2016年 カンボジアの労働事情

2016年5月20日 講演録

カンボジア労働組合連盟(CCTU)
副会長 チン・ソニー

 

1.カンボジアの労働情勢

 最低賃金は、2014年に月額US$100、2015年にUS$128、2016年はUS$140となっている。労働時間は1日8時間、時間外割増率は+50%、休日割り増率は+100%である。
 カンボジアにおける不安定職業として、建設業、漁業、農業、レンガ製造業、家事労働者、派遣労働の6業種が挙げられる。建設業は小規模請負業者が多く、賃金規定がない上に労災が多い。農業漁業は天候に左右されやすく、収入が不安定。レンガ工場は労働環境が劣悪で児童労働も多い。マレーシア政府との間で政府間協定があり、多くの家事労働者が出稼ぎに行っている。現在、家事労働者を労働法の対象とする法律が作られようとしている。

2.労働組合の直面する課題

 第1は、1つの企業内に多くの労働組合ができ、組合員獲得競争が起きること。第2は、労働組合リーダーの教育レベルが低く、知識がなく、指導力を発揮できないこと。第3は、法律がかなり整備されてきたにも関わらず、政府は法律の適用に取り組まず、経営者にも労働者にも遵守意識が薄いことが問題となっている。

3.解決のための取組み

 同一企業内に多くの組合がある場合は、労働組合同士が協定を結び、競争にならないようにする。労働組合指導者向けの法律の研修を行い、指導力を強化する。労使紛争になった場合、労働省に届け出をして、解決できない場合にストライキに入ることになる。新しい労働法がまもなく施行される予定である。

4.最近の動き

 2016年の賃上げ交渉が進行中で、政府は賃上げを一定の制度にしようとしている。また、労働者の健康保険制度の新たに導入も検討されている。

カンボジア労働組合連合(CCU)

カンボジア独立教員労働組合(CITA)

委員長代行 オーク・チャヤヴィー

 

1. 教員の現状と課題

 小学校教員の基本給はUS$100程度。中学校教員の時給は2,600リエル(約US$0.6)、大学教員で時給5,000リエル(約US$1.2)である。
 現在、教員を保護する法律はない。抗議活動をすれば、まず僻地へ転勤させられ、昇給・昇格が停止されるという恐怖政治が行われている。組合活動とは別の土地所有権の問題などの理由をつけて、すぐに起訴され、解雇されてしまう。我々の組合の委員長も、現在、刑事訴訟の被告となっている。
 新しい労働法の問題点は、組合の大会決定ではなく、利害関係者であれば誰でも裁判所に組合の解散を訴えることができる点である。

2. 解決策

 弁護士などの支援を得て、政府に意見の申し立てをする。
 しかし、カンボジアの政治情勢は非常に悪く、政府は恐怖政治を行っている。新たに、複数人の集会を禁止し、違反者を拘束する政策が採られている。カンボジアの教員組合には、政府寄りの組合と我々のような独立系の2種類がある。

カンボジア労働総連合(CLC)

男女平等委員会委員 ヘン・チェンダ

 

1. カンボジアの労働情勢

 カンボジアの2016年のGDP予想はプラス7%となっている。物価上昇率は正確には全体把握されていない。一部の物価は、2014年、2015年、2016年と倍々になっている。CLCにおいては、特に観光業とサービス業で労使紛争が増えている。労働時間は1日8時間、時間外は2時間までとなっているが、実際には4時間の時間外労働を強制されることがある。

2. 直面する課題

 労働者の多くが短期契約労働者で、特に女性は妊娠すると契約が更新されずに辞めさせられる。
 非正規労働が増えている。彼らを保護する法律がなく、職場がバラバラで、問題があっても支援することが難しく、組織化も困難。
 新しい労働法では、労働組合を登録する必要がある。登録手続きに時間がかかり、その間に経営者は労働組合役員に退職奨励金を与えて、労働組合の消滅を図る。労働組合指導者が別の刑事事件を理由に拘束されることも多い。労働協約を締結しようとすると、委員長が呼び出されて圧力をかけられ、退職奨励金を示されて辞めざるを得なくなることが多い。ここが最大の問題だ。
 新しい労働法は労働組合どうしのつぶし合いに使われる危険性もある。
 カンボジアがILO第183号条約をまだ批准していないことも、女性労働者にとって大きな問題である。

3. 解決のための取り組み

 政府に対して、短期雇用契約の削減、最低賃金の引き上げを要請する。3.8国際女性デーや12.10人権デーなどの機会を利用して、ラジオを通じて意見提出したり、セミナーの開催で組合員の教育をしたりしている。