2011年 マレーシアの労働事情
マレーシア労働組合会議
モハマド・ヒル・ビン・マンスール
1.当該国の労働情勢(全般)
1.序論
マレーシア労働組合会議は労働組合の連合体であり、1955年結社法に基づき登録されている。マレーシアの労働者を代表する最古のナショナルセンターである。MTUCの加盟組合は約60万人の組合員を擁し、あらゆる主要産業や部門を代表する。
労働者の代表
MTUCはマレーシアの労働者の代表として政府から認可を受けており、労働法の大きな変更に関し、国の共同労働諮問委員会を通じて行政から相談を受けている。MTUCは又、国際労働機関の協議会や会合にも労働者を代表して参加する。
2.労働事情
マレーシアの人口は約2,750万人で、うち労働人口は1,150万人である。国の統計によれば、約206万2,596人の外国人労働者が主に建設部門やプランテーション部門に従事している。
労働組合の状況―労働組合の登録と構成は以下の通りである。
| 年度 | 登録組合数 | 組合員数 | 民間部門組合 | 政府/法定団体 |
|---|---|---|---|---|
| 2010年 | 690 | 803,289 | 439 | 237 |
| 2011年5月 | 687 | 802,151 | 433 | 240 |
| 2010年の男性組合員:48万5,747名、女性組合員:31万7,542名 2011年5月には、男性組合員は48万4,914名、女性組合員は31万7,237名であった。 |
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注:マレーシアには使用者の労働組合が14存在する。
2.労働組合が現在直面している課題
労働組合が抱える課題には以下のようなものが含まれる。
- 労働者にとって好ましくない労働法改正
- 強い反労組スタンスと相まった多国籍企業(MNCs)の権力と影響、最低賃金法の阻止、団体交渉の弱体化、労働市場への外国人労働者の大量流入
- グローバリゼーションや競争に起因する貿易自由化及び規制緩和
- 労働人口への影響を十分に顧慮しないテクノロジーの実践
- 海外への業務委託/ 外注
- MNCsの交渉力や影響力が非常に大きくなっている。MNCsは、労働基準や労働者の権利に関する条項は投資家を排除することに通じると主張している。
- とりわけMNCsによる継続中の大規模リストラや合併買収のプロセス、及び恒常的な経営合理化が全世界で雇用や労働・生活環境の悪化を招いている。
- 伝統的な労働システムが柔軟性をより重視する方向へと変わりつつある。
- 組織構造のフラット化や作業増大につながる再構築
- 環境保護
- 良心的でない使用者による有害な「底辺への競争」及びコスト削減対策。その結果、不安定な雇用が生じる。
移民労働者
MTUCは、外国人労働者の雇用やマレーシア人への差別的措置について加盟組合から多くの苦情を受けた。外国人労働者の採用に関する政府方針は、マレーシア人の間に大きな不安を生み出した。魅力ある経済成長とは裏腹に、賃金率は国中で低迷が続き、クラン渓谷やペナン郊外での状況ははるかに深刻なものとなっている。MTUCは更に意見書や苦情を人的資源大臣に送って調査の実施を訴え、使用者がかかる状況につけ込み悪用することのないよう確保する具体的政策の策定を要請した。
特定の労働部門や産業への外国人労働者の大量流入は、特にインフレ率の上昇や生活費の全般的上昇といった状況の中、搾取を受けやすくまともな生活を送ることのできない地元労働者の低賃金をもたらした。
MTUCは現在、組合への正当な評価を確保すべく、組合に対して外国人労働者の組織化を促し要請しているが、移民局や子ども家庭省は彼らが労働組合に加入する権利を抑制し続けている。
3.その課題解決に向け、どのように取り組もうとしているのか
各産業に応じた賃金の合理的な水準への引き上げによって長期的な経済利益を目的とした国の人的資本への投資の確保が見込まれ、良質な機会の入手を万人に保証する必要がある。
問題を明確にし、国民や投資家のより大きな信頼を国に注ぎ込むような現行システムの集中的改革が必要とされている。
マレーシア労働組合会議(MTUC)は、地元や外国の労働者を含む全労働者を制限なしに組織化するため、1948年の結社の自由及び団結権の保護に関する条約第87号を批准するよう政府に要求している。
4.あなたのナショナルセンターと政府との関係について説明してください
マレーシア労働組合会議(MTUC)と政府との関係は非協力的であることが多く、政府は、ナショナルセンターと事前に適切な協議/ 相談を行うことなく新規則や変更を公表してきた。
5.あなたの国の多国籍企業の進出状況について、また多国籍企業における労使紛争があればその内容についてお知らせください
国内の多国籍企業は、業務上のニーズに基づき、及び低コストを維持し賃金を抑えるため、外国人労働者、契約労働者、外部委託労働者並びに臨時労働者を募集する。多国籍企業、主に台湾や韓国の使用者が所有する企業は低賃金であり、かかる企業は外注企業から労働者を採用し、労働者は一休日で週六日間最低12時間労働に従事する。これらの労働者は雇い入れや解雇がより容易であることが採用の理由の一つである。

