2009年 カンボジアの労働事情

2009年9月29日 講演録

カンボジア労働組合調整評議会(CTUCC)
ロアタナ チェイ(Ms. Roatana Chey)

カンボジア労働組合総連合(CLC)
経理担当

 

1.労働事情

 人口約1,400万人、そのうち労働人口は74.6%。雇用労働者数は750万人(男性380万、女性370万)、このうち82%が地方の農民、首都プノンペンが8%、残り10%が他の都市である。プノンペンの失業率は、3.3%で全国で最も高い。2000年から2007年の経済成長は、年率平均6~7%と高い記録を残した。衣服、観光、建設の3分野が経済成長に貢献したが世界経済危機の影響を受けてこの3部門で8万人の労働者が失業した。カンボジアの人々の34%は、貧困ライン以下で生活している。公務員は約20万人いるが平均月収は、25ドル~50ドルである。

2.現在直面している課題

  • 労働者全体の利益を擁護するための労働組合間の連携欠如
  • 組織化に対する政党、使用者の干渉
  • 低賃金と劣悪な労働条件
  • 労使交渉の欠如と組合差別
  • 企業閉鎖や雇止め、賃金の減額

3.課題解決に向けた取り組み

 労働組合および労働関係者による研修、ワークショップや団体交渉のテクニックに関するイベントの開催、政府へのロビー活動。労働者の経営者に対する要求を政府が支持するよう働きかけること。

4.ナショナルセンターと政府との関係

 2年前に結成されたCLCは、衣服、観光、サービス、食品、インフオーマル、建設の6部門の産別から構成されている。労働諮問委員会、グループ8委員会、全国社会保障基金などの委員会に参加している。しかし、政党との特別な関係はない。

5.多国籍企業

 1993年以来、市場経済に移行、多くの外資が進出してきた。衣服が外資の投資としては最大である。観光部門にも多くの外資が入っている。多くの観光地で営業しているホテルはほとんどが外資である。また、市場開放によって外国資本が織物衣服の部門に投資するようになった。これらの工場は地方にあるが本社は香港、シンガポール、マレーシア、台湾、韓国などである。それらの製品の多くは、アメリカ、欧州、日本、カナダに輸出される。

6.ジェンダー問題の取り組み

 カンボジアの現実は、女性の方が国の経済に貢献している割にはその恩恵をうけていない。女性労働者の保護も十分でなく、職場でも社会一般においても女性の権利が守られているとはいえない。権利意識の低さも問題であるが文化に関係した問題でもある。労働組合としてはすべてのイベントへの参加を男女機会均等とすることをスローガンに活動している。

2009年6月16日 講演録

カンボジア労働組合調整評議会(CTUCC)
ソフェアック・セン (Mr. Sopheak Seng)

カンボジアQuicksew被服労働組合 副委員長・CUF国際局書記

 

一般的な情勢

 グローバル化によりカンボジアも価格競争の激化を招いた。生産者は少しでも利益を上げようと思えば安い製品を生産しなければならない。それに伴って労働者の権利や労働条件は顧みられることが少なくなり、価格競争と労働条件の向上との間の調和が困難になってきている。労働組合の指導者はこの問題を慎重に扱わなければならなかった。

労働組合が直面する課題

 同じ企業内、また同じ産業内に多くの労働組合が存在し、更に全国レベルでも多くのナショナルセンターが存在する。相互の協力関係や連帯関係が薄い。また使用者側の介入などにより労働組合結成が困難であり、そのため労働組合の組織率が低い。組織化が大きな課題となっている。
 カンボジアでは労働組合運動は以前から政党系列に数多くの組織に分裂していたが、2004年2月に様々な系列の組織が共闘組織であるカンボジア労働組合調整評議会(Cambodia Trade Union Coordination Council: CTUCC)を設置した。2006年8月時点では大きく分けてカンボジア労働組合総連合(Cambodia Trade Union Confederation: CCTU)、CCU、CLCの3組織が鼎立している。国際労働組合総連合(ITUC)にはCLCのみが加盟している。
 招聘者のセン氏は元々は上記調整評議会の構成1組織であるカンボジア労働組合連盟(Cambodia Union Federation: CUF)の出身。組合員は繊維を中心。総数は27,267名。

直面する課題への対処

 多くの労働者の声を一つの声にまとめ上げていくために、数多く存在する既存の労働組合は方針を転換し、全国的な共闘組織の設立を図るべきである。労使間の相互の理解と協力を築き上げていくために、労使間の社会的対話を制度化し、きちんとした労使関係を築きあげていかなければならない。その上で労使間の平和と協調が図られるようになる。また労働組合教育訓練を充実させ、労働者の権利や労働組合の活動について教育訓練を強化していく必要がある。さらに労働組合は政府に働きかけて労働法の制定を要求する必要がある。

その他

 経営者は世界的な価格競争に打ち勝つためにできるだけ安い製品を生産しようとしている。カンボジアは原材料を持たない。すべての原材料は中国、台湾、マレーシアなどから輸入しなければならない。使用者は、中国は必要な物のすべてを持っているため、事業を行うには最も良い国だ、と考えている。中国が最も良い投資環境にあると考えている。