1997年 スリランカの労働事情

1997年12月10日 講演録

ムトゥ・シヴァリンガム
セイロン労働者会議(CWC) 財政部長

 

民営化政策に伴う問題

 SAARC、つまり南アジア地域協力連合諸国における新しい傾向は、電気通信、銀行、港湾、その他の法人など、国営あるいは政府系の産業や機関の民営化であります。SAARC諸国会議で承認され、宣言された政策に従うことについて、スリランカも例外ではあり得ません。
 このSAARC会議の後、それらの機関で従業員の動揺や騒ぎがありました。関係者の間で話し合いが持たれ、従業員の福祉に関連した次のような諸問題についての妥結が成立し、保障されることになりました。第1点、従業員が享受している雇用、便宜、福利厚生等を継続すること。第2点、従業員が自主的に退職する場合は、適正な補償金を支払うこと。したがって、今までのところ、従業員は、いかなる大問題にも直面していません。しかし、新しい会社による反労働者的行為が実践されることにより、将来は何らかの紛争が発生することが予想されます。国内に自由貿易地域が設定されたため、中途退学者や、非熟練労働者の就職口が何百万件も創出され、全人口の30%を占める若者層を引きつけました。しかし、彼らの労働組合権は否定されています。政府は近い将来、労働者憲章が制定され、自分の選んだ組合に加盟する権利を含む、全ての正常な権利が保障されるようになると請け負っています。

プランテーション部門における諸問題

 次に、プランテーション部門ですが、これは私個人にとって、もっと近い問題であります。国有大農園、プランテーションは、民間経営会社に、当初は5年間の賃貸借契約でリースされていましたが、そのようなリース契約がちょうど期限満了になったとき、新しい政権が樹立し、プランテーションのリース期間を延長し、50年にすると発表しました。リース期間が5年間であったときでさえ、我々は大変苦い経験をしていましたので、この延長が発表された時に、労働者に少し騒ぎが起こりました。そして、新政権の決定に反対し、新会社へのプランテーションの引き渡し前に、労働者の福祉条件に関する主要問題を決着するために交渉するよう要求しました。
 そして、政府及び経営者団体と何度か話し合いが持たれた結果、次のような合意に達しました。第1に、賃金。セイロン労働者会議(CWC)は、11ルピーの賃上げ交渉に成功し、1996年の1日当たりの賃金を83ルピーに決定いたしました。さらに1998年には、20%の賃上げが獲得できるよう、現在話し合いが開始されたところであります。第2に、労働者への10%割り当ての提供。割り当て証明書の処理が進行中です。第3に、最低保障労働日数。年間最低300労働日が保障されています。第4に、プランテーションで一般に普及している給付金や慣行を継続する。第5に、住居所有制度。労働者の住居及びその周辺の土地を、労働者に対して無料で提供することが合意され、そのほかに学校、寺院、生協及び保育園等のための土地を提供する。そして今、そのような調査が進行中であります。第6に、公務員の二一ズに対応するための、独立した省の設置が実施されました。国家社会基盤省は、CWCの会長で、国会議員であるS.トンダマン氏の権限のもとに置かれています。
 プランテーションにおける雇用問題ですが、プランテーションに職業訓練センターを設置する仕事を開始しました。これは、政府による何百万ドル規模の事業計画で、プランテーションで働く若い人達が技能訓練を受けるための施設であります。このプロジェクトに加えて、CWC自身も、若者のための宿泊施設付の訓練センターを持っていて、毎年300人の若者に技能訓練をしています。

政府との関係

 我々労働組合関係者は、このような様々な問題を持っていますけれども、これをうまく処理することができています。と申しますのは、CWCは、政治的な立場も確保しているからであります。つまり、私を含めて9人の国会議員がおりまして、今の政府が一党で多数派を占めていないので、政府としては我々の支持が必要なわけであります。したがって、我々にとって自分たちの要求を実現していくということは、比較的簡単なのであります。