2011年 東ティモールの労働事情

2011年6月17日 講演録

東ティモール労働組合連合
ジョセファ・モニス・ピレス

 

1.当該国の労働情勢(全般)

 18~60歳を対象とする東ティモールの総労働人口は、約40万人 (総人口の35% )である。完全失業率は約30%に及び、約60%は農業や商業部門等の最低生活水準の経済活動に従事し、フォーマル経済(公共及び民間部門)に従事する者はわずか10%である。毎年約2万5,000~3万人の若者が労働市場に参入するが、有効求人は約2,000人に過ぎず、毎年の失業率の約4~5%はこのような若年失業者が占めている。
 現政府は2013年に向けた新たな国家開発戦略を策定し、失業者数の削減を最優先事項の一つに掲げている。

国家雇用戦略

 労働大臣は又、2011年会計年度に実施予定の国家雇用戦略に関する新たな文書も策定している。
国家雇用戦略は、改善すべき三つの重要な部門を掲げている。

  1. フォーマル経済への投資、農村開発分野とりわけ最低生活水準部門への投資
  2. 市場需要に関連した若年者や失業者の能力開発及び職業資格、 職業訓練提供者の強化、技術専門学校の設立
  3. 失業者への仕事の提供、雇用機会の発見。企業・労働市場情報センター・職業訓練提供者間の連携の構築

ディーセントワーク国家計画

 ディーセントワーク計画には、推進すべき政府及び労働組合の他の優先事項の一つも含まれている。2009年、政府は三者協議を通じてディーセントワーク国家計画を策定した。

  1. ディーセントワーク国家計画の優先分野は以下のとおりである。 政府・ILO(国際労働機関)・THE AUSD-AID(オーストラリア国際開発庁)・欧州委員会との共同プロジェクトを伴う若年者雇用計画。プログラムは2009年に始まり、2014年に終了する。
  2. 実施法令の制定やILOへの報告を通じた、政府により批准されたILO中核協定の実行
  3. 労働法改革: 新しい労働法は2009年に閣僚評議会を通過し、今年八月又は九月に国会で予備的討論が実施される予定である。
  4. OHS(労働安全衛生)法、移民労働者法、児童労働法、労働監察局法を含む他の法律は、まだ閣僚評議会に出席する三者間の国家対話の段階にある。
  5. 職場レベルの組合機構の強化、及び使用者団体の強化を通じた社会的対話フォーラムの充実
  6. 仕事の質や職員数の観点から見た労働監察部門の能力構築

2.労働組合が現在直面している課題

  1. 社会的保護スキームの欠如
  2. 労働法並びに関連法、及びその執行の不備(実施の不徹底)
  3. 組合員数の低迷
  4. 職場における紛争の増加
  5. 労働組合センターの人材及び財源

3.その課題解決に向け、どのように取り組もうとしているのか

2.1関連

 今日に至るまで、我が国には社会的保護スキーム、年金基金法及び社会保険法が存在しない。
組合は、社会的保護に関する法律制定の承認を求めるキャンペーン活動、及び国会、政府を含む当局へのロビー活動に努力しているが、現在のところまだ協議段階に留まっている。

2.2関連

 2002年以降政府が承認しているのは、東ティモール労働法規NO.5/2002と呼ばれる労働法のみである。この労働法規は主に労働行政を取り締まるものであり、労働安全衛生法、労働監察局法、移民労働者法等、政府が策定した他の法律には一切関与しなかった。
 組合は、更なる労働法制の確立を目指し、政府や使用者団体との社会的対話の推進を通じて、それらの問題に関するキャンペーン活動の強化にも取り組んできた。その結果、閣僚会議で新たな労働法規改正案が提示され、国会での討論に付されることになっている。
 職場での労働法規違反を防ぐため、組合は労働協約の強化を推進し、職場レベルでの労働者の権利保護に向けた取り組みを行っている。

2.3関連

 ナショナルセンターTLTUC/KSTLは国家目標として、2013年に向け、組合員数を増やし自立した組合の実現を目指している。現在KSTLの組合員は約8,000名を数えるが、毎月組合費を納めている者は25%に過ぎない。このため、TLTUCの財政事情は極めて脆弱なものとなっている。
 TLTUC及びその加盟組合の目標達成に向けた取り組みの最優先事項として以下のようなものがある。

  • 職場のマッピング及び組合代表の確立を通じて、既存組合員を統一する。
  • 新たな企業において新規組合員を募集し組織する。
  • 国レベル、地区レベル、企業レベルで組合構造を強化する。
  • 組合教育、及び組合代表や活動家の研修を企業レベルで推進する。(JILAFも、この行動計画においてTLTUCを支援する有力なパートナー組織の一つである。)

2.4関連

 無補償解雇、契約労働者の問題等の職場紛争は、2009年の労使紛争の最も顕著な傾向となっている。100以上の事例がTLTUC及び様々な分野の加盟組合の下で解決された。
 職場での労使紛争を阻止するための組合の主な取り組みとして、全職場における労働者の組織化、ネットワーク構築、組合代表の確立、使用者との労働協約締結の推進等がある。
 労働法規や労働の権利義務に関する労働者の理解向上を目指す組合教育や研修を通じて、労働法規を社会に適合させる。
 特に建設部門における国家的枠組みを確立するために、使用者団体や商工会議所(CCI)と交渉を開始する。

2.5関連

 新しい組合として、行動計画全般の実施・達成に関し、私達は依然として人材や財源の問題に直面している。
 他の労働組合、GUF'S(国際労働組合組織)、オーストラリアのAPHEDAや日本のJILAF等の組織とネットワークや協力関係を築き、組合教育や様々な部門における組合結成プロジェクトの一部への支援を得ている。

4.あなたのナショナルセンターと政府との関係について説明してください

 労働法規NO 5/2002は、あらゆる労働法制定の政策決定機構に関して三者協議が基本的な社会的対話の方法であると明記している。
 KSTLは国家労働委員会、調停委員会、最低賃金委員会に労働者代表として参加している。
 このことを尊重し、政府は、全ての三者協議において組合、使用者団体の双方当事者との関係構築に努めている。
 TLTUCは又、組合として政府や国会、更に一部政党とも良好な関係を築き、国のあらゆる法律において労働者の権利と尊重が助長されるよう働きかけている。

5. あなたの国の多国籍企業の進出状況について、また多国籍企業における労使紛争があればその内容についてお知らせください

 歴史の浅い小国である東ティモールは、多国籍企業の活動について特に大きな問題は抱えていない。しかしながら、いくつかの部門においては現在に至るまでかかる企業数社が事業展開してきたことも事実である。
 海洋、石油、ガス部門:東ティモールは又、ティモール海で石油やガス産業の開発も進めている。ティモール海で業務を行う石油会社は非常に目立つ存在であり、又、国内法を無視している。更に、ティモール人労働者を同部門に十分に関与させていない。同部門の採用は主に外国人に向けられ、ティモール人労働者には十分な雇用機会が周知提供されていない。

建設部門

 主に東ティモール・中国両政府による共同プロジェクトに関連し、中国の建設会社数社も我が国で事業展開している。
 このプロジェクトに関して、それらの会社は概して地元労働者ではなく自国から呼び寄せた労働者を雇用している。