2007年 韓国の労働事情

2007年10月21日 講演録

韓国労働組合総連盟(FKTU)
ノ インチュル

 FKTUには、24産別および16の地域本部、52の地域支部が加盟している。付属機関として中央教育院、中央研究院、産業環境研究所、奨学財団、中央法律院、17の法律相談所がある。
 市民社会活動として平和集会、僻地児童教育支援、街頭無料法律相談、貧困家庭支援、家事男女分担キャンペーンなどが行われている。
 組織率は10.3%に過ぎない。500人以上の事業所の組合数は6.3%、組合員数は71.2%、100人未満事業所は78.2%、組合員数は22.8%という構成のアンバランスさがある。加えて男性中心、大規模工場中心、正規職労働者中心の運動で格差拡大深化し、企業別組合の限界性を克服できなかったために、組織率も年々低下していて、韓国労働運動は危機的状況にある。この認識のもと以下の運動方針を樹立した。

  1. 社会を改革する労働組合主義の実現のための組織強化、社会的地位向上と役割強化。
    1)100万組合員確保の目標。産別組織体制移行の基盤固め。
    2)「労使発展財団」の設立。この「財団」を通して、過去の政府主導の一方的な労使関係を改め、労使が直接主導する社会的な対話体制を構築し、労使共存のため政策生産の主導的な生産基地として活動していこうとするもので、[1]労使主導のもと社会的な対話と参加の時代を拓く。[2]全国的雇用安定確保、雇用拡大の時代を創造。[3]組織、未組織労働者の区別なく、基本的な福祉増進のための二極化問題解消の土台になる。[4]各方面での民主主義拡大とともに、平和の礎になることをビジョンとしている。
    「財団」事業の三つの柱は[1]雇用問題[2]社会的脆弱階層問題[3]労使問題。
  2. 2007年度は大統領選挙があり、どの候補者に政策連合して当選させるかが組織的な最大課題。
  3. FKTUのスローガンは平等福祉社会に向けて社会改革する労働組合主義であること。
  4. 南北朝鮮の自主的・平和的統一のため、北朝鮮職業総連盟とも交流、協力を図って活発に運動中。
  5. FTA問題についても、アメリカの強い開放要求があり、特に農産物輸入の面では、韓日が連携をとって対応をしていきたい。

韓国労働組合総連盟(FKTU)
パク ス ウォン

 FKTUは、1989年から全国17都市に相談所を設け、労働問題相談と救済活動推進している。主な相談内容は、未払い賃金、不当解雇関連の勤労基準法、業務災害、組合運営及び団体交渉、生活関連法律などである。
 2006年度、相談件数は合計3,694件。未払い賃金が最多で、あとは労組運営、管理、解雇などが続く。不景気の余波で年々賃金未払い相談が増加。労働省は2005年12月末現在、未払い賃金額が1兆4,206億ウォン発生、この中3,002億ウォンが未清算と公表。
 経営悪化による賃金未払いが65%に達している。 また、企業の倒産、廃業などで再生不可能な企業の賃金未払いは10%前後にすぎない。 一方、正常な経営状態での賃金未払いも20%近くある。現行賃金債権保障法では、事業主にかわって労働省から支給する滞当金(3年分の退職金と3カ月の賃金及び休職手当)を、財産上の倒産と労働省による倒産などの事実認定を受けた場合に、退職した労働者たちに対し支給するように定めている。この滞当金というのは、企業倒産のときに会社の清算過程において発生する退職労働者の賃金債権のみに限定されているので、経営悪化による賃金未払いなどの被害をこうむる大多数の労働者たちは、保護の対象になっていないのが現実である。 現在の未払い賃金政策は、司法的な機能に重点が置かれており、刑事的な処罰はごく軽い。経済的な権利救済のための民事的な手続は、事実上労働者たちにゆだねられている。回収するためには、国がその機能を尽くせば、賃金債権保障制度はその手段としては、より全面的・能動的に活用されるはずである。
 問題解決には、現行制度の滞当金支給事由を、事業所の工場情勢や財政悪化のときにも滞当金を支給するように拡大していく必要がある。また保護対象も、在職中の労働者たちにまで拡大することが必要である。賃金債権保障制度も広い意味で見れば社会保障制度の一つで、労働者の安定した生活を保障するもの。この問題は現在、韓国で大問題となっている社会の二極化問題の解消とあわせ、最低限の人間的生活を営むための最重要課題となっている。

韓国労働組合総連盟(FKTU)
チェ ミラ

 韓国の医療産業は、2002年統計で国民医療費が約24兆5,000億ウォン、医薬品市場規模は2003年度総生産額基準対比では9兆5,000億ウォンであり、これは世界医薬品市場約667兆ウォンの約1.6%に達し、10番目の大市場である。
 現在、韓国の病院数は個人医院を含め5万5,549の病院、労働者は約35万人。しかし、公共医療機関の比重は15.5%にすぎず、OECDで民間部門の比重が最も大きい。
 次に医療産業の主な組織化業種は総合病院級以上で、韓国では1次が個人病院、2次が総合病院、3次が大学病院級と3つに分かれており、このうち総合病院が1,000カ所で、組織化病院数は200カ所、組合員数は約5万名である。
 医療部門の課題として組合は、2006年度、非正規職保護法をはじめ、医療関係法など多くの法律が改正された中で、医療事業現場で基本的労働権が保障されない必須維持業務に関する代替勤労制度廃止、非正規職撤廃、病院の営利法人化許可や民間保険許容などによる医療部門での2極化反対、医療公共性確保のため今闘争を展開している。
 2007年度には、あわせて賃金引上げ、協約締結闘争が重点的に展開されている。
 今年最大の問題になっている非正規職の法案が、たぶん7月2日に立法化されるが、私たち組織には非正規職が20%おり、この非正規職と正規職の賃金差別解消と正規職への移行には多くの困難があるものの、FKTUとしてこの運動に最善を尽くしていきたいと考えている。