2013年 カンボジアの労働事情

2013年5月24日 講演録

ITUCカンボジア協議会(ITUC-CC)
Mr. ソク ラウット
Mr. Sok Ravuth

カンボジア労働組合連盟(CCTU)財政部長

Mr. スン リハウ
Mr. Sun Lyhov

カンボジア労働総連合(CLC)会長補佐

 

1.働く者の現状と抱える問題――500万人以上はインフォーマル

 カンボジアの労働市場は、市場経済導入以降、良好な状態にある。GDPの上昇率は2010年が6%、2011年は7%。リーマン・ショック後の2010年の完全失業率は0.4%となっている。カンボジアの主要産業は、[1]85%の人口が従事している農業[2]観光産業[3]縫製産業と製靴産業[4]建設業[5]その他の工業、サービス産業――などである。
 カンボジアの総人口は約1400万人で、15~59歳までの労働人口は889万人である。問題は、カンボジアにおけるインフォーマル労働者とインフォーマル経済である。労働人口のうち、労働契約を締結している労働者は約200万人に過ぎず、残りの500万人以上はインフォーマル経済分野で働いており、労働法は適用されない。彼らは労働者としての待遇を受けることができず、社会保障も無く、所得も非常に低い状態にある。
 正規の労働者も、さまざまな問題に直面している。賃金の水準や労働時間などの労働条件、また健康に関わる問題も抱えている。縫製工場で働いている人たちや、靴などの革製品の工場で働いている人たちの賃金は、法律で最低賃金を決められている。その水準は、試用期間の場合は月額75ドル、正規労働者は月額80ドルとなっている。いずれもこの水準では、最低限の生活を維持するのは困難である。ある調査によると、最低限の生活を維持するには、最低でも月150ドル必要であるとされていた。
 労働組合が現在直面している課題は、現在3つのナショナルセンターが存在することである。政府が支援している労働組合、独立労働組合、野党が支援する労働組合であり、これらをまとめていくことは非常に難しい。また、労働組合の活動に対して圧力や脅迫もあり、さらには労働組合を組織化しようとしても当局側が登録を許可しないという問題もある。
 カンボジアでは短期の労働契約が多く、労働組合の組織率低下の要因となっている。また企業内で複数の労働組合が設立されているため、組合員の獲得競争が発生するなどの問題もある。
 物価が急激に上昇している中で、賃金はほとんど上がっていないため、労働者の生活はますます苦しくなっている。昨今、多くの人が近隣国に働きに出るため、労働力の流出問題も発生している。

2.国民の利益のための労働組合の取り組み

 これらの諸問題を解決するために、労働組合はセミナーや広報活動によって、さまざまな形で意見や情報を発信している。特にセミナーは、政労使三者で開催している。その中でも労働組合は、有期契約を回避させるための働きかけを行なっている。また、賃上げ交渉を推し進め、少なくともインフレ率に見合うような賃金の改定を要求している。
 その他、児童労働の問題も労働組合が直面する大きな課題である。児童労働は一般的に行なわれており、中には心身に影響を及ぼす重労働、危険な労働もある。ILOは現在、カンボジアで子どもたちに教育を受けさせるためのプロジェクトを展開している。しかし、非正規学校は2ヵ所にとどまっており、全国的な展開には至っていない。
 また、労働組合は年金制度の確立を要求している。政府は2015年までに年金制度を確立することを約束しており、これに向けて労働組合として、組合員や国民の利益のため、政策提言するなど協力していきたいと考えている。
 最後に、ナショナルセンターの統合に向けた取り組みについてである。ITUCカンボジア協議会(ITUC-CC)は、カンボジア労働組合連盟(CCTU)、カンボジア労働組合連合(CCU)、カンボジア労働総連合(CLC)の3つナショナルセンターで構成されている。ITUC-CCの事務局長は、3組織の代表者が毎年交代で務めている。国際的には、国際労働組合総連合(ITUC)とその地域組織、国際労働組合総連合アジア太平洋地域組織 (ITUC-AP)に加盟している。