2012年 フィリピンの労働事情

2012年6月29日 講演録

フィリピン労働組合会議(TUCP)
ミッシェル ロヴィニア ベリノ
Ms. Michelle Rovinia D.Belino

全国銀行労働者組合(NUBE) 青年委員会委員長

 

1、当該国の労働事情(全般)

 2009年度の統計では、被雇用者が約3500万人で、そのうちの約190万人に相当する5%の労働者が組織化されている。労働組合員のうち、公共部門と民間部門において、労働協約で保護されている労働者は12.5%である。
 TUCPは、より強固で力があり、勢いのある労働運動を展開するため、23の労働組合連盟を統一し、1975年12月14日に結成された。
 TUCPは、フィリピンで最も代表的な労働組合であり、農業やサービス、製造から公務員、政府で働く労働者まですべての産業における労働者を代表している。また、加盟組織は労働組合だけではなく、海外で働いているフィリピン人の労働者のための組織であるOFW(Overseas Philippine Workers)やインフォーマルセクターの労働者、ドライバー、都市部における貧困者、青年団体、協同組合など、さまざまな同盟や協会、市民グループも加盟している。
 TUCPの組合員数は、現在47万5000人で、そのうち男性が59.5%、女性が40.5%となっている。
 労働雇用省(DOLE)に登録された輸出加工区(EPZ)の175の労働組合の70%を組織しており、民間労働協約(CPA)のうちの75%、約1万人の労働者もTUCPが組織している
 しかし、近年契約労働者やパートタイム労働者が増えていることもあって組織化が困難な状況になっている。

2、労働組合が現在直面している課題とその取り組み

 TUCPは、連帯行動や団結行動、団体協約の締結その他の活動も行なっている。
 団結行動で、最も重視しているのはアスベスト禁止運動である。アスベストはすべての人たちの健康に害を及ぼす大きな危険な要因となっているため、アスベストに関しての啓発活動や運動を展開し、現在では『アスベスト禁止法』も成立している。
 次に政策提言として特にディーセントワークの実現に力を入れている。その中でも重視しているのがIFIS(International Financial Institution)国際金融機関におけるディーセントワークの推進である。また気候変動、そしてグリーンジョブと呼ばれる環境に関する雇用についても力を入れている。
 さらに重要なのが、労働法案である。この労働法案は、結社の自由などに関する法案や団体交渉に関する法案など15の法案が提出された。
 労働組合が独自に行なっているプログラムは、災害対策や雇用教育研修、生活保護を労働者に対して行なっていくための独自の活動や事業、HIV/AIDS問題に関する人材育成などが含まれている。
 組織化に関しては、労働者の権利を重視している。特に、労働者大学(Workers College)を設けて、中核的な労働基準に関しての講座を設けている。国家就労計画の中にも、このような中核的な労働基準を盛り込むべきだと提言しており、学生のカリキュラム、またはキャリア指導において、基本的な労働者の権利について教える必要があると主張している。
 団体交渉については、[1]企業や組織の合併や売却などをした場合や資産、事業などの移動が社員や従業員に対して大きな影響を持つ場合には、労働者を保護することが団体交渉の中に盛り込まれなければいけないという法案[2]労働者の権利を強化するためにも、また団体交渉が自由にできるような効率的な制度を立ち上げる、設置することをうたった法案は、TUCPが提言して実現したものである。