1999年 ネパールの労働事情

1999年11月25日 講演録

ガネス・プラサド・ニロウラ
ネパール労働組合会議(NTUC) 財務担当役員

 

ネパールの基礎知識

 ネパールは大変美しい山岳の国でありまして、エベレスト山があります。人口は2,000万人で、さまざまな文化があります。ネパールは典型的な気候でありまして、そして非常に大量の水資源を持っております。しかし貧困と失業という非常に厳しい状態を抱えています。

ネパール労働運動とNTUC

 ネパールでは長い労働運動の経験がありません。我々はたった9年間の労働組合の活動の経験しかありません。1991年以前には、民主的な制度がありませんでした。民主的な労働組合運動は短い歴史しかありませんが、その中で二つのナショナルセンターができました。その二つのナショナルセンターの中で、私のネパール労働組合会議(NTUC)が民主的な労働組合センターであります。組織人員数は18万人です。
 NTUCはどういう活動をしているのでしょうか。ここ9年間、NTUCは組織強化に努めてまいりました。NTUCは近代的な設備を整えた中央事務局を設立いたしました。NTUCは、ネパールにおいて健全な労使関係の基礎となるような新しい法律をつくるためのプロセスに参加してまいりました。このような活動の結果、1992年の労働法、1992年の労働組合法、及び1993年のボーナス法ができました。
 民主主義の回復後、NTUCは何ら障害に遭うことなく、民主的な形でさまざまな活動をすることができています。NTUCはネパールの労働組合法に基づいて、ネパール政府の労働省に連盟としての登録をしています。NTUCは労働者教育、社会正義、よりよい労働条件、そしてよりよい労働者の賃金に力点を置いて活動しています。NTUCはネパール政府の労働省に登録されているNTUCの加盟全国組合を民主的なやり方で直接に調整しています。
 加盟組織の名前を、次に申し上げます。ネパール工場労働者会議、ネパール観光ホテル労働者組合、ネパール新聞組合、ネパール茶園労働者組合、ネパール法制労働者組合、ネパールじゅうたん労働者組合、ネパール金融労働者組合、ネパール準公営企業従業員組合、ネパール教員協会、ネパール労働組合、これはインフォーマルセクターの組合です。ネパール交通運輸労働者組合、ネパール保健医療専門家協会、ネパール理髪職組合、ネパール皮革・革靴労働者組合、ネパール小規模ホテル・レストラン労働者組合、ネパール木工労働者組合、ネパール電気工組合、ネパール人力車夫労働者組合、ネパール建設労働者組合、ネパール店員組合。

NTUCの発展への見通し

 開発とは、より高い肉体的精神的なレベルを達成するためのプロセスであります。NTUCは、個人が開発あるいは発展の主要な要因であるべきだと考えています。開発は人々のプロセスであり、国のプロセスではありません。
 ネパールは農業国であり、国民の92%が農業生産に従事しています。我々の目標は、このように十分活用されていない国民を農業部門から他の工業、そして他の経済活動に転換することであります。
 人権及び労働組合権。NTUCは、結社の自由、団結権及び平和裏に団体交渉をする権利の擁護に信念を持っております。このような信念を持って、NTUCは労働者の権利、そして他の市民の権利、そして政治上の権利等の利益と雇用の確保を守るために献身しています。

ネパール児童労働問題

 私たちは、児童労働の問題について、非常に深く憂慮しております。一つの経済といたしまして、その中の大人が失業と不完全失業の非常に厳しい問題に直面している一方で、同時に子供たちが労働力として大量に働いているという状況には、基本的な矛盾があります。そこで、我々NTUCは、制度上そして構造上の変化を求めています。我が国の経済の中で、このような矛盾があることを是正するために、我々としてはネパールの子供たちの搾取を抑制するために献身しております。そのためNTUCはこの分野で非常に真剣に取り組んでおります。

NTUCの抱える課題

 民営化はネパールのホットな問題の一つです。民営化の原則は受け入れ可能でありますが、我々のような国においては、この実施というものはまた別の難しさがあります。政府は民営化を優先しておりまして、少なくとも17の公社、公共部門の会社がすでに民営化されました。民営化の結果は、仕事の機会の削減につながりました。
 私たちの深刻な問題の一つは、失業であります。しかし私たちの優先順位としては、もっと生産の増加と雇用の創出を優先課題としております。しかし民間部門は成功していません。したがってこれは、ネパールにとって大きなチャレンジであります。
 組合費の徴収と財政問題。9年間の経験の中で、我々の組合は定期的に組合費を徴収していません。このような状態だと、組合は長期的に見て生き残ることができません。私たちの組合員は増えていますが、彼らから定期的に組合費が払われていません。そこで私たちは今ILO、ICFTU、JILAF等からの支援を受けています。私たちがこれからも定期的に組合費を徴収することができない状態が続くと、あるいは他の財源を確保することができないと、我々の組合の活動にとって大きな試練、チャレンジとなることでしょう。
 労働法の不履行。私たちには労働法がありますけれども、これは完全実施されていません。そこで幾つかの分野において、労働者たちは不安を感じています。仕事が確保されていません。組合員が雇用に不安を感じているならば、強い組合はできません。そこで私たちにとってよい団体協約をつくるということが課題であります。
 開かれた国境と未熟練労働者。ネパールはインドの隣国であり国境は開放されています。ネパールにおいては、必要なだけの熟練労働者が確保できていません。インドの労働者が我々の労働市場に入ってきて、就職口を満たしています。つまり私たちは、一方で仕事の機会が足りないという問題を抱え、一方で未熟練労働者の問題を抱えています。
 もう1点お話ししたいのですが、これは毛沢東主義者の問題です。共産主義系の政党の一つが、この3年間テロリスト活動に走っています。国の農村部あるいは僻地において、武器を使って人々を殺りくしています。普通の人、そして我々の組合員を殺しています。我々の組合は民主主義の組合であり、そして共産主義者たちは民主主義を信じていないので、そういうことが起こっています。教員組合の17人の組合員を殺害しました。したがって労働組合活動を実施するのに、さまざまな困難があります。