2001年 インドの労働事情

2001年6月13日 講演録

インド全国労働組合会議(INTUC)
(ICFTU-APRO推薦)
ラメンパンディー

カルカッタ商業労働組合/事務局長

 

労働運動が当面している政治・経済・社会状況

 経済のグローバル化の力学によって、インドの製造部門及びサービス部門の企業は厳しい競争の圧力にさらされています。外国産の製品やサービスと競争するのが、どんどん困難になってきています。インドの市場は低価格で提供される輸入品であふれています。インドの産業は原材料やサービスの高コストに悩まされており、いずれは価格競争に負けて、徐々に自国市場から締め出されることになるでしょう。その結果、大規模な生産工場の閉鎖が起こり、人員解雇、大量の労働者、中でも特に青年労働者の地位の変化が起きると思われます。地位の変化とは、最初は雇用者、次に失業者、さらに雇用不可能者へと地位が変わっていくことです。このような地位の変化は、社会悪である犯罪、さらにはテロの発生の温床になると思われます。不安定な雇用や経済要因が存在する社会環境の中で、青年労働者の希望や将来への抱負を代表する立場にある労働組合にとっての至上命題は、青年労働者の権利を守るために計画的な対策をとること、また、より豊かな生活とよりよい機会を確保するために、全般的な努力を積み重ねていくことです。

INTUCの今年の活動方針

 青年労働者に対する我々の義務を果たすために実施する行動計画は、2点あります。1つは、政府及び経営者団体に働きかけ、協議することによって新しい雇用機会の創出の必要性に注意を喚起し、そのために労働者たちが新しい技能を修得するための再教育や再訓練を行うようにすることです。2つ目は、解雇された労働者及び新規に参入してくる労働者に雇用の道が開かれるようにするために、政府の方針を変換させて、外国製企業のインドへの参入を容易にし、外国の技術と資本で新産業の確立を促進することです。

活動方針を達成するための具体的な運動や活動

 まず失業者の65%を占める青年労働者の意識向上運動を開始することです。このため、全国的なキャンペーンを実施します。開始は2001年9月9日で、ランチーで2001年11月9日に開催されるINTUC中央委員会をクライマックスとします。この集中キャンペーンは、インドの全29州を対象とします。我々のキャンペーンは、青年労働者に新しい技術を修得させる再訓練のために、そして高度技術志向の労働市場の要求にかなうような技術的適性を育成するために、技能教育、職業教育のための大規模なインフラストラクチャーを構築することに社会の注目を集めることが目的です。すべてのレベルでキャンペーンを行うことによって、未来を担う青年労働者に対して政府が負っている義務と職務に気づかせることと、そうすることによって、政府に圧力をかけて、労働、産業、商業及び社会一般の共通の利益を追求できるような健全な社会、経済環境をつくり出すように仕向けることです。ランチーの会議で採択される決議文は、インド大統領、首相、29州全部の首長に手渡すことになります。

APRO青年委員会

 私はICFTU-APROの推薦を受けて、その代表として来日しました。ICFTUAPROは2000年の11月にシンガポールで50周年の記念式典を行いました。そのときに、青年委員会が設置され、APROの中からメンバーとして7人の委員が選挙で選ばれました。この人たちが、アジア太平洋地域で若者の活動について、APROの中で活動していくことになります。選ばれた7人の中の1人が私です。
 私たちは青年委員会の中で、アジア太平洋地域の若者の関心事、心配事に対処するため、一生懸命努力しています。このような若者たちが雇用可能な能力を身につけるのを助けようとしています。

2001年5月30日 講演録

インド労働者連盟(HMS)
サンガミトラブニヤ

インド東南部鉄道労働者組合女性局/事務局長

 

最近の政治・経済、社会状況

 インドの労働組合運動は、新世界経済秩序から大変なプレッシャーを受けてきました。1991年6月以来、いくつかの構造調整計画が実施されてきました。GATTのウルグアイラウンドで協定が結ばれた新世界貿易秩序により状況はさらに厳しいものとなりました。
 新GATT協定は、基本的食料品、医療費及びその他の生活必需品や、公共料金の上昇を引き起こすばかりでなく、多くの国内産業において失業を生むでしょう。中でも開発途上国や先進工業国からの輸入の影響を受ける産業では、特に悪影響が出ることでしょう。悪影響というのは、つまり失業が増えるということです。現在のようなグローバル化の時代には、国営及び公営企業の民営化は政府の政策の中で最重点政策となっています。
 我が国では雇用の創出は、これまで常に手に負えないような大きな課題でした。民間及び公営企業は、今述べてきたような状況に直面しています。従業員の合理化、一時解雇、人員削減、希望退職制度、企業閉鎖、社会保障給付の削減、支払い遅延、契約労働化、つまり、非正規労働化などが公共部門でも、また民間の各部門でも当たり前の日常茶飯事となっています。
 そのような中で、我々のナショナルセンターであるHMSは、今まで話してきた状況に対抗するために強力なプレッシャーをかけ続けてきました。その結果構造変革の影響を直接受ける人々のために、社会的セーフティネットが必要であることを政府に認めさせることができました。現在、存在しているセーフティネットと現在提案中のセーフティネットの対象を拡大し、また組合がそれに関してかかわっていく必要が大いにあります。
 私たちは、政府が社会的、経済的保障のために実際に適当な額の予算を組むようにさせなければなりません。HMSの主な活動方針はインドのほかのナショナルセンターと共に、労働組合運動の統一を図ることです。

HMSの主な活動方針

  1. 労働組合の統一を推進する。
  2. 未組織部門の組織化です。
  3. 組合内外の意思疎通の改善。
  4. 情報収集活動の強化。
  5. 教育訓練活動の拡大。
 このような活動の目標を達成するためのもっと具体的な活動ですが、現在、未組織部門の最低賃金は1日平均1米ドル程度です。
その中でHMSは公営事業と労働条件を守り、基本的な社会保障を拡大するために農業及び農村労働者に関する基本法、及び建設業の労働者に関する基本法を勝ち取るために運動しています。
 現在必要なことは組合が一致団結した行動により、チャレンジに正面から立ち向かうことです。政党系列に沿って完全に分裂している労働組合運動では、チャレンジに効果的に立ち向かうことはできません。HMSは長らく、強力で統一された運動の必要性を強調してきました。また、その方向で何度も努力を重ねてきました。しかし、今までのところうまくいっていません。HMSは、会長プロフィット氏のもとで、すべてのほかのナショナルセンターに対して政党系列に沿った路線からみずからを解き放ち、みんなと手を結んで、強力で統一され、自由で独立し、ダイナミックな労働組合運動を打ち立てようと呼びかけています。