2004年 マレーシアの労働事情

2004年6月2日 講演録

マレーシア労働組合会議(MTUC)
モハマッド ハムダン ビン ドルハリム

電機産業労働組合(EIWU)委員長兼MTUC青年委員会副委員長

 

EIWUの活動

 私は、2002年9月27日にマレーシア電機産業労働組合(EIWU)の委員長になりました。EIWUは、1971年1月19日に設立され、マレーシアのナショナルセンターであるMTUC(マレーシア労働組合会議)に加盟しています。EIWUは、最初100人弱の小さな組合として生まれましたが、現在ではマレーシアの産業部門において最大の産業別組織になっています。そして、組織人員数は2万4,000人強です。実を申しますと、EIWUは、もし立法府、および行政府の支配と介入がなければ、もっと早くマレーシアで最大の組合になっていたかもしれないのです。ただ、幾つかの反組合的な経営者、そして経営者の団体が、組合の成長を阻害しました。
 EIWUが当面している主な問題は、新しい企業での組織化です。労働組合登録官は、労働組合をつくるときには過半数の労働者を組織化しなければならないとか、そしてその中には外国人労働者も含まれなければならないとか、様々な条件をつけています。しかし、外国人労働者を組織化するのは容易なことではありません。
 2番目の障害は、団体交渉にあります。ある多国籍企業が、労働組合に対して、フレックスタイム制と生産性の向上を基準とした新しい賃金制度を提案してきました。EIWUは、この提案を徹底的に研究しました。その結果、この新しい制度は、労働者の賃金に悪い影響を与えるものであるとの結論を出しました。現在もEIWUは、この新しい制度の実施に対して、会社側にノーと言い続けています。
 3つ目の問題ですが、EIWUは、作業体制についても問題を抱えています。ここ30年間、労働者は、座ったまま働くことを許されてきました。しかし、今度の場合もまた多国籍企業ですが、いわゆるワークスタンディング、立ったまま作業する制度を導入したいと主張してきました。この意味するところは、労働者は8時間立ち続けたまま作業しなければならないということになりますし、もし残業すれば、それ以上ということになります。EIWUはこの問題でも反対であるということを意思表示するために、会社の前でピケットを張りました。EIWUの抗議の結果、政府の労働安全衛生局はワークスタンディング、立ったままの作業について指針を発表しました。
 このようなさまざまな障害や困難にもかかわらず、労働組合は勇敢に前進してきました。労働組合は、一つ一つの障害を、労働組合に対する試練であり挑戦であると受け取りました。そして、このような過程の中で、敵さえも友人へと変えてきたのです。
 EIWUは、加盟組合員を急速に失いつつあります。それは人員削減と工場閉鎖によるものです。最近のことですが、経営者側は、組合員の数を減らすための新しいシステムを思いつきました。これはVSS、すなわち自主的退職制度と呼ばれています。この制度の下で、労働者は経営者側の申し出を自主的に受け入れているように見えます。しかしEIWUは、この制度は、経営者が忠実で勤続年数の長い労働者を追い出すために使おうとしている戦術であると見ています。VSS制度が導入されて以降、EIWUは、企業がいろいろな問題を抱えるようになったことに気がつきました。問題の理由は、勤続年数の長い労働者は、自分たちが持っていたノウハウとともに去っていったことです。その結果、経営者は、製品の質に問題を抱えるようになってしまったのです。
 EIWUは、このような問題点を経営者に指摘してきました。しかし、いまだに経営者は聞く耳を持ちません。労働組合の意見を聞こうとしません。