
グエン ティ ホアイ
クアンチ省労働同盟副会長
グエン ティ ンゴ ニュン
VGCL国際局総務部副部長

 

1.ベトナムの労働情勢(全般)

  2014年 2015年 2016年(見通し)
実質GDP(%)      
物価上昇率(%)      
最低賃金
(時間額・日額・月額)
時間
日額
月額
(270万ドン/約13,400円)
(地域第1)ハノイ市、ホーチミン市、ハイフォン市
時間
日額
月額 (310万ドン/約15,400円)
(地域第1)ハノイ市、ホーチミン市、ハイフォン市
時間
日額
月額
(350万ドン/約17,400円)
(地域第1)
ハノイ市、ホーチミン市、ハイフォン市
労使紛争件数 303件
国営1件、外資系206件、民間96件
190件
国営1件、外資系115件、74件
 
失業率   2.27%
(都市:3.4%、農村:2.0%)
 
法定労働時間 8時間/日 48時間/週 時間外/割増率
平日150%、(深夜)200% 休日200%、(深夜):270%、祝日300%、祝日(深夜):390%

2.労働組合が現在直面している課題

  • 最低賃金が必要最低生活費(所謂生活賃金)に達していない。現在の最低賃金は、必要最低生活費の67%程。
  • 国営企業で100%、民間セクターで65%以上の労働組合が労働協約を締結できていない。
  • 職場レベル、地方レベルの労働組合役員の能力不足。
  • 組織拡大の対策。以前は、ほとんどの労働者が勧誘することなく労働組合に加入していたが、現在は、広報活動を展開したり、説得したりしないと労働組合に加盟しない傾向が顕著。
  • 労働組合幹部の資質と能力。労働者代表としての社会対話や労働協約の締結・履行指導、労使 紛争への対処能力などの不足。
  • 労働者の職務スキル不足。

3.その課題解決に向け、労働組合としてどのように取り組もうとしているのか

  • 国家賃金評議会のメンバーとなり、継続的な対話を行なう(3ヵ月に1度と法律で規定)。
  • 従業員30人以上の企業の90%以上で労働組合を組織。
  • 国営企業の100%、ならびに非国有企業および外資系(FDI)企業の65%以上が労働協約を確立する。そのため、労働協約内容の向上、および実効性のある取り組みを目めざす。
  • 組合員および労働者の職務スキル向上のため、さまざまな研修や職能開発訓練を実施。

4.その他

 1000万組織をめざすベトナム労働総同盟(VGCL)の具体的目標は、30人以上の企業の90%以上を組織化するとしている。VGCLと地方政府、当該企業との対話と協力体制が、社会主義国家体制であればこそできる目標設定である。
 しかし、昨今のグローバル化に伴う民間企業や外資系企業の参入はさらに続くとみられる。こうした企業は、アウトソーシングなどでインフォーマルセクター労働者を頼りにしている他、労働組合の結成を好まない傾向にある。ベトナムはTPP批准などもしており、グローバル化の進展が一段と進む中で成長することは必然である。これまでの国営企業や国営関連企業中心できたVGCLは、民間企業・外資系企業などに活動を拡大する前に、これらへの対応能力を高める戦略をもって、組織を大きく脱皮させる必要に迫られている。

1ベトナムドン:0.005円(2016年11月24日現在)