2004年 ベトナムの労働事情

2004年10月5日 講演録

ベトナム労働総同盟(VGCL)
チャン バン トゥ

ベトナム労働総同盟 社会経済政策局上級専門員

レ チュン ギア
ホーチミン市産業振興区・加工特区労働組合 委員長

ファム ティー タン ティウ
ビエンホア市輸出加工区労働組合 委員長

 

国内の状況

 まず最初に労働市場について申し上げます。今年7月現在、労働年齢に達している人口は4,200万人余りで、うち都市部に占める割合は24.18%、農村部が75.82%です。1次産業が占める割合は59%で、工業・建設が16%、サービス業が24%です。労働者のレベルはおおむね低く、訓練を受けた労働者は21%だけです。労働市場に新たに参入してくる労働者は毎年120万人います。
 就業状況について紹介します。現在、都市部では5.78%が失業しています。農村部では23%が農閑期に仕事に就くことができません。そして国営企業の中では約20%が余剰人員と推計されています。
 次に労働組合の現状です。これまで約1,000万人の賃金労働者のうち労働組合に加盟している労働者は約420万人であります。全国約6万2,000の企業のうち組織化されているのは1万5,795で、全体の25.1%です。

VGCLの運動方針

 現在、VGCLには4つの課題があります。1つは農村部から新規に労働市場に参入した約100万人を組織化することです。これらの労働者は教育レベルが低く、法的な知識も非常に限られており、労働関係法においてもさまざまな制約があります。2つ目は2005年までの間に整理統合される国営企業における労働者の権利擁護です。約3,000の国営企業が整理対象にあり、その中で働く労働者の20%が余剰人員といわれています。3つ目は労働現場における労働者の権利を守ることと、国営企業や外資系企業における組合組織率を高めることです。特に私企業の分野においては組織化がまだ完全に根付いていないところも多く、労働組合の結成に対する労働者の理解が得にくいところがあります。4つ目がグローバル化への対応です。ベトナムの経済競争力はまだ低い状態にあり、失業の可能性も高く、労働者の権利が侵される危険性もあります。そういう状況において企業側は利益中心の方向に向かっていますが、この中でいかに労働者の権利を守るかということが課題となっています。

VGCLの具体的活動

 上記の4つの課題を克服するために私たちは9つの具体的解決方法を考えています。1つ目は、各労働組合の中で組合員の組合に対する意識を高め、彼らの権利意識も同時に高め、それを法律の枠組みの中で浸透させることです。2008年までに都市部・工業地区を重点的に100万人の労働者を組織化しようと計画しています。それにより組織率を高めるとともに、労働組合の力を強化することにもなります。2つ目に基礎レベルの組合に対して、上層部の組合指導者がいろいろな知識を与え、教育訓練することです。具体的には基礎幹部にさまざまな法律制度や規約を把握させ、労働者の権利・義務、労働協約、企業の経営・運営に対する監視をできるようにすることです。それは労働者を代表して企業と労働協約を結んだり、争議があったときは和解評議会・調停機関に参加したり、規則策定に参画したり、賃金の決定・労働者の養成・労働現場における規則策定等に参加したり、そういうことができるようになるということです。3つ目は労働組合が政府とともに積極的に労働者の諸政策、法律の整備を完成させるための役割を果たすことです。具体的には失業者対策・住居対策・低所得者対策・社会保険制度の確立、3カ月以下の短期契約者に対する保護、あるいは未組織の労働者の労働条件の改善です。4つ目は、国とともに企業の安定的な発展と、国営企業に対する格差是正を図るとことです。5つ目は、これはベトナム的なことですが、さまざまな運動を競争を通じて行っていくというものです。競争を通じて、生産性の向上、質の向上、工業的・文化的価値観の構築等を行っていこうということです。6つ目は、労働組合が労働市場において積極的な役割を果たすことです。具体的には、職業紹介、法律相談、職業訓練、職業機会の創出などです。7つ目は労働組合の社会開発活動――飢餓をなくし貧困を減らす運動、社会悪の追放、さまざまな互助制度の構築、労働者のファミリービジネスの支援などです。8つ目は、まだ労働組合活動に入ったばかりの基礎幹部に対してさまざまな教育訓練の機会を設けることです。そして常に新しいインフォメーションに接し、各活動を常に総括しながら、それを末端の組合員に伝えることです。9つ目は情報宣伝の方法を改め、対話の機会を増やし、内部の闘争を減らすことです。対外的なアピールも強化し、各国からの支援を受けながら、現在のグローバリゼーション、そして市場経済制の中で、労働者が適正な権利を得られるような組合リーダーを養成していくことであります。
 最後にひとつ、次のようなお願いをさせていただきたいと思います。
 連合とJILAFの皆さんには今日に至るまで、養成スキームや資金の面でさまざまなご支援を賜ってまいりました。しかし私たちが置かれている困難な状況は依然として続いています。このことを皆さんに認識していただき、今後ともVGCLに対するご支援を続けていただきくお願い致します。