2006年 香港の労働事情

2006年5月31日 講演録

香港労働組合連盟(HKCTU)
トン ワイ ルン

香港郵便労働組合教育担当兼HKCTU教育センター評価委員

 

 1997年の香港特別行政区政府の誕生により、団体交渉権が廃止された。香港の労働組合はオープンショップ制であるため、未組織労働者が非常に多く、組織率はきわめて低い状態にある。われわれは、団体交渉権、最低賃金、労働時間の上限などが、労働法で保証されていない状態の中で、組合活動は個人の生活時間を犠牲にしたボランティアで行っている。
 香港には、公務員の労組組織が250もあるが、香港郵便労組は、政治問題から公務員改革、グローバル化と民営化反対運動、通常の労働運動、人々の家計にかかわる問題まで、討論、行動、デモ行進など積極的に運動を展開している。香港郵政局には約7,000人の従業員がおり、そのうち約2,000人が契約従業員もしくはパートタイマーである。契約従業員の組織化を図るために、組合は組合条例の改正に乗り出した。組合は8つの単組があり、うち6つは北京の方を向いた労組であり、組合員が分散した実態にある。
 当労組の組合員は1,400人(うち女性は89人)であり、ほとんどは郵便配達に従事している。我々の組合は36年の歴史があり、HKCTUの結成当初から加盟している。組合費は年間で60香港ドル、執行委員会は21名の非専従執行委員で構成している。充実した日常活動を展開しているほか、毎年4~5日間の労組研究討論会を開催しており、組合幹部と組合員にとって貴重な研修時間となっている。
 現在HKCTUには78の組合が加盟しており、組合員は約17万人、女性が過半数を占めている。大会は最高決議機関であり、委員長と5人の副委員長、書記長、執行委員などにより構成している。執行委員会の他に労働者事務委員会、社会事務委員会、女性事務委員会、福祉事務委員会、教育センターなどがある。また、再就職訓練センター、議員事務所、リサイクルセンターなどもある。運営資金は組合費、寄付金などであり、組合の趣旨は「結束」「生活」「厚生」「民主」である。HKCTUに加盟している労働組合は、各国で労働組合の活動に携わっている皆さんと共通の理念を持っていると思う。グローバル化の影響を受け、新自由主義的な経済政策、市場万能主義の下で、われわれは戦っていかなければならないと考えている。

香港労働組合連盟(HKCTU)
チュン・イン・フン

香港家事労働者総連盟幹部兼HKCTU組織担当

 

 私はHKCTUの非専従の組織担当としての活動についての報告を行う。HKCTUは、大きく2つの部門に分けられている。1つは通常の労働組合であり、主に労働者の権利保護を勝ち取るための活動である。もう1つが再就職センターであり、現在6つのセンターが香港島、クーロン、新開に設置されている。センターへ職業訓練を受けに来るほとんどの人は失業者もしくは現場で働いている労働者であり、労働組合に対する認識が少ない。HKCTUは、こうした未組織労働者を結集して、労働者の権利を擁護し、組織拡大を図るために、2000年に組織担当の非専従役員を誕生させた。これらの非専従役員は、各地域で産業別組合の支部の設置をボランティアで手助けし、活動を展開している。現在HKCTUに登録されている組織担当の非専従役員は約600名だが、実際に活動しているのは約150名である。
 未組織労働者に組合に入ってもらうため、まず再就職センターで職業訓練を受けている人たちに、香港HKCTUのボランティアネットワークに加入してもらうよう呼びかける。私たちは講習で組合の活動や役割を紹介し、参加者の権利意識を高め、また、楽しいゲームを通じて結束の重要性を訴える。この課程を終えたら非専従役員になる。組合は彼らに少しでも多く組合活動に参加する機会を作ったり、組合に加盟するよう勧める。また、労働者の権利意識向上のために、地域での宣伝活動も行っている。
 私たちは各再就職訓練センターで労働組合の仕事を手伝っている。メーデーの準備からデモ行進でのアピール、職業訓練を受けた仲間への電話により、組合加盟を呼びかけている。さらに、家政婦の中央保障基金や、女性の権利保護を求めるため、常に政府部門と交渉を行っている。また、組合が行う福祉のための娯楽活動の手助けもしている。
 労働者の働く意識をめぐって定例会議を月に1回開催する。内容は、決めたテーマを中心に、その月に上げた成果を話し合い、今後の活動展開のあり方などを討論する。また、交流を図るために定期的な集会などの活動も行っている。