2007年 バングラデシュの労働事情

2007年5月16日 講演録

国際自由労連バングラデシュ協議会(ICFTU-BC)
サイフル イスラム

バングラデシュ労働組合連盟(BMSF)/青年委員会書記

 

 バングラデシュの労働組合運動の主な特徴として、ナショナルレベルの労働組合の多数性があげられる。バングラデシュには32のナショナルセンターがあるが、10万人を超える組合員が加入する組織は僅かに4つである。基本的に労働組合が2つあれば、ナショナルセンターを呼称することが出来るのである。このうちの14のナショナルセンターが集まって、SKOPと呼ぶ労働者・従業員統一戦線を結成した。これは、労働者の基本的な要求を実現するための、さまざまな行動を展開することを目的としている。
 SKOPの活動によって、2004年に政府との間で協定に署名することに成功し、政府は全国レベルに於ける最低賃金に合意した。また、民主的な労働法の制定、さらに国営企業の民営化に当たっては、労働組合と協議してから実施することについても合意した。また、衣服製造輸出業組合(BGMEA)はSKOP側との協定に署名し、その中で衣服産業従事者に対する最低賃金を宣言した。2006年に政府は、衣服産業従事者の最低賃金を65ダッカにすると約束した。
 政府は新しい労働法を宣言しているが、現在の労働法は、いくつかの中核的ILO条約に矛盾する内容で、完全に民主的とはいえないものである。例えば、労働者たちの30%しか企業内において組合を結成することが出来ない。また、専従組合役員の場合、この企業レベルの組合、あるいは基本的なレベルの組合のリーダーになることが出来ない。さらに、インフォーマルセクターにおいては組合結成が認められない。その例としては、農業、あるいは家禽類、鳥とか鳥の卵に関係しての成育・製造を行っている業種の労働者は、組合結成が認められないことになっている。
 労働者の退職年齢は60歳に決定されているが、一方で、裁判所の判事の退職年齢は65歳に、政府の役人は60歳となっている。このように、大きな問題としては、新しい労働法が導入されていないことにある。
 バングラデシュでは、組合組織率が低いこと、労働者たちの非識字率の問題、そして労働組合の労働者に対する訓練の欠如などが課題である。そして、労働組合について使用者側が非常に否定的な態度であること、労働組合の資金的な弱体さなども大きな課題である。
 最近、労使関係が悪化し労使紛争が多く発生している。ストやデモ、あるいは法を施行する機関との衝突といったことが起こっている。輸出加工区には多くの多国籍企業があるが、労働組合は存在していない。その代わりに労働福祉委員会なるものが労働者の福祉に関する面倒を見ている。しかし、これが労働組合の代わりになることは出来ない。なお、2009年以降には、輸出加工区内においても労働組合の結成が可能になると期待されている。