2009年 インドの労働事情

2009年9月29日 講演録

インド労働者連盟(HMS)
タルーナ・パニ(Ms. Taruna Pani)

北西鉄道労働組合 女性委員会副委員長兼
ラジャスタン州女性委員会委員

 

1.労働事情

 インド労働者連盟(HMS)は、19連合会、2500組合、820万人の組織人員を持つ。すべての州に地域組織を置いている。組織化している主な産業は、鉄道、港湾、鉄鋼、金属とエンジニアリング、石炭、砂糖、電力、ホテル、船乗り、農業である。組織の基本的な考え方は、政府や政党、使用者からの独立、産業民主主義と労働者教育、協同組合活動である。

2.現在直面している課題

  • 世界経済危機による影響と雇用問題
  • 労働者の増加あと賃金減少
  • 労働者死亡時の遺族に対する社会保障の欠如
  • 傷病保険の拡充

3.課題解決に向けた取り組み

  • 経営側および政府との継続的な交渉
  • 啓蒙活動と労働者の団結促進

4.ナショナルセンターと政府との関係

 政府との関係はよくない。政府の詐欺的虚偽的政策に対しては政府を糾弾し労働者の利益を守る。

5.多国籍企業

 ITから運輸まであらゆる分野に多国籍企業は進出している。賃金や労働時間をめぐって労使紛争が多発している。

6.ジェンダー問題の取り組み

 インドは男性社会であるが最近は女性に機会均等が与えられるようになった。自己開発や自己表現もすすんできている。労働運動のリーダーになる女性もでるようになった。

2009年6月5日 講演録

インド全国労働組合会議(INTUC)
カイラス・マハンデオ・ガダム(Mr. Kailas Mahadeo Kadam)

インド労働組合委員長兼INTUCマハーラーシュトラ州青年委員会委員長

バギャシャリ・パルチャンドラ・ブルキ(Ms. Bhagyashree Bhalchandra Bhurke)
西部鉄道労働地域副書記長兼INTUCマハーラーシュトラ州女性委員会委員長

 

労働情勢

 インドには17のナショナルセンターがあるが組織率は8%にすぎない。ナショナルセンターはそれぞれ政党との緊密な関係を持っている。約5,000組合、26の連合会組織、約821万人が加盟しているインド全国労働組合会議(INTUC)は、国民会議派に参加している。インドの雇用促進プログラムとして特別雇用スキームとしての全国農村雇用プログラム(NREP)、農村小作人雇用保障プログラム(RLEGP)があるが、2006年から全国農村雇用保障法(NREGA)により年間100日間の雇用を貧しい農村家庭の成人に提供するもので200県から始められ2008年からは全県で実施されている。

直面する課題と取り組み

 巨大な人口の圧力は児童労働からHIV/AIDSまでさまざまな社会的問題を起こしている。インドでは選挙の立候補資格に子供の数も規定されている。2人までは可能であるが3人の子供を持った者は立候補できない。67%の識字率の向上にも取り組まなければならない。児童労働は社会的経済的環境に根ざす複雑な問題である。貧困、教育や安全衛生に対する認識の欠如もある。雇用への環境整備など根本的な問題への取り組みが求められている。 児童労働はそのニーズがある限り消えることはないともいわれる。読み書きができないまま成長していく児童は大人になっても単純労働に従事するしかないという悪循環である。労働運動としはこの悪意循環を断ち切るための運動のほか組合員の教育・訓練プログラムの推進、職場におけるHIV/AIDSの防止を進めている。労働法および労働関係の諸問題を全国レベルで論議する機関としてインド全国労働組合会議(INTUC)がある。中央政府にかかわる問題を協議する場としては共同協議機関(JCM)がある。

Gender Equality

 唯一の平等法としては「1976年同一報酬法」がある。労働に対する平等の促進、採用時の性による差別撤廃、同等の機会と処遇、セクシャルハラスメント対策、雇用・労働・サービス条件の差別禁止などが規定されている。

インド労働者連盟(HMS)
マノジ・クマール・パリハール(Mr. Manoj Kumar Parihar)

北西鉄道労働組合ジャイプル支部  地域副書記長兼HMSラジャスタン州地域副書記長

マヘンドラ・ヴィヤス(Mr. Mahendra Vyas)
北西鉄道労働組合ジャイプル支部  地域副書記長兼HMSラジャスタン州地域副書記長

 

労働情勢

 11億9800万の人口を持つインドは、世界最大の民主主義国である。28州と7連邦直轄地域。言語は22、識字率67%。労働人口は4億4000万人を超え、農業が60%を占める。人口は、年率2.5%の増加を記録しているが雇用の増加率は2.3%と、人口増に追いついていない。人口、貧困、低識字率、失業、汚染、テロ、グローバリゼーションが及ぼすマイナス影響は、国が抱える大きな課題である。さまざまな難題を抱えているが、2008年の成長率は、6.7%を記録している。インド労働者連盟(HMS)は、19の連合会、2500組合、820万人の組織人員を持つ。すべての州に地域組織を置いている。組織化している主な産業は、鉄道、港湾、鉄鋼、金属とエンジニアリング、石炭、砂糖、電力、ホテル、船乗り、農業である。組織の基本的な考え方は、政府や政党、使用者からの独立、産業民主主義と労働者教育、協同組合活動である。

直面する課題と取り組み

 最近の労働市場における傾向として以下のような問題が指摘されている。伝統的な雇用供給部門の衰退と情報技術(IT)、外部委託、コールセンターなど新たな部門の出現である。携帯電話の普及台数は4億台を超えている。所得格差の拡大、正規労働者の減少、政府・公共部門におけるダウンサイジングによる雇用成長率の低下、民営化、失業率の急上昇、請負・下請けの増加、契約労働者や一時的雇用の急増、交渉可能範囲の仕事を交渉不可能なカテゴリーへ移行、技能労働者の需要と供給のミスマッチ、労働組合や労働者の権利侵害の増加、基本的な法規定(労働時間、週休、有給休暇、健康・安全、最賃など)違反の増加。正規労働者を現金で懐柔し「希望退職制度」を選択するようすすめるようなことも行われている。 当面の課題は、未組織労働者の組織化、日雇労働者に対する生活できる条件の確保、労働者に配慮して労働法の改正、無節操な経済の自由化・グローバル化・民営化の弊害などである。 こうした問題に対処するために、労働組合法や労働争議法、プランテイション労働法をはじめさまざまな法律が設けられているが、グローバル化と民営化を理由に政府は経営側に有利な形で改悪しようとしている。交渉力強化のために労働組合は労働運動の統一に向け活動している。

多国籍企業

 インドには多くの多国籍企業が活動している。大部分が最小限の人件費で利益をあげようとしている。最近では深刻な経済不況のために人員削減を検討しているといわれる。