2001年 ネパールの労働事情

2001年6月13日 講演録

ネパール労働組合会議(NTUC)
マダブタパ

ネパール金融労働者組合中央執行委員会顧問

 

政治状況

 今回選出された議会の構成を見ますと、政治的な安定がもたらされるのではないかという希望を私たちにもたらしました。ネパール会議派の総裁であり、また議会の長老であるG・Pコイララ氏が今度の新しい政府を率いています。そして今までの政府の方針を継承すると言っています。そして現在、野党である統一共産党は今度の選挙で71議席を得ました。
 現在、議会における政治は非常に安定しているように見えます。しかし、実はマオイスト・ムーブメント(毛沢東主義者運動)というものが、特に地方の12の郡の奥深い農村部において、非常な恐怖を引き起こしています。それによって、治安の問題が起きています。この毛沢東主義者運動というのは1994年に始まったわけですが、今までに既に1,600人の命を奪っています。その中には一般の人も警察官も含まれています。非常に残念なことに、既に15人の労働組合の活動家が命を失いました。そして何百人ものほかの人たちも、今、恐怖と脅威のもとに暮らしています。

社会、経済状況

 1995年から96年にかけて、経済の成長率は消費者物価が一定であるとの仮定のもとにはかったGDPの上昇率で5.7%でした。96年から97年にかけての年度で30%低下し、97年から98年にかけての年度でさらに42%低下しました。1997年から98年の年率成長率は2.3%でしたが、これは同じ時期の人口の年間上昇率と同じでした。さらに、ネパールの平均成長率は1980年から90年を平均して、9%でしたが、これが1.7%に低下しました。それに対して、1996年から97年にかけての年度は4%、97年から98年にかけての年度が5.3%です。
 次に産業部門ですが、各産業すべてにおいて0.2%の低下が見られました。輸出の弱体化、それから資源活用の貧弱さ、そして1994年以来の政治的な不安定さ、これらの3つの要因が今のような状況をもたらした背景にある主な理由です。
 ネパールの輸出品目の最大のものは、じゅうたんですが、この輸出が1996年の67億8,440万ルピーから、97年には59億5,560万ルピーに低下しました。
 ネパールの2、3、4番目の輸出品目は豆類、なめし皮、それからニジェールシードという種ですが、それが、1997年から98年にかけて、それぞれ7億8,240万ルピー、2億9,480万ルピー、9,720万ルピーでしたが、これが1998年から99年の年にそれぞれ次のように低下すると予測されています。つまり、豆類が6億5,790万ルピー。なめし皮が2億4,410万ルピー、それからニジェールシードが7,380ルピーです。
 1997年から98年にかけての年度において、貿易赤字はGDPの21%に低下しました。これは輸出の回復がずっと続いたからです。現在、経常収支の赤字がありますが、その補填には海外からの援助があてられています。これは97年、98年の年度のことです。97年から98年の期間において、外国為替準備金が7億1,200万ドルに上昇しました。これは6カ月分の輸入高に相当します。
 対外債務返済率が輸出の8%以下に抑制されてきましたが、対外債務残高のほうは輸出高の9%に上っています。不十分な電力供給、それから不十分なインフラ、つまり社会基盤がこれから将来改善されると見込まれています。これはさまざまな発電所計画、特に、水力発電所計画があるからです。

労働市場状況

 1998年に第8次計画が終わりましたが、その時点でのネパールの労働力人口規模は1,166万9,000人という概算値が出ています。経済的に活動している労働人口のうち4.9%が完全失業状態です。すべての就業人口のうち81%は農業に従事しています。それから5%が工業、鉱山業、電力、建設等に従事しています。そして14%の人たちが貿易、ホテル業、輸送、通信、金融、不動産、社会福祉事業に従事しています。
 雇用されている労働力人口のうちの47%は不完全雇用、あるいは潜在失業状況にあります。これらのほとんどは農業に従事しています。
 国の産業は、あまり希望の持てる状況ではありません。前回の議会の任期の間にあまりにも何度も政府が変わったために、これがこのような不確実な産業状況を引き起こしました。伝統的な産業のうちの多くのものが、例えば綿、ジュート、それから鉄鋼などですが、これらが大変な問題を抱えていまして、多くの企業が閉鎖に追い込まれています。それから政府の政策が間違っていたこと、また金融構造がよくないことなどがこの問題の原因ともなっています。工場閉鎖はごく頻繁になっています。NTUCはこのような問題に圧迫されています。
 しかしながらこの8年間組織化が進んできましたので、労働者は何らかのものを確保してきています。もっとも彼らが受けるべきすべての恩典を受けているわけではありませんが、何らかのものは確保してまいりました。労働法におけるいくばくかの進展がありました。労働裁判所の設立、団体交渉権、文書における契約など、労働法で獲得することができました。
 次に、契約労働がなくなったということです。それから労働者のための社会保障制度にいくらかの改善が見られました。

2001年度におけるナショナルセンターの最優先活動

 社会保障制度についての認識を高める、あるいは意識を高める、そして今度の議会でそれに関する法案を通させる。ILO中核的労働基準条約の批准。組合組織化キャンペーン及び若い労働者、青年労働者の組織化運動。
男女平等問題。児童労働撲滅計画。労働組合の基本的及び上級教育。労働組合運動に対する労働者の意識の向上。職業安全衛生、女性の労働運動への参加、労使関係の安定、調和、協調。労働組合権とその他の人権。児童労働をなくすための教育。国の三者機関及び二者機関への組合の効果的な参加。
 今申し上げましたようなさまざまな目標を達成するために、NTUCは議会の議員及び関連各位の人たちと相互交流を行っています。
そのような交流を行うということは政府に対して積極的なプレッシャーをかけることにもなりますし、目標を達成するためのPRにもなります。
 またNTUCはさまざまな男女問題に関するプログラム、計画を実施しています。そのほかにも多くの計画があって、その中には児童労働撲滅、労使関係に関するもの、それから三者協議の機関の会議を開くこと。職業・安全・衛生の訓練、ワークショップを開くこと等々についてもプログラムを持っています。