2009年 パキスタンの労働事情

2009年6月16日 講演録

パキスタン労働者連盟(PWF)
ワリ・ウッレーマン・カーン(Mr. Wali ・Ur-Rehman Khan)

ワプダ水力発電中央労働組合グジャワンワリ支部 副書記長兼PWFパンジャブ地域執行委員

ヤスミン・アラ(Ms.Yasmeen Ara)
BSN薬品関係労働組合 情報局書記兼PWFカラチ地域執行委員

 

労働情勢

 パキスタンでは中央政府、地方政府とも民主的に選ばれた政府である。パキスタン政府は2008年に新たな労使関係法を導入した。パキスタン労働者連盟(PWF)は、この2008年労使関係法にはパキスタン政府が既に批准しているILO条約に完全に違反している規定が含まれていることを指摘した。この規定に対してPWFは反対闘争を展開している。2009年2月16日、パキスタン政府はイスラマバードにおいて政労使三者構成会議を開催し、労働組合も代表が出席し反対の意見を表明した。現在労働組合は政府からの前向きの回答を待っている状況である。

労働組合が直面する課題

パキスタンの労働階級が直面している問題は以下のとおりである。

  • 有意義な教育制度が欠如していること。
  • 失業問題
  • テロの問題
  • 事業所の閉鎖問題
  • 最低賃金
  • 労働法の不履行問題

課題を解決するための活動

 PWFは、国際労働基準に違反する諸問題の解決を目指して政府に圧力をかけために労働組合運動の強化に努めている。同時に一般市民の共感獲得にも努めている。

政府との関係

 PWFは非政治的な組織であり、どの政党とも政治的な加盟関係を持たない。加盟組合員は自らの意思と希望に応じて投票を行う自由を有している。

パキスタンで操業している外資系企業

 パキスタンに進出している外資系企業には国内法ならびに国際労働基準を順守していない企業がある。労働組合運動は政府並びに外資系企業に対してそれらの法律を順守するよう圧力を加えてきた。

2009年6月5日 講演録

パキスタン労働者連盟(PWF)
ワリ・ウッレーマン・カーン(Mr. Wali ・Ur-Rehman Khan)

ワプダ水力発電中央労働組合グジャワンワリ支部 副書記長兼PWFパンジャブ地域執行委員

ヤスミン・アラ(Ms.Yasmeen Ara)
BSN薬品関係労働組合 情報局書記兼PWFカラチ地域執行委員

 

労働情勢

 パキスタンは36のILO条約を批准している。その中には中核的条約とされる8つの条約が含まれている。しかし、重要な4分野(児童労働、債務労働、男女差別、組合と団体交渉)でのILO条約の違反が記録されている。とりわけ87号条約(結社の自由)と98号条約(団結権、団体交渉権)で保障されている権利が抑圧されている。労働者の諸権利侵害は組織的に行われている。文民政権も軍事政権もこの状況を是正するとは言ったが実行されてはいない。団結権と団体交渉権が行使されているのはほんのわずかの労働者を代表する組合でしかない。
 労働関係法令の特別規定によって国家公務員と宣言されると当該労働者の団結権が制限される。ナショナルセンターと国際労働運動、ILOはパキスタン政府に対して国際労働基準に従った国内法の整備を求めているが、まだ成功していない。

直面する課題と取り組み

 「労使関係法2008」は団体交渉の定義を明確にしていないために紛争解決に対して労使から懸念が出ている。多国籍企業によっては巧妙に組合を排除している。作為的に非組のポストに組合員を昇格させて組合から脱退させる方法をとったりする。労働裁判所による事案の処理も件数が増えていることもあるが遅れている。労使交渉で企業の収益を問題にしていながら役員報酬は200%も上がっていたケースもある。
 パキスタンの労働組合は山積するさまざまな問題に取り組むために3つのナショナルセンターを統合してパキスタン労働者連盟(PWF)を2005年に結成した。422の組合、88万人の組合員は全国8つの地域事務所との連携によって活動を推進している。PWFには10の常設委員会があるが、その一つは政治への取り組みを進める委員会である。労働者の声を政治によりよく反映するための活動には組合員への政治参加意識の啓蒙活動が含まれる。PWFは240人のトレーナーを通じワークショップや指導者養成セミナーを実施している。女性組合員は、女性の権利と機会平等の確保、性差別反対の運動を推進している。