2007年 ベトナムの労働事情

2007年6月13日 講演録

ベトナム労働総同盟(VGCL)
フイン タン キエット

 

 ベトナムでは労働関係法として、労働法、労働組合法、不服申立法、社会保険法、労働安全法、男女平等法、環境法の七法がある。
 現在、「民を富まし、強い国をつくり、民主的で文明的な国家をつくろう」、という国家的スローガンがあり、VGCLとしては、「雇用の創出、生活向上、社会の公平」を掲げている。方針として、雇用主、労働者、国家の三者それぞれの利益を調和させようというのが、わが国の最も基本的政策となっている。
 ドン・ナイ省には、23の工業団地があり、加えて少し格の低い工業地区というものが34ある。その中で外資の900のプロジェクトが稼働しており、その総額は90億ドルにのぼる。
 現在、ベトナムの労働人口で18歳から35歳の若年層が占める割合は70%と非常に高く、中卒と高卒が占める割合は71%。そのうち中級以上の職業訓練を受けた労働者の比率は32%である。
 しかし最近は、労使紛争/ストが多く発生している。原因は幾つかあるが、まず一部の企業ではあるが、ベトナムの国内法規や政策を守らないこと。二つ目には、賃金やボーナス、年次休暇、有給休暇、危険手当、女性労働保護など規則を守らないことがある。一方、労働者も労働関係の法的知識が非常に浅いことも挙げられる。日系企業にかかわる問題としては、企業は賃金の内訳を非公開にしてしまう傾向がある。対して、ベトナム政府は各企業に対して賃金表、昇給表というものを明らかにするように求めており、両者の意見が全く異なる。これは労働者、外国投資家双方にとって、早期解決を要する重大な問題である。
 紛争解決手段としては、単組レベルでは、係争問題調停委員会があり、単組レベルの調停委員会で問題が和解できない場合は、省レベルの調停委員会に付託する。95年以来、全国で1,800件のストが発生したが、雇用主が組合を訴えたことはない。要するに、雇用主側が法律違反を多く犯しているという証しでもある。
 次に労働協約と労働契約の締結、そして良好な労使関係維持という問題がある。
 現時点では、労働協約を締結している企業は46%。また、40%以上の労働者が無期限の労働契約締結できている。残りの60%は3年以下の労働契約になる。組合にとって団体労働協約を結ぶことはとても難しい。企業側が取締役会のメンバーを頻繁に変えるため、例えば第1段階ではきちんと話し合いが進んだのに、第2段階に入るとメンバー交替のため、また話が頓挫してしまい、協約締結に至るまで非常に長期間を要する。こうした中、多くの雇用主が組合に理解を示し始めている。しかし、個別争議が起きると、裁判の場でそれを争わねばならず、最近では、ドン・ナイ省だけで40件の係争があり、90%以上が組合側の勝訴で、雇用側には労働者に数十億ドンの賠償金支払い命令が出ている。要するに、現在のベトナムにおける労使関係は、まだ始まったばかりのことが多いということである。