2010年 ラオスの労働事情

2010年6月4日 講演録

ラオス労働組合連盟(LFTU)
トンヒム ヴォングラファ(Mr. Thongphim Vongrapha)

ラオス労働組合連盟国際局次長

 

1.労働事情(一般)

 ラオス人民民主共和国は1986年より「社会経済開発政策」を策定、実施し、ラオスの経済資本の蓄積と、国内外の投資家に対し、国内消費用および輸出用の各種製品を生産する機会を提供してきた。これらの施策は、ラオスの労働者に職業機会を与え、職業に就くことで着実に技能を身に付けることにつながっている。
 ラオスの「労働単位」(製造工場)は23,745(大規模が142、中規模単位が775、小規模が22,828)あり、これらで働く労働者は合計10万3,932人にのぼる(2005年データ、産業省)。

2.労働組合が直面する課題

 産業の成長に伴って労使間の問題や紛争が発生してくるが、とくに、以下の問題が生じている。

  1. 労働法が厳格に施行されていない。
  2. 「労働単位」(製造業の工場)には、LFTUの支部があるもののまだ力が弱い。多くの工場には労働組合自体が組織されておらず、LFTUの影響力が弱いので工場労働者の組織化が課題である。
  3. 労働協約が存在せず、多くの労働者は個別に労働契約を締結しているのみである。
  4. 組合活動のための資金が潤沢でない。

3.課題解決に向けた取り組み

  1. 労働協約および個別労働契約の確立に資するよう、使用者および労働者に対し、労働法および労働組合法を認識したうえで実施するよう促す。
  2. 労働法および労働組合法を円滑に実施するため、使用者および労働者の法律の明確な理解の獲得に努める。
  3. 労使間の紛争緩和と労働者のための投資、常勤職の確保の促進。
  4. 労働組合の能力強化。
  5. あらゆる「労働単位」における労働組合の拡大・組織化。
  6. 国有企業および民間企業における労働者の労働契約に関する教育。
  7. 労働者の社会福祉の向上。

4.ナショナルセンターと政府との関係

 LFTUは党の指導の下に、ラオス人民民主共和国の政治システム内に設けられた大きな集団組織である。LFTUは労働組合員、その他あらゆる労働者の正当な権利と利益を代表し、保護している。LFTUは国家管理や社会経済管理に貢献するとともに、LFTUの組合員、労働者、学生の公正な権利と利益を保護することのできる当局としての役割も果たす。
 全ての公共団体と労働単位は、LFTUに予算を提供し、その運営を円滑化する義務を負っている。(事務所、会議室、宿泊施設、乗物、設備の提供など)

5.多国籍企業の進出と労使紛争の状況

 ラオスにおける多国籍企業に関する活動について、以下の対応を行っている。

(1) 政府の対応

  • 多国籍企業に対する政策、原則、法律を策定する。
  • 投資許可証を発行する。
  • 労働者が多国籍企業で働くための許可証を発行する。

(2) LFTUの対応

  • 労働組合は、労働者が各自の仕事を完了するまでフォローアップ、管理し、助言を与える責務を負う。
  • 例えば安全衛生、給与、社会福祉などについて、使用者が労働者に対して政策を実施しているかどうか、フォローアップし、検査する。
  • 企業内で紛争が生じた場合には、まず労働組合が問題の解決にあたる。問題が解決できない場合には、政府・地区の労働組合・使用者の代表が一緒に解決にあたる。それでも解決できない場合は、次の段階に移行する。