2003年 韓国の労働事情

2003年12月8日 講演録

韓国労働組合総連盟(FKTU)
イー ウッキ

リッツカールトンホテル労働組合 顧問
FKTU労働争議担当局長

 

国内の状況

 まず、韓国の政治的な状況を申し上げます。韓国労総(FKTU)は当初、現在の政権は、労働者に親しい真の労働者のための政権だと信じていました。政権に就いた時に労働者は、雇用の安定化や社会保障制度の充実に大きな期待をかけていました。しかし、労働者は日増しに政府の労働政策に対して失望し、その状況の中で労働組合は政府に対し大型のストライキを繰り返しました。闘争は激化する一方です。
 大統領選挙にかかわる不正資金提供の問題、政治腐敗の問題などにより与党と野党が逆転し、与野党が激しく対立する政局を招きました。労働組合は、与党であれ野党であれ、すべての政党は全部腐敗政党あるいは腐敗政治だということを主張しています。労働組合は、不当な政治資金を提供した政治家、企業を厳格に処罰し、また清算するように要求しています。正当な企業活動を阻害する腐敗政治を清算しなければ、健全な経済発展は望めないからです。労働組合は、市民団体と一体になって腐敗政治の清算を求めています。

FKTUの活動方針

 韓国には、韓国労総(FKTU)と民主労総(KCTU)という2つのナショナルセンターがあります。韓国労総は、90万人の組織人員、民主労総は60万人の組織人員で、全体の組織率は12.8%という非常に低いレベルにあります。闘争路線は、両組織で異なります。韓国労総は対話と妥協を通じた合理的な労働組合運動を目指しています。民主労総は闘争を通して、力と闘争による理念的な闘争性を強調した運動をしています。韓国労総は労使政委員会に参加し、三者間の相互の協議を重視しています。一方、民主労総は、政労使の協議には一切参加していません。  次に韓国の労働運動が直面する幾つかの問題、課題について申し上げます。
 数年前のアジア経済危機のときに韓国では厳しい構造調整が行われました。韓国では正規労働者よりは非正規労働者(日雇い労働者、パートタイマー、派遣労働者、契約労働者等)が占める割合が既に50%を超えています。全体の労働者の半数以上が劣悪な労働条件で働く非正規労働者なのです。それ故に、その労働者の生存権の保障の問題、雇用安定の問題等を巡って、労働組合、政府、使用者間で深刻な対立が顕著になってきました。
 また、景気停滞により、青少年あるいは若年層の失業問題が深刻な社会問題になっています。就職競争の倍率はほとんどの企業で数百倍にまで及んでいます。また、韓国企業の中国への工場移転が急速に進行し、国内産業が空洞化し、雇用問題は悪化する一方です。
 また政府は、労働力柔軟化政策という名の下で、経済特区法の制定や週5日労働制度を留保的に制定、争議権を制約するロードマップの法制化を図ろうとしています。この点で労働組合は政府と激しく対立しています。
 このような状況に対応するために、韓国労総は、労使政委員会を通じて、非正規労働者を保護する法律の制定、また、非正規労働者の組織化に全力を傾けています。腐敗政治の清算を要求する正当なストライキに対して使用者側が労働組合に対して行っている損害賠償要求や財産の仮差し押さえ等の行為を取り下げるよう強く要求しています。労働組合としてこれらの問題に対して対策を講じています。
 その他にも多くの問題がありますが、以上最近の問題だけを要約して報告しておきます。