2009年 マレーシアの労働事情

2009年9月29日 講演録

マレーシア労働組合会議(MTUC)
セルヴァクマリ・アブラハム(Ms. Selvakumari A Abraham)

電機産業労働組合 MTUC青年女性委員会委員

 

1.労働事情

 電機産業労働組合は、1971年に結成された。2000年時点の組織人員は、28,000人であった。しかし、2002年以降、企業閉鎖、コスト削減、自主退職制度の導入、工場移転、正社員の採用停止、外部委託、請負、外国人労働者の雇用増等により組合員は減少してきた。現在の組織人員は18,000人である。

2.現在直面している課題

 多国籍企業の影響力は強いが、反組合的であり最低賃金も無視、団体交渉の弱体化をはかる傾向が強い。多くの外国人を雇用している。「弾力性」が強調されるようになり伝統的な労働が変化しつつある。労働市場に参加する女性はますます増えているが、差別、低賃金、セクハラ、劣悪な労働条件にさらされている。経営者は、「足の引っ張り合い」で有害な競争をし、またコスト削減をはかろうとしている。洪水のような外国人労働者の流入はあらゆる産業にわたり、その結果地元労働者の収入減につながり生活苦に陥っている。

3.課題解決に向けた取り組み

 MTUCは、結社の自由に関するILO87号条約の批准と外国人労働者を含むすべての労働者の組織化の権利と保護を要求している。

4.ナショナルセンターと政府との関係

 MTUCと政府の関係は、非協力的なことが多く、政府はナショナルセンターとの適切な議論や協議なしに新しい規制や変更を発表することがある。

5.多国籍企業

 多国籍企業は、コストを抑えるために賃金抑制、外国人労働者の雇用、契約労働者、外部委託、臨時労働者の採用を行っている。採用も解雇も容易であることによる。

6.ジェンダーの問題の取り組み

 電機産業は、90%が女性労働者であるが女性の昇進は男性より遅い。そして、多くの場合、女性は低いレベルの仕事に配属されている。公共部門の退職年齢は男女同一であるが、民間部門では男性55歳、女性50歳の退職年齢である。産業によって違うが、航空会社のキャビンアテンダントは45歳定年である。出産休暇は、法律では子供5人まで50日間の有給休暇が与えられる。組合は90日を要求しているが政府と経営者は賛同していない。家族の世話は女性が、外の困難に立ち向かうのは男性という考え方、文化を変える必要がある。労働運動では、組合役員ポストも含め30%を目標に運動している。

2009年6月16日 講演録

マレーシア労働組合会議(MTUC)
モハマド・ザイディ・ビン・サヌシ (Mr. Mohd Zaidie Bin Sanushi)

ノースポート(マレーシア)BHD労働組合 副事務局長
MTUC青年委員会委員

 

マレーシアの労働事情

  • マレーシアの労働組合は一般的に言って小さく、再分化され、地域に分散化している。その原因は1959年労働組合法の規定にある。
  • 数多くの労働組合が存在するため、職種、職業、産業、事業所に沿って労働運動は再分化されている。
  • 更にマレーシア半島部、サバ州、サラワク州やまた民族別に地域に分散化している。
  • 法律的かつ制度的な環境は強力な労働組合運動の発展に不利な状況にある。
  • 労働組合の登録の承認もしくは撤回に対して政府は絶対的な権限を握っている。
  • 2009年2月時点でのマレーシアの労働組合数は662組合であり、加盟人員数は約80万人であった。組合数は10年の間に徐々に増えてきたが、加盟人員数にはほとんど変化はない。
  • マレーシアには公務関係を組織するCUEPACSと民間部門を組織するMTUCの2つのナショナルセンターが存在する。

直面する課題

  • 解雇・失業問題:マレーシアの人口は約2,500万人で総労働力は約1,000万人である。加えて200万人の外国人労働者が在住する。2006年から2008年にかけて解雇者・失業者が増え、特に製造業でそれは顕著であった。金融、不動産、公務関係においても解雇数が増加している。解雇数増加の傾向は男女ともにみられる。

労働組合および政府の対応

  • 失業者および新卒者に対する職業訓練の提供:政府と民間部門は共同して失業者および新卒者に対して新規雇用機会を埋め合わせできるように職業訓練の機会を提供している。
  • マレーシア政府は、技能向上と所得増大を望む労働者を対象に5000万マレーシア・リンギットを支出して短期職業訓練実習課程を実施している。
  • 再訓練プログラムの下で労働者は一時間当たり約10マレーシア・リンギッドの手当を受け、それらを所得補助資金として使用できる。これは企業がコスト削減できうるようにマレーシア政府が取った措置でもあった。