1998年 パキスタンの労働事情

1998年12月2日 講演録

モハメッド アシュラフ マリ
パキスタン全国労働組合連盟 財政次長

 

PNFTU1962年に設立され、1963年にICFTUに加盟しました。

パキスタンの問題

 人口のほとんどが読み書きできなく国民は主に貧乏です。それに加えて、アフガニスタンからたくさんの難民がパキスタンに入ってきています。物価がすごく高い。物価に政府のコントロールもないです。パキスタンができてから50年たっても、労働者たちの権利が全然守られていません。そのために労働組合が戦っています。ILO条約の第87と第98号に基づいて労働者たちの権限について、この権限もパキスタンでは全然与えられていません。だから、明らかに人権に反しています。パキスタンではエクスポート・プロセシングゾーン(EPZ)、輸出するための港の近くにそういう地域があります。そこに外国から企業が来て投資をしています。そして、いろんな工場をつくっていますが、その人たちにもパキスタンでは労働法があまり守られていません。この経営者に守らなくていいですよというふうに政府の人たちが言っています。そして、ゴールデンヘンシェイクという早く退職させる制度があります。それに対してその企業が労働者に幾らか決まったお金を払い、そして、ダウンサイジングといったリストラを行っています。このように労働者たちの状況は悪化してきています。ほかにもいろんな問題を私の国の労働者たちは抱えています。
 具体的な例を挙げますと、パキスタンでは経済状態がよくないので、教育制度も不十分で小さい子供たちが働く、いわゆる児童労働があります。そのILOの対策として、パキスタンでは子供たちの親に仕事を与えて、子供たちを学校へ行かせるような制度をとりました。ILOがパキスタンでこういう教育のプログラムを行っています。
エクスポート・プロセシングゾーン(EPZ)は外国から投資をする企業を誘致しますが、そういう企業は本 国では自分の国の法律を守ったり、労働法を守ります。しかし、パキスタンに来るとそういうことを無視してしまいます。そういう外国の企業は、パキスタンではできるだけ工場をつくるためにこの地域を選びます。その地域はどういうことに基づいて選ぶかというと、労働組合をつくることのできない地域とか、労働の基本権を無視したり、経営者の都合で考えて工場を設立します。
 パキスタンが核実験を行ったことについて、私たちパキスタンの国民はすごく悲しい。基本的には絶対に核実験は行いたくなかった。しかし、私たちに先立ってインドが核実験を行った。それだけじゃなくて、パキスタンに軍事的な攻撃計画をしていました。世界の各国はインドが核実験を行った後、インドに対して何の制裁もしなかった。それで、パキスタンは自分で核実験を行なう決意をしたのです。しかし、インドの核実験に対し日本はすごく強い反対を表明した。そして、日本の大使をインドから召還させるなど、パキスタン人にとってはすごくありがたい姿勢だった。我々パキスタン人は平和を愛する人間です。全世界が平和になったらいいと私たちは思っている。JILAFがもし平和に対するプログラムをつくって何か活動を行ったら、我々はぜひそれに参加して、できるだけのヘルプをしたいと思っています。
 JILAFがパキスタン労働者たちのために一生懸命やっていること、パキスタンの労働者に協力をしていることはほんとうに感謝してます。PNFTUはJILAFの協力で我々本部のソリダリティハウスで医療センターを行なってます。医療センターのためにJILAFの支援は大変助かってます。そこにいい医者たちがいて、一生懸命人々のために頑張っています。

クシ モハメッド コーカール
水路福祉連合組合 委員長

 

ナショナルセンター統一の動き

 APFTUはラホールにあります。組合員数は100万人ぐらいです。それ以外にいろんな地域に私たちの支部もあります。失業率はパキスタンでだんだん悪化してますが、それに対して政府は何の対策もしてません。企業の設立が今すごくは多くなっているが、企業の経営状況がすごく悪い。女性も社会進出が拡大していますが、失業率があまりにも高いので、仕事がない状況です。ほかのところで仕事がないので、最近農家で女性が働き出しています。労働組合を私たちは一生懸命努力しているが、まだまだパキスタンの労働組合はあまり力を持っていません。日本の労働組合の歴史でも犠牲と努力という言葉が2つありますが、パキスタンでも同じです。連合とJILAFをここまで持ってくることに対して、その努力はすばらしい成果です。
 パキスタンでも8つのナショナルセンターが1つの連合体をつくりつつあります。その連合体がこれからパキスタンで活動しようとしています。パキスタンでもAPFTUとほかの組合が一緒になって労働者たちの状態をよくするために一生懸命努力している段階ですが、まだまだ成果は出ていません。
 銀行の組合に関して言うと、銀行の組合に対して銀行の経営者たちは、銀行では組合をつくることはできないという規制をつくっています。だから、銀行で組合をつくることがまだできません。APFTUの役員グルシドとほかの指導者たちが一緒になって、パキスタンの首相ナワズ・シャリフに要求を提出していますが、まだ結果が出ていません。ILOにもこの努力について報告をしています。ブット政権時代に外国の会社にいろんな誘致をしたので、その結果としてパキスタンで電気料金がものすごく上がりました。あまりにも電気の値段が高かったので、国民の不満が広まりました。それに対し、今現在のナワズ・シャリフ政府が22%~28%を値下げをしました。労働者を抑圧するようないろんな制限があります。それをなくすために私たちは努力を続けています。そういう制限・規制を廃止したら物価もだんだん下がると思います。

インドとの関係について

 核実験について、パキスタンはいろんな問題点があって、いろんな問題を抱えてやむを得ず実験に踏み切りました。パキスタンの政府がインドの政府と話し合いをするため準備をしています。同様にJILAFプログラムでもパキスタンの労働の代表者たちとインドの労働の代表者たちがこの招聘プログラムに出てほしかったのですが、別々の参加は残念です。パキスタンの国民はインドと良好な関係を持ちたいという希望がありますが、カシミールの問題がいつもその障害になります。政府は来年2月にカシミールの問題と核実験の問題について話し合いをするためにアメリカヘ行って、アメリカの政府と話をする予定です。
 広島訪問時に原爆の映画を見ました。それを見て私たちはショックを受けました。パキスタンの政府とパキスタンの国民は、核実験とこれからの核活動を増やしたくないです。核を使うということはものすごく残酷なことです。そして、広島の例ですが、これは全世界のためにすごく重要な例です。このビデオを見て、これからだれも核を使いたいと思わないだろうと思います。ここで私たちが見た広島のビデオですが、コピーをして私たちはパキスタンに持って帰り、パキスタンの指導者たち、労働者たちに見せたいと思います。この映画を見せてみんなの心をつかんで、核に対しての認識を高めたいと思います。

モハメッド イクラーム
アタック石油精製労働組合 書記長

 

 1966年に我々のAPFOLはICFTUに加盟しました。子供のとき私たちは教科書で、アメリカは日本の2つの町に核爆弾を落とした、それは広島と長崎という町です。今回、私は広島を訪問しましたが、広島でのビデオを見て、私と私の仲間たちはすごくショックでした。15万人の命を奪うような広島の爆弾です。私たちはすごく悲しく思います。日本は先進国です。パキスタンの国民は日本の国民に対してすごく友人的な気持ちを持っています。パキスタン人は日本人を兄弟だと思っています。パキスタン人は生活の安定と自国の防衛が目的であり、攻撃する意図はないのです。我々は全世界の平和を求めてます。平和に対して日本の世界中での活動は尊敬しています。
 今、パキスタンでは労働者たちは主に2つの問題を抱えています。1つは失業問題です。あまりにも高い失業率が広がってます。もう1つの問題は時給で働く労働者たちです。1日だけの契約をして、1日に1日と延長しています。パキスタンは教育普及率が低いです。しかし、教育を受けている人たちの中でも8割ぐらいの人が仕事を見つけることが困難です。民間会社ですが、そういうプライベートの会社は70%~80%の労働者たちを1日契約で働かせています。また、公務員に対してもこれから1日契約で働く制度が高まってきています。働く人の健康、働く人の権限などを無視して、無理に働かせている制度です。普通に働いている人たちに比べると、1日契約の労働者たちは何の権限もなく、健康保険、退職金もありません。そして、1日契約ですから、いつでも解雇になります。我々の組合APFOLは、ほかの組合と一緒になって今この状況をよくするために頑張っています。このことに対して、パキスタンの8つのナショナルセンター連合体は統一する努力をしようと決めています。我々の組合APFOLもその重要な役割を果たしています。