2016年 ラオスの労働事情

2016年9月9日 講演録

ラオス労働組合連盟(LFTU)
ボンニョン・ブッタボン

ラオス人民革命党労働組合中央委員会対外関係委員会委員会
ポーンパサート・キンボンサー
LFTU広報局労働組合関係ラジオ番組部部長
ソムサック・カムラーン
ウドムサイ県労働組合連盟副会長
スリニャン・ソーソムプー
LFTU総務担当
パッカム・ソムパンディ
チャンパサック県労働組合連盟総務担当
ムード・ロートポーサイ
LFTU教育・情報局局長

 

1.ラオスの労働情勢(全般)

  2014年 2015年 2016年(見通し)
実質GDP(%) 7.90% 7.56% 7.50%
物価上昇率(%)      
最低賃金
(時間額・日額・月額)
時間
日額
月額
時間
日額
月額(90万キープ/12,406円)
2015年4月1日施行 *1
時間
日額
月額
労使紛争件数 26件 12件 6件
失業率      
法定労働時間 8時間/日 48時間/週 時間外/割増率
平日150%、(深夜)200% 休日250%、休日時間外300%、休日深夜300%、休日深夜:350%

*1 最低賃金の改定は、不定期(経済状況等を考慮し、必要に応じて改定が行なわれる)

 現在、ラオスには、制度適用労働(正規労働)および制度適用外労働(インフォーマルセクター労働)の2つの労働形態が存在する。制度適用労働は、工場や様々なサービス部門で働く労働者で登録され、福利厚生などの労働条件も整っている。その一方、制度適用外労働、所謂インフォーマルセクター労働は、労働契約そのものがない場合が殆どで、路上の物売り、荷役、トゥクトゥクなどの運転手、建設労働者、理髪士などがこれに該当する。なお、インフォーマルセクター労働は、雇用全体の70~80%を占めており、極めて劣悪な環境で労働に従事している者も少なくなく、また、労働災害が発生しても労働契約自体が無いため、使用者は責任を問われない。

2.労働組合が現在直面している課題

  • 工場労働者の知識的なレベルや能力が限られている。特に法律に関する知識が浅く、職業訓練も受けていない未熟練労働者。
  • 労働組合役員の交渉力。
  • 労働組合の主な収入源は政府からの補助であるが、少額で、活動を全国隅々まで行き渡らせることができない。当然、組合員からの組合費も徴収しているが、活動費全体に占める割合は微細。
  • 一部の工場の労働組合役員は、知識レベルが十分ではないため、使用者に対し、賃金交渉ができない。
  • 民間および外資系の工場での組織化が捗っていない。

3.その課題解決に向け、労働組合としてどのように取り組もうとしているのか

  • 連携のために、省庁・関係期間と労働組合活動に関する三者機関・協議会を開催し、活動計画や課題解決のための意見交換を行なっている。
  • 草の根レベル、事業所レベルの労働組合を強化することにより、工場労働者の権利が保護されるよう、現状に即した組織改革や組織拡大、組合員教育セミナーなどを実施している。
  • また、労働組合員・役員の知識向上、特に法律に関する知識や労使紛争における調停能力、団体交渉能力の向上のための取り組みも実施している。
  • 労働組合の任務・役割や組合員の権利・義務等を理解してもらうために、様々なメディアを通じた広報活動や意識啓発活動を展開している。

4.その他

 ラオス労働組合連盟(LFTU)が組織している組合員は国営企業や国営関連企業などが中心であり、これら以外の圧倒的多数のいわばインフォーマルセクター労働者(雇用全体の70~80%)の取り込みは進んでいない。また、近年のグルーバル経済により海外企業・事業所の進出などが顕在化している一方、労働組合が組織されていない職場が多く、労使紛争が惹起しやすい状況となっている。
 LFTUは、これまで環境変化に応じた運動展開を図ってきてはいるが、上述の状況に対し、よりスピーディーな対処が必要と認識している。そのためには、人材の育成も欠かせない。

*1キープ=0.0138円(2016年11月24日現在)