2000年 ネパールの労働事情

2000年9月18日 講演録

プスカル・アチャリャ
ネパール労働組合会議事務局長

 

NTUC の概要

 私の組織は、1991 年にネパールで民主主義が回復された後、設立され、今年で10 年がたちました。組織人員は14 万人、このうち組合費を払っている人は6 万人です。設立来、2度大会を開催しました。最初の大会は1994 年2 月にジャナプールで開かれ、第2 回大会は1998 年2 月にポカラで開かれました。第2 回目の大会の後、私たちは、60 のディストリクト・コミティー、いわゆる地区委員会をつくり、加盟組織は20 あります。

国内情勢

 政治状況ですが、今度、新しい議会が選出され、その構成から判断すると、ある程度政治的に安定してきましたので、少し希望が持てるようになりました。が、議会政治としてはかなり安定しているように見えても、実は現在進行中のいわゆる毛沢東運動が、特に山間僻地部にある12 地区で恐怖をもたらしています。それによって治安問題が生まれています。1994 年の初めごろから毛沢東運動により、残念ながら300 人以上の労働者と農民の命が失われています。最新の報告で私たちはこの問題を取り上げ、15 人の組合活動家が命を失い、それ以外にも何百人もが恐怖の中で日々暮らしていることを訴えました。経済、社会状況ですが、ネパールの平均経済成長率は、1980 年から90 年まで年平均で9 %でしたが、その後、1.9 %程度に下落しました。ただ96年度では4 %、それから、97 年度で5.3 %に回復しました。産業の面では、産業内のすべての下部部門において0.2 %の下落が見られます。97 年度の貿易赤字は、ここのところの輸出のみ回復が続いている結果、GDP の21%となりました。
 我が国における産業の状況はあまり望みの持てる状態ではありません。前回の国会の会期中に何度も頻繁に政府が変わり、それが今の不安定な産業環境を生んだということが言えます。今までの伝統的な産業の多く、例えば綿、ジュート、鉄鋼産業などが、大きな問題に直面しており、幾つもの企業が工場閉鎖に追い込まれています。政府の欠陥のある政策や金融構造がこのような問題の背景にあります。工場閉鎖が非常に頻繁に行われるようになり、ネパール労働組合会議はこのような問題を含む多くの緊急の課題、問題を抱えております。ですが、ここ10 年間の組織化の結果、組合員あるいは労働者は、彼らが持つ権利の全ての受けるべき利益を得ているとまではいきませんが、ある程度は確保することができていると言うことはできます。
 次に労働市場状況について申し上げます。98 年の第8 次計画終了時において、ネパールの労働力人口は1,166 万9,000 人であると推計されました。経済活動を行っている労働人口のうち4.9 %は、全就業人口の中で完全失業状態が続いています。統計時に、81 %は農業、5 %は工業・鉱山業、電力及び建設業に従事し、14 %は商業、ホテル業、運輸、通信、金融、不動産及び社会事業部門などに従事していました。就業している労働者のうちの47 %が不完全就業状態で、そのほとんどは農業に従事しています。

NTUC の活動

 主な活動方針について申し上げます。まず第一が最低賃金の上昇です。それから社会保障制度についての意識啓発を行い、現在国会にかかっている社会保障に関する法案を通すこと、ILO 中核条約の批准、労働組合の組織化運動と若い労働者の組織化、児童労働の廃絶、労働組合の基礎的及び上級教育、職業安全衛生、全国的な三者及び二者機関への組合代表の効果的な参加などです。
 今のような方針を実現するための具体的な活動ですが、第一に各層における三者協議機関への積極的な参加です。ナショナルレベルでもその他のレベルでも、三者機関が幾つかありますので、それに積極的に参加しています。ILO 中核条約の批准に向けては、組合役員の意識を高めるために活動しています。企業レベル・全国レベルの組合役員相互間で効果的に意識向上を図るために、労働法のコピーを配布しています。また、児童労働の根絶のために子供たちの教育、職業教育計画などを実施しています。