2000年 パキスタンの労働事情

2000年9月18日 講演録

ザファール・マームード・マリック
ラワルピンディ・イスラマバードジャーナリスト組合委員長

 

政治経済状況

 1990 年10 月にパキスタンは再び軍事政権下に入りました。労働者の組合活動は禁じられていないものの、集会やストに関して活動が規制されています。国際金融機関が債務返済の繰り越しに応じなければパキスタンは債務不履行寸前であるので、経済状態は大変深刻です。パキスタンは慢性的な輸入超過に悩み、同じように国内の歳出が歳入をはるかに超えています。パキスタンの国が変動相場制に切りかわったため、通貨価値が5.5 %下がりました。99 年度の経済成長率は4.5 %と堅調でしたが、これは綿花や麦の豊作があったからです。失業率が高い水準にあり、景気回復が最も緊急な課題であります。政治腐敗や高い失業率のため、労働運動はその存続のために戦っている状況です。
 それに現在パキスタン政府は、外資系の電力会社との争いを解決するよう、世界銀行、IMF 、また他の融資機関から圧力をかけられています。パキスタンの前政権は多くの外資系の電力会社と高い料金で電気を買い取る契約を結び、それが今問題の種になっています。そしてこの争いが外資系企業や民間企業によるパキスタンへの投資の足かせになっています。他方、公共部門の民営化や民間企業が進めている合理化の結果、リストラ問題に対応することが労働組合にとって大きなチャレンジとなっています。

APFOL の活動

 このような状況で、APFOL はまだ組織化されていない労働層の組織化を図ること、そして労働者の教育プログラムに重点を置いて活動しています。そのなかでAPFOL は、LOFTF やJILAF といった国際機関等とも協力関係を結びました。APFOL は児童労働問題と取り組み、ラワルピンディ、イスラマバード、ハリプール地域で児童労働者に対して教育プログラムを実施しています。またAPFOL はシアールコートに集中しているスポーツ製品製造企業、そしてチャクワル、クシャブ、ジェルムまたミアーンワーリ郡の鉱山で働く労働者の組織化も推進しています。これに関してAPFOL は、LOFTFつまりデンマーク組合会議等の協力で研究プロジェクトを始めました。さらにAPFOLはさまざまな工業団地で働く労働者の職場環境に関して数多くのレポートを出版しています。そしてその最新の出版物は、シアールコート市工業団地で働く労働者についてです。本日このレポートのコピーを幾つか持っていますので、後で差し上げます。その他、労働者の教育、組合活動の権利、財政管理、労働者の安全衛生、また未組織労働者の組織化に関しても、さまざまな雑誌、出版物を発行しています。APFOL はその活動に関しても年4 回の機関紙を発行しています。
 APFOL はレンガ工場で働く労働者の子供たちに向け、教育機関を設立した功績もあります。このプロジェクトはLO ノルウェー労働組合の援助で運営されていて、大変順調に進んでいます。
 その他JILAF の援助で、職場の安全衛生や人口計画に関しても、多くのプログラムが実施されています。ご存知のとおりJILAF が安全衛生などに関して出版した刊行物をウルドゥー語に翻訳したものもあります。
 スポーツ製品製造企業や鉱山労働者、また他の工業団地で働く労働者の組織化を図るために、APFOL は事務所を設け、労働者の生活や労働条件の改善に努めています。教育プログラムを通じて、APFOL は指導員成し、安全衛生や人口計画に関して労働者を教育しています。これらのプログラムはJILAF やLOFTF 等の協力のもとで進められています。
 このようにAPFOL は全国レベルで多くの課題に取り組み、また、さまざまな問題の解決のために外国の労働団体からの協力を得ています。その主要な課題は、労働組合の権利と人権の保護、反労働者性質の法律の撤廃、または改善に努めること。未組織化労働の組織化、強制労働の禁止、廃止、児童労働の問題に取り組むことなどです。

ラナ・ムハマッド・アクラム
パキスタンワプダ水力発電所中央労働者組合事務局長 兼APFTU 中央執行委員

 

APFTU の活動

 労働者組合、経済、政治社会の基本権利を守るために、我が国における労働運動は次のような目標を掲げ、それを達成するために行動計画を立てなければならないと考えています。労働運動の強化及びインフォーマル、農村分野の労働者、また女性や若い労働者層の組織化がその内容であります。そして次の方法を用いて労働運動の能力を高めることを目指しています。
 労働者の一致団結、労働者の教育及びトレーニングプログラムの実施、研究また出版物の発行、文民社会との連結、各種顧問機関に有力な代表を送ること、全国のメディアに積極的に声を送ること。
 ILO 条約87 条、98 条、29 条、105 条、100条、111 条に従って労働者の組合活動に関する権利を守り、それを促進させ、労働者の組織化、団体交渉権、また強制労働の根絶を達成すること。
 ILO 条約100 条、111 条、182 条に従って女性、若者、また児童労働問題の解決、及び福祉を図るために特別な手段を講じること。若者、女性、そして移民労働者及び弱者の立場にある労働者に対して、有意義な教育訓練プログラムを実施し、現在及び将来の市場のニーズに対応するために人材開発を行うこと。
 基本的な権利に関するILO の中核条約を守るため、また、社会経済や労働政策に関して二者機関に組合代表の参加をうたったILO 条約144 条を達成するために、社会対話を強化すること。
 健全な仕事の促進を図り、男女ともに労働者の相当な報酬を確保すること。また、安全な労働環境、社会福祉、雇用の保障を確保すること。さらに二者及び三者協議機関へ労働者の効果的な参加を図ること。
 IMF や世界銀行の要望に応じて政府が実施している民営化及びリストラの過程に、雇用機会の増大や社会福祉手当てを求め、政府に働きかけること。
 ILO の中核条約に従って国内の労働に関する法律整備を図り、ILO 中核条約の促進、批准、そして実施を通じて、組合活動の自由と団体交渉権を確保すること。
 文民社会党の連結と、民主的、かつ、よい政治が図られるために手段を講じ、また国庫、つまり国の財政、世界銀行、IMF 、また国内銀行の融資の使途の透明化が図られるよう手段を講ずること。
 多国籍企業による労働者の基本人権の侵害を食いとめるために、労働人権の保護及びその促進を図ること。
 民衆の社会経済促進のために、平和及び安全を促進すること。そして雇用機会の増大を図るために、投資を進めること。
 人口増加を抑制するために、影響力を用いて社会で教育、啓蒙活動を行うこと。
 以上ですが、我々の組織が実施している労働教育プログラムにJILAF が協力してくださっていることに関して、この場を借りて、感謝を申し上げ、将来両国の友好がますます深まっていくことと確信を持っています。