2003年 カンボジアの労働事情

2003年9月10日 講演録

カンボジア労働組合調整評議会(CTUCC)
チョン モム トル

カンボジア労働組合連盟 会長

 

カンボジアから初の招聘

 JILAFの招聘プログラムで、カンボジアからの招聘は今回が初めてです。カンボジアでは長い国内の混乱の後、労働組合がここ4、5年の間にようやく設立されてきました。現在7つの労働組合が乱立というか、存在します。昨年から今年にかけまして、この7つの労働組合が、この名簿に書いてありますように、調整協議会という調整の場を設立しました。ICFTU-APROも色々と仲介をしながら調整協議会の設立に協力してきました。いつの日か統一の方向に向かって動きが出てくることを期待しています。
 今回は、先ほど申し上げました7つの労働組合のうち2つ、カンボジア労働組合連盟(Cambodia・Union・Federation CUF)のチョン・モム・トル会長ともう1人、カンボジア全国独立繊維労働組合連盟(National Inde-pendent Federation Textile Union ofCambodia : NIFTUC)のモーム・ニム会長が参加することになりました。調整協議会の場で調整の上決定されました。JILAFからはあくまでもCTUCCの枠で招聘されておりますので、もちろん私自身の組合のことについても言及しますが、CTUCCという枠で報告させていただきたいと思います。

国内の状況

 現在のカンボジアの政治、経済情勢について申し上げます。カンボジアの政治情勢は全国にわたって平和であります。悪い地方はありません。観光客はどこにも自由に訪問することできます。怖いところはありません。
 今年の7月に選挙があったばかりです。選挙に負けた党派の反対で新しい政府を樹立できずにいます。現在も古い政府が治めています。新しい政府を樹立するには憲法の規定で85議席が必要です。勝利した党派は73議席しか得られず、そのため政府を樹立できないわけです。しかし、それでも今のところは混乱がありません。平和な状態が続いています。

CTUCCの活動方針

 私は、CTUCC代表として参りました。CTUCCは誕生してからまだ6カ月しか経っていませんが、ICFTU-APROの協力を得ています。CTUCCは7つの労働組合連盟により構成されています。
 ストライキ権は認められていますが、時々、警察や軍隊にぶつかることがあります。ストライキを行いますと必ずそういうグループが干渉してきます。しかし労働組合を設立する自由は与えられています。
 政労使三者で構成される労働委員会が設置されています。これまで公務部門の賃金引き上げに成功してきましたが、今年の賃金引き上げのためにCTUCCは現在様々な戦略を工夫しているところであります。

CTUCCの具体的な活動

 私たちは、プノンペンでどのぐらいのお金があれば生活できるかの調査を行いました。その調査結果を発表する十分な資料があります。現在政府に要求していることの中に、工業地帯(Industrial Zone)に自由に労働組合を設立できる新しい法律を制定する要求が含まれています。残念なことにカンボジアには重工業がありません。日本やアメリカからの自動車関係、エレクトロニクス関係の企業もありません。一番多いのは裁縫工場です。この分野では20万人を越える労働者を受け入れる事ができます。この20万人を越える労働者の90%は女性です。この分野においては、男性は差別されているような感じがします。
 私たちは、今、連合のように全部の産業別組織が統一できることを目指して、一生懸命頑張っています。お互いの信頼関係をもっと強化していかなければいけないと思っております。信頼関係を築き統一を果たしてカンボジアの労働者の様々な条件を改善していくことを願っております。CTUCCの財政につきまして私どもはCTUCCの構成組織に会費を納めるように説得し教育をしております。そうしないと、CTUCCを維持できなくなるからです。CTUCCは独自の事務所を持っておりません。従ってこれから一生懸命財政を確保して、事務所を持てるよう努力ていかなければなりません。
 申し上げたことを達成できるようにするにはどうすればいいかも検討しています。一つ考えられるのは、もっと定期的に構成組織間の会議を持つ事です。それによって、お互いに信頼関係も強める事ができるし、お互いの話し合いによってシェアすることができます。今後様々な障害が予想されますが、私どもは頑張っていくしかないと誓っています。
 また日本の皆様にもカンボジアに是非来ていただきたい。そしてカンボジアの労働者に交流の機会を与えていただくようお願いします。

カンボジア労働組合調整評議会(CTUCC)
モーム ニム

カンボジア全国独立繊維労働組合連盟 会長

 

国内の状況

 チョウ・モントル会長の報告に、いくつか補足説明をしたいと思います。
 労使間の争議について話をしたいと思います。集団的な争議は減っていますが、個人的な紛争が増えています。5月、6月に労働者をリードしてストライキを行いました。そのときに政府軍が介入しストライキを鎮圧しました。その結果、労働者1名が死に、政府軍側も1名の犠牲者がでました。ストライキの原因は使用者が労働条件に関する法律を守らなかったからです。それで政府が我々に対して少し注目するようになり、労働条件がかなり改善され、ストライキが減少しました。
 児童労働問題についてつけ加えたい事があります。
 先程、児童労働問題の話しがありましたが、多くの場合は親が下請で仕事を受けて、その仕事を効率的に行うために自分の子供まで使うことがしばしば行われています。それが、結果的に児童労働になってしまっているわけです。カンボジアではまだ炭を使っています。エネルギーとして日本でしたらガスなどを使っていると思いますが、カンボジアではまだ薪などの炭を使っています。従って炭の工場にも児童労働が多く使われています。漁業についても同じです。家族全体で仕事をしているのです。エビとかカニを扱う仕事がありますが、子供は、エビの殻をむいたりカニの甲羅をむいたりする作業をしています。
 もう1つ大きな問題は、ゴミを漁る子供です。ゴミを漁る子供は、ゴミにいいものがあったら、それを売り、両親の生活を満たしています。
 国際児童労働反対の日というのがあります。児童労働に関するILO条約を早急に批准するように政府に働きかけています。更に児童が労働ではなく、学校に通える機会を与えられるように政府に要請しています。