2017年 カンボジアの労働事情

2017年7月7日 講演録

カンボジア労働組合連盟(CCTU)
セイハ サイ

書記局長

 

1.当該国の労働情勢(全般)

2015年 2016年 2017年(見通し)
実質GDP(%)
(出典元)
7%
( IMF )
7%
( IMF )
6.9%
( IMF )
物価上昇率(%)
(出典元)
2.85%
( NIS )
3.95%
( NIS )
6.50%
( NIS )
最低賃金
(時間額・日額・月額)
(出典元)
□時間( 0.61$ )
□日額( 4.92$ )
□月額( 128$)
( 労働省 )
□時間( 0.67$ )
□日額( 5.38$ )
□月額( 140$ )
( 労働省 )
□時間( 0.73$ )
□日額(5.88$ )
□月額(153$)
( 労働省 )
労使紛争件数
(出典元)
365件
( 仲裁委員会(AC))
330件
( 仲裁委員会(AC))
138件
( 仲裁委員会(AC))
失業率
(出典元)
0.2%
(Trading Eco)
0.3%
(Trading Eco)
0.4%
(Trading Eco)
法定労働時間
(出典元)
8H/日
( 労働法 )
 48H/週
( 労働法 )
時間外/割増率
1.5倍
( 労働法 )
休日/割増率
2倍
( 労働法 )
通貨名 リエル       4,100リエル=1ドル(2017年6月20日現在)

2.当該国の労働法制・社会保障の特徴について記載してください。

 カンボジアの労働法及び社会保障の特徴は労使関係の改善及び労使の自由を保証するものである。労働者は労働組合を自由に作ることができ、それに対して経営者側は経営者協会を作ることができる。またカンボジアの労働法はILOの条約に準じて制定された。カンボジア国内の全ての職業に係る労働契約について労働法を適用する。労働者の社会保障及び出産時の90日間の産休もこの労働法によって担保されている。カンボジアでは社会保障に関する法律もある。

3.当該国の非正規労働(派遣)など不安定雇用の問題やインフォーマルセクター労働者の現状について記載してください。

‐労働法を適用しない。
‐労働災害のリスクに直面している。
‐仕事が不安定。
‐組織化が難しい。
‐最低賃金が適用されない。

4.ナショナルセンターが現在直面している課題と取り組み。

‐労働組合法の適用は色々な問題を内在している。
‐組合役員の一部の知識レベルや能力、その中でも英語力が低い。
‐活動及び研修の予算が足りない。
‐法律及び条約の理解度が低い。

5.参加者の産別・単組・地方組織における特徴的な課題や取り組み、多国籍企業の動向等、当該国における労働事情等について、報告したいことがあれば、ご説明ください。

‐仕事の契約期間が短い。または期間が設定されている。
‐労働組合はお互いに競合している。

カンボジア労働組合連合(CCU)
チャントーン

 

1.カンボジアの経済状況

 実質GDPの伸びは2015年7%、16年7%、物価の伸びは2015年2.8%、16年3.9%、17年6.5%である。

2.労働情勢

 最低賃金は縫製と製靴産業だけにあり、2015年1ヶ月128ドル、16年140ドルである。労使紛争は2015年365件、16年330件、17年138件となっている。2017年数が減ったのは新しい労働組合法が出来、紛争は団体と使用者側の紛争(仲裁委員会)と個人と使用者側の紛争(裁判所)に分けられたからである。失業率は2015年0.2%、16年0.3%、17年0.4%である。法定労働時間は1日8時間、週48時間、残業は1日2時間、基本賃金の50%、日曜、祝祭日の出勤は倍である。又組合を作るのは10人以上集まっていないと不可能であり、登録制度もあり、これが組合結成を困難にしている。

3.女性の権利

 産休90日が1年以上働いた女性には認められており、その間賃金の50%が支払われる。(1000人辺り60人しか取得していない。)しかし殆どの女性が有期契約で働いており、お産が発覚すると契約延長はない。(縫製産業で雇用されている労働者数は73万人、内女性は63万人である。)

カンボジア労働組合連盟(CCTU)
セイハ

 

1.最低賃金の決め方

 労働委員会は政府14名、労使各7名から成り立っており、その下に各サブコミティーがある。最低賃金は2013年以降毎年発表されているが、それ以前は3年から4年に1回だった。社会に関わる指標、経済に関する指標、生活の水準、家庭の購買力、生産性、市場と企業の収益などの数字に基づいて議論し水準を決めるが、労使は常に対立している。

2.紛争の解決の仕方

 まずどちらの場合(団体か個人)も労働省が仲裁を行うが、それで上手くいかなければ、仲裁委員会か裁判所に持ち込むことになる。

3.インフォーマルセクターの組織化

 労働法の適用がないため、彼らを組織化するのは容易ではない。又労働組合を結成しようにも10名以上いなければダメで、彼らは零細企業に勤めており10人が集まらない。

4.有期契約拡大の一側面

 1年後の契約終了時5%の割増賃金がもらえる。これを欲しくて有期契約にする場合も多い。

カンボジア労働総連合(CLC)
ヨット

 

1.労働組合が直面する課題

 2009年から2012年にかけてスト件数は非常に多かったが、2013年以降減ってきた。労使ともに妥協が必要ということを学んだと思われる。ただしインフォーマルセクターの悲惨な状況は取り残されて、彼らに手を伸ばすことが必要となっている。彼らは社会保障、健康保険も持たない。

2.課題解決のための取り組み

 インフォーマルセクターに関しては、労組として政府に提言し、制度を作っていく必要がある。又サプライチェーンが重要性を増す中、外国の発注者(ブランド)に直接働きかけることが重要である。