2001年 タイの労働事情

2001年6月13日 講演録

タイ労働会議(LCT)
プラチュアップピクン

ナンブーン染色労働組合委員長

 

タイの労働組合の状況

 LCTは1978年に、TTUCは1982年にそれぞれ設立されました。2つのナショナルセンターはICFTUに加盟しており、活動を一緒に行っていますが、組織の統一が長年言われながらもそのままになっていました。この統一に関しては、JILAFを含む国内外のさまざまな機関からの支援を受けてきましたが、現在はそれぞれの事務所の売買に関して法的な手段がとられていることから、統一はしばらく静観しないといけないような状況になっています。すぐには統一は難しいとは思われるのですが、今LCTの組合員の多くがTTUCの組合員にもなっています。またそれに反対していた一部の役員が、すでにLCTを離れて、別のナショナルセンターを設立しています。いずれにしても、2つのナショナルセンターの統一は、時間はかかるけれども、成功すると思われます。
 現在、タイにおける労働組合の数は、1,000組合です。ナショナルセンターは民間のものですが、9組織、国営企業同盟が1組織です。経営者団体は10組織あります。労働組合の設置に関しては、法のもとの保護がまだ受けられないのが現状です。経営者の多くは、まだまだ労働組合の役割を認めていません。そんな中で日系企業の労使関係は他の国の企業と比較すると、良好と言えます。労働組合の新規の設立は、ここ3年間経済危機の影響から減少してきています。ストライキのような労働争議は最近少なくなってきていますが、タイ・クリエン労組の争議はまだ解決していません。現在タイの人口は6,200万人を超えており、労働力人口15歳以上は3,300万人、そのうち農業人口を除くと、1,900万人となります。製造業及びサービス業の失業者は200万人を数えています。経済成長率は約2%、インフレ率が2.5%、現在タイの通貨バーツは弱含みで推移してきています。

政治・経済・社会状況

 タイ政府は、タイ愛国党が中心となっている5つの政党の連立政権です。愛国党は、選挙のときの政策を実行しようと努力しています。その政策というのは、例えば30バーツですべての病気の治療ができるという低額医療政策、1村100万バーツ村おこし基金の政策、貧困者のための銀行の設立、不良資産のためのAMCと言われる資産管理会社の設立などです。これらの政策というのは、今、株の譲渡疑惑で問題になっていますが、タクシン首相が打ち出したものです。この新しい政策を実行するためには巨額の予算が必要となっています。こういった中、タイ中央銀行の総裁がこの政策のえじきになっています。しかしタイの国民は、まだこの政権ができたてのほやほや、新婚カップルみたいな感じということで、多くの人は新首相に政治を行うチャンスを与えています。しかし、多くの労働者は、この政府の政策に対してあまり満足していません。
 現在、第8次計画にかわる第9次国家経済社会開発計画が策定され、第9次は2002年から2006年までの5年間にわたるマスタープランです。第8次においては、人的資源の開発が最も重要であるということに重点が置かれていましたが、第9次では経済危機からの脱出、つまり経済の回復に目標が置かれています。成長率を5%から6%、インフレ率を3.5%以下に抑えるなど、この目標は経済の安定を目指しているということが言えます。
 タイは今、さまざまな面で改革の時代を迎えています。特に1997年に施行されました新憲法に従っての政治面での改革です。例えば、独立した自由な機関である国家汚職制圧委員会、憲法裁判所などがそういった機関に当たりますが、この2つの機関は今最も大きな注目を集めているものです。

ナショナルセンターの活動

 組織の拡大です。それからセミナーや研修ですが、例えば労働安全に関するセミナー、協力、児童と女性に関する法律の研修など、さまざまなものを行っています。これらの研修には、J I L A F を初め、I L O 、ICFTU-APRO、FES、AFL-CIOなどの協力を得ています。最低賃金の確立や、社会保障法、労働安全法及び労使関係法の改正への圧力をかけるような運動も行います。
 タイにはさまざまな三者構成の機関が16あります。その主なものは労使関係委員会、労使関係促進委員会、労働安全衛生及び職場環境委員会、社会保障委員会、社会保険苦情受付委員会、保障基金委員会、国家労働開発相談会議委員会、賃金委員会、中央労働裁判所判事委員会、児童労働保護委員会、職業訓練振興委員会、労働福祉委員会、労働者基金委員会などです。