2014年スリランカの労働事情

2014年10月24日 講演録

スリランカ全国労働組合連盟(NTUF)
報告者:ルシラディーバン ヴェラユタム

ランカ・ジャシカ農園労働組合総務部長兼NTUF青年員会副委員長

 

1.スリランカの労働情勢(全般)

国の基礎情報

 総人口――2050万人、女性1050万人、男性1000万人。
 総労働人口840万人、3分の1がフォーマルセクター、3分の2がインフォーマルセクター
 労働組合数2118。NTUF2004年結成、9加盟組織
 失業率5%(550万人)(センサス統計庁による)

雇用セクター

 国、国有企業、民間セクター(官庁、委員会を含む)

インフォーマルセクター

 農業就業者、小規模商人、契約労働者、家政婦、移住労働者、季節労働者、外部委託労働者。(農業部門26.4 産業部門27.8 サービス部門45.7)

賃金

 国有セクターの場合、給与は財務省と内務省によって決定される。労働条件に関しても同じである。法定法人(Statutory Corporations)の労働条件は、事業所法(Establishments Code)によって規制されている。
 銀行、商取引、サービス、プランテーションは民間セクターに分類される。銀行セクターの給与と雇用条件は、労使間で締結した労働協約を通じて規定されてきた。プランテーション、大規模商社に関しても、労働協約は同じ基準で実施されてきた。また、製造、サービス、プランテーション業務に関しては44の賃金委員会が設立され、最低賃金、労働時間、休暇について規定している。

紛争解決

 雇用の終了を含む紛争解決の機構は、労働省または労働審判のいずれかを介して利用できる。Inductive displays法は労使間の紛争解決の手続を定めている。

退職手当

 従業員共済基金、従業員信託基金がある。慰労退職金法が退職手当を規定している(労使の拠出)。

安全衛生

 工場で働く従業員の安全、衛生、福利厚生施設は「工場条例」が規定している。「店舗および事務所労働者法」も、店舗や事務所で働く従業員の福利厚生施設について規定している。

職場での母性と女性

 店舗および事務所労働者法、工場条例、女性・年少者・児童条例には母性保護と女性の安全に関する規定が存在し、その権利をカバーしている。

2.労働組合が現在直面している課題

業務委託

 多国籍企業およびほとんどの製造会社は、業務委託(請負)を行なっている。通常こうした業務委託は製造工程の本質的部分において行なわれており、下請労働者は正社員と同じ仕事を行なうが、同じ事業所で働いても賃金を支払うのは下請業者であるため、正社員に与えられる給与や手当、労働時間、休暇、老齢年金、退職金は与えられず、労働条件の格差は大きい。下請業者の下で働く労働者は、組合に加入して権利を要求する資格を奪われており、もし組合活動を行なおうとすれば、業務委託は打ち切られ下請労働者は仕事を失いかねない。

賃金の物価スライド制

 賃金の物価スライド制はかつて数年間実施されたが、現在は行なわれていない。この「コロンボ消費者物価指数」が策定されたのは、1952年のことである。2008年にセンサス統計庁長官が新たな指数を考案して古い指数を一時中断し、新旧両指数の公表を停止した。その結果、労働組合と使用者は団体協約の交渉に際し、生活費の増減に基づいて賃金の物価スライド制を適用したが、給料の調整は不可能であることがわかった。

プランテーション労働者の住宅

 プランテーション労働者の土地と住宅の所有権は認められていない。土地はプランテーションの経営者によって所有されている。プランテーション労働者は何世代にもわたりプランテーションで暮らしているが、住宅を建てるための土地を所有していない。これは農園労働者にとって重大な問題である。

3.課題解決に向けた取り組み

経済指標の開示

 ナショナルセンターは、随時、政府に様々な経済指標(過去・現在含む)を開示するように求めている。様々な指標は賃金を決めるにあたっての判断材料となるからである。政府に対する要求は、現在も継続している。

住宅問題

 住宅に関しては、政府やプランテーション企業等の関係者と交渉をしている。プランテーション企業は、政府から土地を買収しているため、他人に売却する権限はもっていないことが、障害となっている。

4.その他の課題等

給与と賃金

 現在スリランカの労働者が抱えているもう一つの不満は、労働者、特に中・下位層の労働者の給与と賃金である。生活費は急上昇しているにもかかわらず、賃上げは過去10年間行なわれていないため、賃上げを必要としている。

労働組合の認知

 一部の使用者が労働組合の結成を認めていないことも、労働者が直面している課題の一つである。フリートレードゾーン、自由貿易区域というところがスリランカでは非常に重視されているが、そこで働く労働者は労働組合に加入することができない。

次世代の育成

 さらに次世代のリーダーが労働組合の中で育っていない。次世代リーダーのトレーニングプログラムに参加する予定だが、ILOの支援のもとに世代リーダーの育成への動きが見られ始めている。

セイロン労働者会議(CWC)
報告者:プラサント ラジャマニ

セイロン労働者会議青年組織担当

1.スリランカの労働情勢(全般)

 スリランカの労働力人口は約850万人で、その中での労働組合組織率は約17%である。労働者のうち65%以上が労働組合に所属していない。
 プランテーション部門の組織率は比較的高く、自分が所属しているセイロン労働者会議(CWC)の約70%はプランテーション部門の労働である。
 国の発展にともなって、多くの新規雇用が創出され、スリランカの労働事情は改善しており、失業率も減少している(失業率は現在約4%)。

2.労働組合を取り巻く現状と現在直面している課題

 労働組合の数が多すぎることが課題である。国内で2000もの労働組合が登録されている。自由貿易区域の労働者は、労働組合に加入できないなど、結社の自由が制限されていることも課題の一つである。

3.その課題解決に向け、どのように取り組もうとしているのか。

 これら課題に関しては労働大臣と組合が国家労働諮問委員会を設置し、討議中である。