2008年 香港の労働事情

2008年10月21日 講演録

香港労働組合連盟(HKCTU)
ロー・ウィン・ケイ(Ms. Lo wing Kei)

組織担当書記

 

雇用情勢

 2008年の失業率は3.2%~3.3%であるが今回の金融危機により失業率がさらに悪化するものと推測される。中国は主にアメリカ、ヨーロッパへの輸出によって経済成長が続いていたため、金融危機の影響はこれから顕著にでてくるものと推測される。物流、金融部門など関係業種はレイオフや不完全就労がまた高まることになる。インフレは6.3%の高いレベルにあるが賃金の上昇は3.9%にすぎない。インフレ分を差し引くと実質賃金はマイナス1.1%である。今後の経済の後退と金融危機により賃金上昇はインフレを越えることはない。

賃金と労働時間

 香港労働者の平均の賃金は約1万香港ドルである。クリーニング、警備、スピード配送や食品は約4500~5500ドルである。労働時間は長時間労働であり、一日8~9時間労働が普通である。小売、食品、警備関係では一日12時間労働もある。家庭生活が深刻な影響を受けている。時間外労働も問題になっている。事務職ではほとんど毎日が不払い時間外労働である。労働契約はほとんどが期間労働であり1年からが一般的である。更新される保証もなく労働者の組合加入の意欲も減退している。

最低賃金

 香港労働組合連盟(HKCTU)は1998年以来、最低賃金法導入の活動をすすめてきた。2008年10月現在、当局は最賃法の導入を約束しているが、額については来年度末までに決定するとしている。HKCTUとしては、最賃はリーズナブルな生活に必要な金額として1時間当たり33香港ドル(4.23米ドル)、1ヶ月約6000香港ドル(770米ドル)を要求している。労働時間については週44時間を基準労働時間とし、時間外割増は1.5倍を主張している。

労働運動の挑戦

 香港労働組合連盟(HKCTU)は、組織人員85組合以上18万人、1990年に結成された。 職を失った労働者の再訓練や法律相談など広範囲の活動を展開している。最重点活動は組織化である。同時に労働者の諸権利のための闘いである。組合活動家ゆえに解雇された労働者を救済する法的な保護が不備である。団体交渉や組合承認の法的な枠組みが存在しないために使用者の不当労働行為や組合活動を理由とした労働者の不利益扱いはよくみられる。HKCTUは、労働者と組合諸権利の法的保護強化要求など香港の民主化運動を展開している。会長および事務局長は立法議員の立場から労働者の声を代表して活動している。1997年に団体交渉法案を提出、立法院を通過したが中国返還によってすべてが水泡に帰した。労働者との団体交渉を強制する団体交渉法がないために労働者は使用者の完全なコントロール下にあり、この力の不均衡が搾取の要因になっている。団体交渉法がないために交渉力は弱いが組合はストその他の啓発活動を展開している。団体交渉の重要性を理解する一般市民も増えてきた。またこの運動によってネスレ社などいくつかの企業で組合が結成され労働条件向上の要求をかかげて会社側と協議するまでになった。