2011年 バングラデシュの労働事情

2011年7月1日 講演録
共闘協議会 ITUC-BC (ITUCバングラデシュ協議会)
加盟組織 6組織
バングラデシュ自由労働組合会議 (BFTUC)
バングラデシュ・ジャティヤタバディ・スラミク・ダル(BJSD)
バングラデシュ自由労働組合連盟 (BMSF)
ジャティオ・スラミク・リーグ (JSL)
バングラデシュ労働連盟 (BLF)
バングラデシュ・サンジュクタ・スラミック連盟 (BSSF)

ジャティオ・スラミク・リーグ (JSL)
Ms. カレダ・アフロズ

バングラデシュ労働連盟(BLF)
Ms. サイーダ・アジィズン・ナハル

バングラデシュ・ジャティヤタバディ・スラミク・ダル (BJSD)
Ms. サイーダ・フェルダウス・アラ

 

1.労働事情(全般)

 バングラデシュは、小国でありながら多くの人口を抱えている。人口の多さ、厳しい資源的制約を特徴とするこの国の経済は極めて脆弱で、最近の非公式の調査によると、14万7,570平方キロメートルの国土に1億4,670万人の人口を抱え、人口密度は1平方キロメートル当たり904人となっている。
 民間の労働力はおよそ6,030万人と見積もられ、労働力全体の38%が女性となっている。完全失業率は3.7%、そして、不完全雇用率は31.9%と見積もられている。人口成長率は1.47%、識字率は56%と見積もられているが、この識字率とは、何らかの形で読むことができる、署名をすることができる、また、数えることができるレベルを意味している。
 人口1人当たりの国内総生産(GDP)は、米ドルにしまして364ドルであり、GDPの成長率は4.80%、インフレ率は1.6%、平均寿命は61歳である。全労働力の内訳は、農林水産業従事者が63.2%を占め、製造業従事者は7.4%、その他が29.4%となっている。
 貧困ライン以下の人口は44.7%、部門ごとの国内総生産貢献率は、農業部門が23.46%、製造業が27.17%、サービス及びその他の部門が49.83%となっている。

2.労働組合が現在直面している課題

 バングラデシュに労働組合運動の活動の主要拠点は繊維、電力、電気通信、銀行、その他政府所有部門の国有企業であった。労働組合は独立戦争や民主主義運動に効果的に関与することを通じて、強固な政治的アイデンティティを築き上げ、政党との緊密な関係作り上げてきた。バングラデシュにおいて労働組合の強さを支える基盤は単組(企業別組合)であるが、単組の半数以上はいずれのナショナルセンターとも関係していない。多くのフォーマル部門、及び全てのインフォーマル部門において労働者が労働組合に加入することが制限されており、そのため全国レベルにおいても、また職場レベルにおいても労働組合の代表性が限定されている。
 労働組合が多数存在すること、情報技術など新技術の欠如、制度的に組織化されたサポートの不備、財政的制約のために、労働組合は政労使三者の様々な社会的対話の中で力の弱い存在にすぎない。国営企業の労働組合に対して一方的に行われている宣伝活動も、一般社会に労働運動に対するマイナスのイメージを作り上げている。 
 組織労働者の減少につながるインフォーマル部門の拡大ならびにフォーマル部門の縮小は、バングラデシュの労働組合運動が直面する課題の一つである。
 これらの弱点を抱えながら労働組合の運動は、何の準備もなく、また、確定された戦略を持つこともなく、グローバリゼーションに直面することになり、大量の余剰人員の発生、組合員の減少をもたらす雇用形態の変化、労働者の権利の抑制、組織化活動の制限などの問題を経験した。

3.課題解決に向けた取り組み

 現在のバングラデシュの労働組合運動は、わずか4-5%という極めて低い組織率の中で、32のナショナルセンターが活動するという状況にある。したがって、1984年、16の主要なナショナルセンターが参加する統一協議会(SKOP)が結成された。全国的な協議会であるSKOPは、献身的で有志の指導者と活動家を抱えており、常に活発な運動を展開してきたが、主として既存の労働組合員の権利を守る取り組みに忙殺されてきた。
 また、労働者向け、一般組合員向けの意識向上活動やインフォーマル部門の組織化に取り組んでいる。とりわけ、既製服部門の組合員を対象とした能力開発訓練が、個別あるいは共同で実施されている。
 SKOPは政府に対する9項目から成る要求書を作成し、BLFはSKOPの構成組織として要求実現のために活発に活動している。今年の5月28日、SKOPは政府に要求の実施を迫る大規模集会が開催し、BLFも参加した。
 BLFはバングラデシュ労働研究所(BILS)の加盟組織の一つであり、BILSの協力を得て、職場における女性労働者の権利に焦点を当てた「一般最低要求」が策定され、BLFは女性委員会を通じて関連のキャンペーン活動を行なっている。

4.ナショナルセンターと政府との関係

  JSLは、バングラデシュ与党であるアワミ連盟の加盟組織であるがゆえに、政府とは非常に緊密な関係を保ち、政府が主催する三者委員会や政府が行う労働者のためのあらゆる活動に積極的に参加している。BLFは政府と良好な関係にあり、三者構成委員会に積極的に参加している。一方、BJSDは、三者委員会に積極的に参加しているが、バングラデシュ最大野党BNP(バングラデシュ民族主義党)の加盟組織であるがために、政府とは敵対関係にある。

5.多国籍企業の進出状況と労使紛争

 バングラデシュは自由市場経済であり、多国籍企業は現在、国内労働市場のありとあらゆる局面で活動を展開している。電気通信、製薬、食品・飲料、燃料・ガス、電気等の多くの分野で外国企業が事業活動を行なっている。それらいくつかの企業には労働組合が存在する。現在、多くの多国籍企業は契約労働者を採用し、業務を外部委託しているため、労使紛争を生み易く、労使関係を不安定にしている。製薬部門の多国籍企業の大半には労働組合が結成され、定期的に団体交渉が実施され、比較的恵まれた賃金や労働条件が与えられている。一方、ここ10年の間に営業を開始した多国籍企業の多くでは労働者は組合の結成が認められておらず、このような企業においては団体交渉も全く実施されていない。