2014年 マレーシアの労働事情

2014年10月24日 講演録

マレーシア労働組合会議(MTUC)
報告者:リム ユェット チューン

教職員組合全国代表委員兼MTUC教育担当執行委員

報告者:ジャスニ ビン モハメド アリフィン
プロトン社労働組合財政担当兼MTUCスランゴール地区代表

 

1.当該国の労働情勢

 マレーシアの人口は、約3000万人。その構成は、マレー系64%、中華系24%、インド系が8%。労働人口は1400万人で、完全雇用が280万人、外国人労働者は推計だが550万人。このうち合法就労者が270万人、不法就労者が280万人と言われている。
 労使関係はこれまで友好的であった。20年以上にわたって労働争議は行なわれていない。非常に多くの外国人労働者が雇用されているが、主に労働集約型、または3D型と呼ばれる、日本で言うところの3Kの職場で雇用されている。
 外国人労働者は労働人口の約40%を占めている。MTUCでは、外国人労働者を組織化して組合加入させる上で、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への加入、建設業のアウトソーシングなど大きな課題を抱えている。政府は雇用法(1967年、IR法)の改正と新たな民間職業紹介事業者法(これは2014年の導入)を提案している。

2.労働組合を取り巻く状況と直面している課題

 現在の労働組合数は700以上、組合員数は90万人以上である。民間部門の組合数は462、政府部門の労働組合数は144。そして、地方政府、また旧公営公社に当たる企業の労働組合が100ある。産業別労働組合は多くない。政府は企業別組合を推進している。
 使用者は、組合を裁判に訴えて労働者の組合結成権を拒否する傾向が強くなっている。また使用者は、経費削減のために事務管理業務を外部委託で行なう傾向が見られる。さらに使用者は外国人労働者を好んで雇う傾向が見られる。ILO中核的条約、特に1948年第87号条約の批准を政府は拒否している。
 そして、TPPがある。MTUCは物品・サービス税(GST)導入に署名をしないように政府に強く異議を唱えている。GSTはコストを増大させるからだ。外国人労働者には結核などの疾病が見られる場合もあり、また、労働災害に巻き込まれる外国人労働者が増加している。

3.その課題解決に向けどのように取り組もうとしているのか

 MTUCは外国人労働者の組織化に向けた全国規模の運動を展開している。主要3地域において、非常勤の労働組合幹部に労働者の組織化を委任し、また、産業別組合の増加の問題に対処をしている。MTUCは「結社の自由委員会」という名称の委員会を結成している。この委員会は、幾つかの活動を議題とし、マレーシア政府に対する1948年第87号条約を批准するよう強く要請をしている。
 MTUCは可変成分と固定部分の2つを分けることを条件として、生産性連動賃金制度(PLWS)の導入には反対しないことを政府に提案している。多くの使用者はPLWSを透明なやり方では実施しておらず、主に非管理職の従業員を対象にしている。
 中核的条約の批准を政府が否定していることに関して、MTUC-FOC委員会では全組合の協調を求め、第87号条約違反や異議申し立てなどがあれば、ILO及び政府に報告するためにMTUCに通知・送付することを呼びかけている。
 MTUCと政府は、労働者の技能向上をめざし、半熟練及び高度熟練労働者の割合を今後数年間で現在の28%から50%に増やして、外国人労働者への依存を減らすよう、継続的に協議を続けている。