2017年 ラオスの労働事情

2017年6月23日 講演録

ラオス労働組合連盟(LFTU)
チャンペット・マニセン

広報部副部長
ブンタン・サイヤボン
労働者保護部

 

1.ラオスの労働情勢(全般)

 労働者の30%がフォーマルセクター労働者で、機械工場、縫製工場、民間企業や国営企業で働いている。70%を占めているのがインフォーマルセクター労働者で、家内工業、自営業など広範囲にわたる。就労の規定が整備されておらず、搾取されることも多いが、司法の保護も受けていない。1日の収入は平均50,000キープであり、保険料を負担できないために社会保険への加入は非常に少ない。

  2015年 2016年 2017年 推定
GDP 7.5 - 8% 7.5 -8% 7.5 -8%
消費者物価
上昇率
データなし    
最低賃金*
時間/日/月
*全国一律
1時間 4,326K=0.54$
1日 34,615K=4$
1ヵ月900,000K=112$
1時間 4,326K=0.54$
1日 34,615K=4$
1ヵ月900,000K=112$
8月改定予定
1時間 5,769K=0.72$
1日 46,153K=5$
1ヵ月1,200,000K=150$
労働争議件数 150件 92件 75件
失業率 7% 4% 2%
法定労働時間 8時間/日 48時間/週 150-200%
平日超過勤務割増率
250-350%
土日及び祭日の超過勤務割増率

 ラオス労働組合連盟(LFTU)はラオスの全ての労働者を代表する組織で、労働運動を率い、教育する役割を持っている。法律で規定された労働者の公正な権利や利益を保護し、インフォーマル労働者を含む様々な労働者や事業所の国による管理・監督に参加する。組織構成は、まず中央にラオス労働組合連盟があり、その次ぎに各県、都、省庁レベルの組織、さらに各郡レベルの組織があり、その次ぎに「草の根レベル」(事業所)の組織がある。
 ラオス労働組合連盟(LFTU)としては、全国一律の最低賃金の引き上げを今年メーデーの前までに実施したかったが、現時点では8月に行われる三者会議で決定される予定である。

2.労働法制、社会保障の特徴

 ラオスの労働法の特徴は、使用者、労働者(インフォーマルセクターを含む)、国際機関で働くラオス人労働者さらにラオスで働く外国人労働者にも適用されることである。政府、商工会議所、労働組合、三者の権利と義務を規定している。
 国家社会保険法の特徴は、使用者、労働者、被保険者の家族、個人事業主、保険任意加入申請者に適用される点である。社会保険料の料率は、政府部門では月額給与の16.5%(国8.5%、本人8%)、民間部門では月額給与の11.5%(使用者6%、労働者5.5%)となっている。ただし、労働者の最高負担額は110,000キープを超えないこととされている。個人事業主は月収の9%となっている。その内訳は次のとおりである。

<国家保障基金料率>
  基金名称 政府部門 民間部門 個人事業主
1 医療・健康基金 1.5% 1.5% 1.5%
2 労働災害及び職業病基金 0.5% 0.5%  
3 短期給付基金 2.5% 2.5% 2.5%
4 長期給付基金(年金) 12.0% 5.0% 5.0%
5 失業給付基金   2.0%  
  合計 16.5% 11.5% 9.0%

 国家社会保障制度に加入しているのは、公務員、公的部門を中心に、労働者の約30%である。その内の2%が任意加入者と考えられている。

3.労働組合の直面する課題

 ラオス労働組合連盟(LFTU)の最大の課題は、70%を占めるインフォーマルセクター労働者の保護である。社会保険にも入っていないし、雑多な仕事をし、職場も安全ではない。彼らが職を求めて外国で働くことも増えている。
 フォーマルセクターであっても、工場労働者は通常1-3年の雇用契約で仕事をする。有期契約労働者の賃金は低く、社会保険にも入っていないため雇用を失った時の保障もない。
 工業分野では多くの外国企業が投資をしている。外資系企業はラオスの企業に比べて賃金は高いが、経営者が労働組合との話し合いを回避したり、ラオスの法律を尊重しない傾向がある。

4.解決に向けた取組み

 課題の解決に向けて政労使の三者協議を行い、また、友好国の労働組合や国際機関と連携した活動を行っている。
 ラオス労働組合連盟(LFTU)は草の根レベルでの労働組合組織を増やす組織拡大に力を入れている。さらに、労働者の知識、技能レベルの向上をめざした研修を実施している。

5.アセアン経済共同体(AEC)発足の影響

 外国から技能労働者がラオスに入ってきて、ラオスの労働者の技能発展が阻害されるのではないかという懸念がある。