2000年 インドの労働事情

2000年9月18日 講演録

サンジェ・シヴァ
インド西武鉄道労働者組合コタ地区支部/書記長
兼 HMSコタ支部/青年委員長

 

HMS の沿革と国内の状況

 私の所属している加盟ナショナルセンターはヒンドゥー・マズー・サバーと申します。HMS といい、インドの独立後の1948 年に設立されました。HMS というのは自由で独立し民主的な労働運動を目指すという信念を持った組合です。1989 年に労働省が行った調査の統計によりますと、全インドで認定、あるいは登録された組合員は1,230 万人です。そのうちでHMS の加盟組合員として認められたのが148 万人です。しかし、HMS としては440 万人の組合員がいるはずですので、政府に対して抗議し、紛争になっています。このような差が生まれたのは、政府が正しい検証手続を取っていないか、あるいはそれに従わなかったからです。1991 年の7 月にインドで始められた構造調整計画のもとに、経済の規制緩和とグローバル化が行われ、その影響で、インドの労働組合運動はずっと困難な状況にあります。それに加えて、GATT のウルグアイ・ラウンドで成立した新世界貿易秩序が状況をさらに厳しくしています。労働者の購買力も雇用状況もGATT で協定が成立した自由化によって悪化しつつあります。また、組合費を払っている組合員に対しても悪影響が出てきています。これから21 世紀に向けて、我々インドの多くの労働者たちが、この自由化、グローバル化の波のもとに、大変多くの変化の波にさらされています。これらの変化というのは主に自由化、民営化、グローバル化のようなさまざまな経済政策によってもたらされたものです。このような変化が最初に導入されたのは国民会議派の政権ができた当時ですが、それ以後も、ジェンターダル、BJP と2 つの政権が続き、それらも同じ政策を引き継いでいます。労働者も組合も、与党を変えるということはさほど自分たちにとって利益があるものではないということに気がつきました。
 私たち労働運動に加盟している者たちにとって、政治的な選択肢が幾つかあります。そして私たちの力を合わせて、次のような分野において、我々の政治的な課題を達成していかなければいけないと考えております。それらの分野とは、雇用政策の分野、それから購買力を上げる、それから労働条件を向上させる、そして組合権を確立するといった分野です。

HMS の活動方針

 今年の活動方針ですが、第一に雇用の創出と児童労働の廃止です。雇用状況は1980 年以来どんどん悪くなってきています。雇用の創出が1980年以来低下してきており、雇用機会の減少、特に大人の雇用機会が少ないことによって、政治的な問題が発生してきています。ですから我々組合としては、まず第一の優先課題は、特に成人の雇用創出、それから、定職につかない人たちも社会保障制度の恩恵が受られるように、社会保障制度をもっと充実するということです。児童労働の廃絶についても、労働組合が非常に重要な役割を果たすことができると信じています。これをするにはまず大衆の意識を改革し、啓発しなければなりませんし、さまざまな制度を確立して、児童労働の廃止に努力しなければなりません。それがいずれ一般大衆の圧力となって、児童労働がなくなっていくというふうに考えております。そこで我々としてはさまざまな政策をこの児童労働の廃止に向けて取り上げるように運動しています。
 第二は、まだ組合に入っていない労働者を組織化するということであります。現在、組織率は8 %でしかありません。90 %の労働は組織化されていません。
 第三に最低賃金を確立する、また、社会保障制度を確立するということであります。国が自由な国として独立し、50 年もたちましたが、いまだに最低賃金もありません。また、医療、教育、運輸、輸送等の社会制度も確立していません。
 第四の政策、方針は、団体協約を締結する権利を確立するということであります。インドの労働者のほとんどはまだその権利を持っていません。
 第5 番目ですが、労働者の教育であります。我々の労働者はあまり十分な教育を受けているとは言えません。労働組合の管理・運営をするため、そして交渉に当たってさまざまな問題に直面しますが、そういうことを解決していくための教育、国家的な重要な問題についてしっかりと考える教育、それから、経済、政治等の将来について明確なビジョンを持つための教育等です。これらの教育がもっと行き渡るようにしなければいけません。
 今申し上げたようなさまざまな活動方針を実施するためのさまざまな運動を行っております。あるいは活動を行っております。その中には、はがきを送る運動、集会・個人へのオルグ活動、セミナー、労働者たちが訓練るための研修会、それからスタッフや組合の職員や新しく役員になった人たちの訓練ができるようなトレーナーたちを養成すること等もおこなっています。
 最後になりましたが、今日ここで皆様に我が国の労働状況についてお話しできるような機会を私に与えていただきましたことについて、JILAF に感謝申し上げます。ありがとうございます。

ロヒット・R ・ジュヌトラ
AllwyinVoltas労働者組合組織局/担当
兼 INTUC/青年委員

 

国内の政治、経済、社会状況

 インドには7 つの全国的政党があり、選挙管理委員会によって49 の地方政党が認められています。政府は労働組合と定期協議を行っています。1999 年から2000 年にかけての年度予算では、財政赤字が7,995 億5,000 万ルピーとなっており、99 年度中の投資はすべて資本集約型分野とハイテク分野に投入されました。組合が組織化されている部門でも、主に企業閉鎖によって多大な失業がもたらされました。国としては大量の雇用機会の創出が必要ですが、政府はそれに対してほとんど何もやっていません。

INTUC の活動

 INTUCの主要な活動方針は、教育訓練及び未組織労働者の組織化です。このような主要な方針を実現するための具体的な運動としてワークショップ、セミナー、及び教育合宿を開催しています。また、各階層別のトレーナー養成を実施しています。州支部では、未組織労働者の組織化のために、地区委員会、ディストリクト・コミティー、それからマンダルという区分によるマンダル委員会、それから次が区画あるいはブロック、区画委員会等々を設立しています。そして訓練を受けたオルガナイザーによって、我々の目標達成に努めています。